不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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「不動産の表示に関する公正競争規約(一部変更案)」のイマイチ

住宅新報webが1月26日、興味深い記事を配信している。

中古住宅も二重価格表示可能に 「不動産の表示に関する公正競争規約」変更へ
不動産公正取引協議会連合会は、不動産広告に関する業界の自主ルールである「不動産の表示に関する公正競争規約」を一部、変更する方針だ。販売物件の値下げ前後の価格などを表示する二重価格表示について、新築住宅(築2年以内の未入居物件)に限定していた現行から、中古住宅や土地も表示できるような変更などを行う。このほど、消費者庁と公正取引委員会への認定申請を実施。消費者庁などは変更案について2月24日まで、一般からの意見募集を行っており、同24日以降、意見の応募状況を踏まえつつ、なるべく早く認定する考えだ。
変更案では、二重価格表示のほか、モデルルームなどの不当表示基準も変更。モデルルームや完成予想図などの不当表示として、現行の優良誤認に当たる表示に加え、「事実に相違する表示」を位置づける。また、賃貸マンションやアパートに関する必要表示事項に、「家賃保証会社などと契約することを賃貸条件としている場合、その旨や契約に要する金額」を追加する。

規約変更案に対するパブコメ(意見募集)が行われているとのことなので、さっそく電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ(意見募集中案件詳細)で確認してみた。

  • 「不動産の表示に関する公正競争規約」等の一部変更案に関する意見募集要領
    • 意見募集の対象
      • 「不動産の表示に関する公正競争規約」の一部変更案
      • 「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」の一部変更案
    • 意見の募集期間
      • 平成24年1月25日(水)から平成24年2月24日(金)18:00(必着)

2月24日までの、約1カ月間の意見募集!

「不動産の表示に関する公正競争規約」等の一部変更案の概要

  • 1 二重価格表示の基準の変更
    • 「新築後2年以内の未入居の建物」に加え、中古住宅及び土地についても二重価格表示を行うことができるものとする(規則変更案第13条)。
  • 2 畳数表示基準の変更
    • 中古住宅に限り、?畳1枚あたりの面積が1.62平方メートルに満たない旨及び?畳1枚の実際の面積を表示することを条件として居室の広さを実際の畳の枚数で表示することを認めていたものを、1畳を1.62平方メートルに換算した畳数の表示に統一する(規則変更案第10条第16号)。
  • 3 モデルルーム等の不当表示基準の変更
    • モデルルーム、完成予想図等による表示について、現行の優良誤認に当たる表示に加え、「事実に相違する表示」も不当表示とする(規約変更案第23条第42号)。
  • 4 必要表示事項の追加
    • ア 分譲宅地、新築分譲住宅及び新築分譲マンションの広告の必要表示事項について、「日照その他物件の環境条件に影響を及ぼすおそれのある建物の建築計画又は宅地の造成計画であって自己に係るもの」に加え、「自己が知り得たもの」を追加する(規則変更案第4条第2項第1号)。
    • イ 賃貸マンション及び賃貸アパートの必要表示事項に、家賃保証会社等と契約することを賃貸条件としている場合に、その旨及び契約に要する金額を追加する(規則変更案別表8及び別表9)。
  • 5 文言等の整理
    • ア 価格・賃料に係る表示基準の規定について、「宅地」、「土地」及び「敷地」の文言を「土地」に統一(規則変更案第10条第34号及び第35号)。
    • イ 不動産全般についてのインターネット広告の必要表示事項(現行規則別表11)を、住宅、宅地といった物件種別ごとの必要表示事項(規則変更案別表1〜10)に振り分けるとともに、関連規定の文言を整理(現行規則第5条及び第6条)。
    • ウ その他字句等を修正。



「事実に相違する表示」という部分が気になったので、「不動産の表示に関する公正競争規約一部変更案 新旧対照表」をひも解いてみると――

(42) モデル・ルーム又は写真、コンピュータグラフィックス、見取図、完成図若しくは完成予想図による表示であって、物件の規模、形状、構造等について、事実に相違する表示又は実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示

「写真・絵図」の禁止事項として、従来の優良誤認表示に「事実に相違する表示」が追記されただけではないか。
「事実に相違する表示」が禁止なのは言わずもがなだと思う。


それ以外に気になったのは3点。以下に示す。


公正な競争阻害

(規約 第23条2項)
2 事業者は、前項に掲げるもののほか、物件の取引に関する事項について、事実に相違する表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択及び事業者間の公正な競争を阻害するおそれがあると認められる広告表示をしてはならない。

従来、単に「公正な競争阻害」としていたのを、「一般消費者による自主的かつ合理的な選択」と「業者間の公正な競争」と具体的に明記されたのはいいことなのだが、いまだ抽象的な表現にとどまっている。今後の具体的な解明文書の発行に期待したい。


予告広告

(施行規則 第5条 3項(4)号)
(4) 本広告を行う行い取引を開始するまでは、契約又は予約の申込みに一切応じない旨及び申込みの順位の確保に関する措置を講じない旨

「予告広告」への記載事項として、従来、「本広告を行うまでは」契約や予約受付、順位確保措置がダメとされていたのだが――
今回の案では、「本広告を行い」に、「取引を開始するまでは」という文言が追加された。
分かりにくい文章なのだが――「本広告」を出しただけではダメで、登録受付を開始するまでは、契約・予約も順位確保措置もしてはならないというように読める。
「予告広告」の段階で予約受付や順位確保が行われている実態に、一撃を加えようということなのだろうか。


住宅ローン

(施行規則 第23条1項(44)号)
エ 借入金の利率及び利息を徴する方式(固定金利型、固定金利指定型、変動金利型、上限金利付変動金利型等の種別)又は返済例(借入金、返済期間、利率等の返済例に係る前提条件を併記すること。)

住宅ローンの「返済例」について、「借入金、返済期間、利率等の返済例に係る前提条件を併記すること」が義務付けされた。
これにより、いい加減な「返済例」に惹かれて、無理な購入から自己破産に至る人が減ることを期待したい。


それにしても、今回の規約変更案は、消費者不在の踏み込み不足のマイナーチェンジ。
「周辺環境条件の開示」や「間取り図の掲載ルール」など、もっと踏み込んだ変更はできないものなのか。
下記の私案に賛同される方は、ツイートなりブックマークなり、よろしくお願いします。


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