不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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新築マンション(3都県)価格動向、鑑定評価員コメント(2011-08-25)

東京区部地価動向(H23.4.1〜H23.7.1)


本日、マンション広告なし。

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国土交通省が8月24日、全国主要都市の計150地区を対象に四半期ごとに実施している「主要都市の高度利用地地価動向報告(地価LOOKレポート)」を公表。
比較的バイアスのかかっていない、新築マンション市況を知り得る数少ない情報ではないだろうか。
全159頁のレポートの中から、3都県の新築分譲マンションの価格動向を中心に、「鑑定評価員のコメント」を拾ってみた。

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  • 千葉市(中央区)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 東日本大震災による不安感から、海に近い湾岸エリアなどの需要は大幅に減退し、山側の内陸部に需要がシフトする傾向が見受けられ、取引価格も海に近いエリアでは下落傾向となっている。
    • 中古マンションについては、東日本大震災以降売り物件が増えるなか、需要が伸び悩んだため、成約件数も少なく、在庫が増加し、価格は下落傾向を示したが、新築マンションについては供給が少ないため、マンション分譲価格は横ばいである。


  • 千葉県(浦安市)【マンション分譲価格:下落、減少】
    • 建物の不同沈下が見られなかった中古マンションについては、市内居住者を中心に、東日本大震災前の価格から割引されて取引されている。一方、当面、まとまった住宅需要が見込めないことから、マンションや戸建住宅の新規分譲は見られない。このような動きは今後しばらく続くものと予測されるため、マンション分譲価格は下落傾向にある。


  • 千葉県(柏市)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 交通利便性に優れるため需要は強い。地区内の高層マンションの分譲の中心は、当初の「一番街」から「二番街」に移った。土地の取引価格は昨年後半は横ばいになったと見られたが、本年3月11日の東日本大震災による被災の影響は大きく、高層マンションに対する不安感等需要の減退が見られる。また一時的な金融機関の不動産融資に対する見直し等あったため、売買は不成立が一時的に多くなっており、取引価格は下落である。
    • 当地区の分譲マンションは、昨年は好調な売れ行きであったため、ほぼ地価動向は横ばいで推移していた。しかし、本年3月の東日本大震災以降、余震が多い等の影響が見られたため、高層マンションに対する需要はかなり落ち込んでいて、地価動向はやや下落となった。


  • 千代田区(番町)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 東日本大震災の影響により落ち込んだ不動産需要者のマインドは最悪の時期を脱したものの回復のテンポは緩やかである。神田地区において大型物件の供給が予定されており、この影響は注目されるが、優良物件の供給が少ないため、優良な築浅物件を求める需要は引き続き堅調である。これらの動向を総合的にとらえると、マンション分譲価格は横ばいで推移している。


  • 中央区(佃・月島)【マンション分譲価格:下落、減少】
    • 当地区のような都内へのアクセスに優れ、立地の優位性・希少性を有するエリアのマンションに対する需要者は依然として存在するが、東日本大震災の影響により、タワー型のマンションやオール電化のマンションを敬遠する動きや、広域的にマンションを探している需要者の購入マインドやモデルルームへの来客者数の低下等が生じており、さらに、今後も同エリアにおいては、分譲マンションの新規供給が多く予定されていることから、需要に比してやや供給が増えつつあり、マンション分譲価格は若干の下落傾向に転じている。


  • 港区(南青山)【マンション分譲価格:下落、減少】
    • 東日本大震災の影響によりエンドユーザーの意思決定が慎重となっている上に外国人による高級住宅の買受け需要が減少したこと、南青山の周辺地区において従前より小さい専有面積で分譲単価も低く設定した新築物件が供給されたこと等から、マンション分譲価格は下落傾向にある。

  • 港区(高輪)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 東京メトロ南北線沿線で大手・中堅ディベロッパーにより中小規模のマンション供給が続いており、販売状況も概ね堅調で、今後は大型物件の供給も予定されている。マンション分譲価格は概ね横ばいである。


  • 港区(芝浦)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 当地区及び周辺地区の中古マンション売出価格は、東日本大震災直後の前期と比較すると当期は落ち着きを取り戻し、マンション分譲価格は概ね横ばい傾向にある。また、売出戸数も増加しており、正常な市場環境を取り戻しつつある


  • 渋谷区(代官山)【マンション分譲価格:下落、減少】
    • 高額マンションの買受需要は弱く、そのマンション分譲価格は下落傾向である。


  • 文京区(本郷・湯島)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 新築分譲マンションについては、地価が下がった時期に土地を仕入れた物件が分譲されるタイミングである。分譲価格の底値感から、これまで買い控えていた層が自己使用目的でマンションを購入する動きがある。但し、本郷三丁目地区は、比較的高級住宅街であることから、新築マンションについては、比較的グレードの高いものが計画され、マンション分譲価格そのものは、高水準の横ばい傾向である。

 

  • 品川区(品川)【マンション分譲価格:下落、減少】
    • 当地区内において当期新規分譲はなかったが、中古市場において、強い揺れやエレベーター停止による孤立化のリスクが市場に浸透しつつあり、高層階のマンション分譲価格に下落傾向が見られる。


  • 江東区(豊洲)【マンション分譲価格:下落、減少】
    • 臨海部に存する当地区分譲マンションのエンド需要の低減から、新築分譲マンションの販売会社もその販売計画を見直し、延期するケースが多い。また、在庫を抱える販売会社にあってはその処分を優先するなど、分譲価格について実質的な値下げの動きが始まっており、マンション分譲価格は下落している。


  • 世田谷区(二子玉川)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 新築分譲マンションは、総額が嵩む高額物件については成約の動きが依然鈍いもののマンション分譲価格は総じて横ばいである。中古マンションについても、再開発後の値上がり期待を待つ物件の市場滞留の長期化がみられるが、売主が価格を引き下げた5000万円台の価格帯が中心の周辺部の中古マンションについては需給ギャプ解消の動きが見られる。


  • 武蔵野市(吉祥寺)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 三鷹駅北口の総戸数570戸の高層マンション(所在は武蔵野市)は、高価格帯ゆえやや苦戦していたが、東日本大震災による逆風を掻い潜ってこの7月に完売した。吉祥寺駅周辺の出物は決して多くはないが、新規分譲価格、中古マンションの取引平均単価ともに堅調に推移して、マンション分譲価格は横ばいにある。


  • 立川市(立川)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 錦町5丁目及び6丁目で新築分譲マンションの建設が進められており、地域の状況にあった価格設定で、また東日本大震災の影響も受けず比較的順調な販売状況のようである。更に2千万円台の中古マンションの動きも良く、新築マンション分譲価格は横ばい状態である。なお、竣工後数年経過しているにもかかわらず完売していない分譲マンションがいまだ見られる


  • 横浜市(都筑区センター南)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 東日本大震災後に売り出した分譲マンションは、価格・間取と需要者の条件にあった物件は比較的堅調に売れており、マンション分譲価格は横ばいで推移している。ただ、供給量が多いため、駅徒歩圏外、高価格を中心に売行きは悪く、厳しい販売が続いている。


  • 横浜市(美しが丘)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 6月久々にたまプラーザ駅5分の立地に専有面積当り280万〜330万/坪の分譲マンションが発売され好調。田園都市沿線駅徒歩圏の新築マンション専有単価は概ね230万/坪前後でマンション分譲価格は横ばいで変動は見られないが、当該分譲価額と売行きはたまプラーザ駅徒歩圏内地域の人気の高さが伺える。


  • 川崎市(元住吉)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 中原区内では今年に入ってからマンションの新規販売が相次いでおり、特に小杉駅徒歩圏の物件は販売時に90%以上の成約率となっている。現在工事中の武蔵小杉駅南口再開発ビルの平均分譲価格は6千万円台で、立地条件に比べて割安感もあり概ね完売している。新規販売物件は当地区には無かったが、区全体での分譲価格は概ね横ばい傾向にある。


  • 川崎市(新百合ヶ丘)【マンション分譲価格:横ばい】
    • 利便性及び品等良好なマンションについては需要が根強く、中古マンション価格についても概ね横ばいで推移している。新百合ヶ丘駅周辺で供給されているマンションは地区計画による高さ制限から、15階建程度が上限となっており、超高層のタワーマンションは見られない。また東日本大震災による液状化現象も見られなかった。従って、新築マンション分譲価格についても横ばい傾向で推移している。



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