不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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コワーい高層マンションの話

逢坂文夫氏と宝島編集部の共著「コワーい高層マンションの話」を書店で購入(1,143円)。
「まえがき」に掲載されている「高層居住の女性(33歳以上)の流産経験は約7割に達する!」のグラフを見て驚かない人はいないだろう。


もくじ


高層居住の女性(33歳以上)の流産経験は約7割に達する?

33歳以上の流産経験者の割合
このデータは今年の7月3日、逢坂文夫氏が日本臨床環境医学会で発表したもの(※上記グラフは、同著データから筆者がグラフ化した)。
「高層居住の女性(33歳以上)の流産経験は約7割に達する!」は、本当なのか?
このグラフの縦軸は%。流産経験者の人数ではなく、割合だ。
このグラフに統計のウソはないのか?


同著に掲載されている調査対象人数とされている横浜市内の回答者数1957人の内訳データを拾って、グラフ化してみた。
33歳以上の流産経験者の状況
おっと、33歳以上の流産経験者の割合は「10階以上」では確かに7割近くになるが、その絶対人数は極めて少ない。
「10階以上」の調査対象者は、たったの6人!
このうち流産経験者が4人だと確かに66.7%にはなるが、サンプル数が少なくないか?

10階以上はマンション居住者の5人中1人に流産経験があった!?

20100925134115
「図5最新報告・10階以上はマンション居住者の5人中1人に流産経験があった!」も%表示だ。
こちらも絶対人数をグラフ化してみた。
流産経験者の状況
流産経験者の割合は「10階以上」では確かに5人中1人(21.4%)なのだが、その絶対人数は極めて少ない。
「10階以上」の調査対象者は42人。うち流産経験者は9人。

共同住宅に住む女性の階数の割合分布を国勢調査データで検証

これほどにサンプル数が少ない調査結果から、「高層階に住むと流産しやすい」といえるのか?
念のために、2005年の国勢調査の「第27表 住宅の建て方(8区分),年齢(5歳階級),男女別住宅に住む一般世帯人員(世帯が住んでいる階−特掲)」データを基に、横浜市内の共同住宅に住む女性の階数の割合分布グラフを作成し、逢坂氏の調査データと比べてみた。
居住者の割合(05年国勢調査、横浜市)


居住者の割合(逢坂氏調査)
6階以上に住む女性の割合は数%と多くないのは、逢坂氏の調査データと同様だ。
低層階になるほど、逢坂氏の調査データよりも居住者の割合が小さいのは、国勢調査データのほうには独身女性も含まれているからなのかもしれない。

結論

サンプル数が少ない調査結果から、「高層階に住むと流産しやすい」といえるのか?
高層階に住む女性の割合は、逢坂氏のサンプルデータも、2005年国勢調査データ(こちらは独身女性を含む)も同様に数%。
したがって、逢坂氏の高層階居住女性のサンプル数の少なさを理由に、調査結果を否定することは必ずしもできない。


厚労省による大規模な調査が期待できそうもない現状において――
大切なことは、「高層階に住むと流産しやすい」可能性があることを知った上で、高層マンションの選択可否を考えることではないだろうか。

(本日、マンション広告なし)

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2019年6月1日、このブログ開設から15周年を迎えました (^_^)/
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