家賃保証業者でつくる社団法人全国賃貸保証業協会が2010年2月1日、入居者の信用情報を一括管理する「代位弁済状況(家賃情報)データベース」の運用を開始した。
家賃滞納のブラックリストが構築されることで、「家賃滞納履歴のある人は家賃滞納に至った原因や経緯を考慮されることなく、一律に入居にあたっての審査において不利立場に置かれる(住まいの貧困に取り組むネットワーク)」ことが懸念されている。
データベースに登録される情報は、次のとおり。
- 氏名、生年月日、旧住所、電話番号、免許証番号等の個人特定番号
- 保証対象物件名・部屋番号、保証対象物件住所、保証開始日、月額賃料
- 保証終了日、入金額、代位弁済残高など
情報の登録期間は、賃貸住宅の退去・明渡しから5年間(延滞があった場合は債務が消滅してから5年間)とされている。
つまり、完済から5年間は、賃貸契約を拒まれる可能性があるのだ。
日本弁護士連合会が1月29日に出した意見書から、問題点を抜粋すると――
(前略)
このようなデータベースは、家賃滞納者について、家賃未収リスクというもっぱら賃貸人側の利益を確保する観点から、保証委託契約を締結するかどうかを検討する目的で整備されるものである。
保証委託契約が拒否されれば、事実上、賃貸住宅契約も締結できなくなり、家賃を滞納しがちな不安定雇用労働者、シングルマザー、生活保護世帯などが民間賃貸住宅市場から排除されることになりかねない。
(中略)
データベースの整備が進めば、収入や勤務先、国籍、障害の有無などのプライバシー情報にまで拡大され、入居差別に悪用されるおそれが高くなる。
早期の段階で、データベースの整備そのものを禁止することが必要である。
さて、「もっぱら賃貸人側の利益を確保する観点から」整備されたこのデータベース。
前原誠司国土交通大臣は、「国民の生活が第一」を掲げる民主党のマニフェストとの折り合いをどう付けるのか。