不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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コンパクトマンション=金融商品

幹線道路沿いに建つ、中規模のコンパクトマンション。

【最終分譲 先着順】大手町駅直通7分、駅徒歩5分。総戸数51戸、12階建。販売戸数5戸、studio(27.91m2)〜1LDK(32.93m2)。販売価格1,980万円〜2,580万円。平成22年10月8日竣工済み(本チラシ掲載日の3カ月前)。

16ページからなる、A4判の冊子タイプのマンション・チラシ。
表紙には、素足の若い女性がじゅうたんの上でうつ伏せになって寛ぐモノクロ写真と次のキャッチコピー。

  • お1人暮らしのあなたへ
    • 20代からのマンション購入



ページをめくっていくと、「マンション購入に不安はありませんか?」という見出しの下に、6つのQAが掲載されている。
引っかかったのは5番目のQA。

  • Q5 たとえば転勤など、自分のライフスタイルが変わる事で住む必要が無くなってしまうことが不安です。
  • A5 サブリースシステムを利用すれば、住む必要の無くなった部屋を有効利用できます。



「責任をもって借り上げるので安心です」とも謳われている。
204号室の例として、毎月のローンや管理費・修繕費6.3万円に対して、サブリースシステムなら9万円、サポートシステムならば9.5万円の家賃収入が得られるような説明が記されている。
一応、ゴマ粒サイズの小さな文字で「毎月家賃及び入居者を将来に渡って保証するものではありません」などと、注釈されてはいる。


駅チカで都心へのアクセスが良好なワンルームマンションは、若い人にとってさぞかし魅力的なものだろう。
背伸びをしたローンを組んで、あるいは豊富な財力にものをいわせて、購入する人もいるに違いない。


このコンパクトマンションを購入した多くの若者は、早晩、転勤や結婚などのライフスタイルの変化に伴い、自らが住まなくなる可能性が高い。
そうなると、デベロッパーがいうところの「サブリースシステム」なり「サポートシステム」を利用して賃貸化されることになる。
でも、家賃収入は将来に渡って保証されているわけではない。
家賃収入が得られないリスクを負うのは、デベロッパーではなく、マンションを購入した若者なのだ。


つまり、遠からず賃貸化する宿命にあるこのコンパクトマンションの折込みチラシは、カタチを変えたマンション投資へのお誘いなのだ。


このコンパクトマンションのデベロパーの宅建業免許番号は、「東京都知事(1)第*****号」。
すなわち、不動産業の免許を取得してからまだ日が浅いことを意味している。
ホームページで調べると、このデベロパーの代表取締役社長は、かつての村上ファンドにいた切れ者女性と同じ名前であることが分かる。
コンパクトマンションを、金融商品として巧みに販促しているところはサスガ。


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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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