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「即日完売=飛ぶように売れている優良物件」とは限らない

不動産経済研究所が7月14日に発表した「6月の首都圏マンション市場動向」には、「即日完売」物件として、5件が紹介されていた。
これら5つの物件は、実際に飛ぶように売れていたのか?
それとも、「予告広告」でモデルルームに集客し、“即日完売”できる見通しが得られた段階で「本広告」を出して短期間で受付・抽選に走るという、最近はやりの“即日完売”演出物件なのか?
発売履歴を確認すべく、リクルート社のフリーマガジン「SUUMO新築マンション(首都圏版)」のバックナンバーをひも解いてみた。


FRM物件
総戸数65戸のこの物件の最初の広告が出たのが、SUUMO3月29日号の「予告広告」。
このときは、5月下旬に「本広告」を出す旨が記されている。
ところが、5月31日号になっても、「予告広告」のままで、半月延伸した6月上旬に「本広告」を出す旨が記されている。
そして6月7日号で販売戸数35戸の「本広告」が出たかと思いきや、登録受けが6月9日(木)~11日(土)と、極めてピンポイントの期間に設定されているのだ。


たしかに、不動産経済研究所が発表した即日完売戸数(35戸)と戸数は一致しているが、冒頭で紹介した、まさに最近はやりの“即日完売”演出物件。


PHK物件
総戸数29戸のこの物件の最初の広告が出たのが、SUUMOの昨年の12月7日号の「予告広告」。
翌週の12月21日号には、4月下旬に「本広告」が出す旨が記されている。
ところが、その4月下旬になっても「本広告」が出ることはなく――
5月31日号になって、いきなり販売戸数29戸(=総戸数)の「本広告」が出され、これまた登録受付が6月2日(木)~6月4日(土)という、ピンポイントの期間に設定されていたのだ。
ということで、大手不動産会社が扱うこの小規模物件も、“即日完売”演出物件だった。


PSN物件
総戸数26戸のこの物件の最初の広告が出たのが、SUUMO2月15日号の「予告広告」。
その後、「予告広告」が延々と続き、5月31日号でようやく6月中旬に「本広告」を出す旨が記されている。
そして、6月21日号で販売戸数26戸の「本広告」が出され、6月25日(土)までというピンポイントな登録受付期間が設定されているのだ。
この物件も上記2物件と同様に、“即日完売”演出物件と認定できる。


BCM物件
総戸数40戸のこの物件の最初の広告が出たのが、SUUMO3月1日号の「予告広告」。
その後、3か月の間「予告広告」が延々と続き、6月7日号で販売戸数35戸の第1期の「本広告」が出されている。
この物件も、即日完売”できる見通しが得られた段階で「本広告」を出す、最近はやりの“即日完売”演出物件といえよう。


PIR物件
総戸数425戸のこの物件の最初の広告が出たのが、SUUMOの昨年11月16日号の「予告広告」。このときは、2月下旬に「本広告」を出す旨が記されている。
ところが、1月4日号では1カ月延伸した3月下旬に「本広告」を出す旨が。
また3月8日号では、さらに1カ月延伸した4月下旬に「本広告」を出す旨が。
そうして、4月19日号の5月中旬まで、5月10日号の5月下旬までと、小刻みに延伸が続く。
ようやく5月31日号で販売戸数222戸の第1期の「本広告」が出されるも、登録受付の締め切りが6月5日(日)と他の物件同様、短期間の設定となっている。
以上の販売予定の延伸状況をグラフで表すと次のように、当初予定より3カ月延伸していることが分かる。
第1期発売予定日の延伸状況
さらに6月28日号で販売戸数45戸の第1期2次の「本広告」が出されているので、第1期(222戸)と第1期2次(45戸)の合計267戸は、一応、不動産経済研究所が発表した即日完売戸数(267戸)とは一致している。
ということで、これも“即日完売”演出物件。


そもそも“即日完売”とは何なのか?
ということで、不動産経済研究所が7月14日に発表した「即日完売」5物件は、すべて即日完売”演出物件だった。


そもそも“即日完売”とは何なのか?

  • 東京スカイツリーと東武鉄道の特急スペーシアが一組になった「おもしろけしごむ」が12日発売され、スカイツリーの高さ634mにちなんだ6340個が即日完売した。(2011年07月13日 asahi.com)
  • 大ヒットテレビアニメ「けいおん!」の劇場版が2011年12月3日に全国130以上の映画館で公開されるが、前売り券を4月29日に発売したところ、1日で完売してしまう映画館が続出した。(2011/4/30 J-CASTニュース)

といったように、前評判が高く(あるいは前評判を高める工夫をした結果)、1日で完売してしまう状況のことだろう。
前評判が高く(あるいは前評判を高める工夫をした結果)、即日完売に至るのは、消しゴムや映画前売り券とマンションも同じように思えるのだが――
マンションの場合には、「予告広告」でモデルルームに集客し、“即日完売”できる見通しが得られた段階で「本広告」を出して短期間で受付・抽選に走ることで、“即日完売”を実現できる。
このやり方であれば、よほどのヒドイ物件でなければ、“即日完売”を演出することができそうだ。


消しゴムや映画前売り券とマンションとの違いは、後者が“一生の買い物”である点。
消しゴムや映画の前売り券であれば、ババをつかまされても諦めがつくが、マンションの場合はそうはいくまい。
「即日完売=飛ぶように売れている優良物件」と連想してしまいがちだが、必ずしもそうではないことを肝に銘じておこう!


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(本日、マンション広告なし)

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