不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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建築確認日から工期が適正かどうかを探る裏技

宅地建物取引業者票


本日、マンション広告6枚。

【予告】大手町駅直通9分、駅徒歩10分。総戸数58戸(事業協力者住戸10戸を含む)、11階建。販売戸数未定、2LDK(58.76m2)〜4LDK(92.89m2)。販売価格/未定。平成22年3月下旬竣工(本チラシ掲載日の4カ月後)。

幹線道路沿いに建つ中規模マンション。


B3判チラシ裏面に、キリトリ線付きの個人情報を問うハガキが付いている。
この手のハガキ付きチラシは、物件を初めて紹介するチラシである場合が多い。


裏面の「物件概要」に目を凝らすと、「建築確認番号/第UHRC建確○○○○○号(平成21年7月22日付)」と記されているから、この夏に建築確認が下りて、3カ月余り経って本日のチラシを出しのだろうな、と思ったら――


「物件概要」には「建物竣工時期/平成22年3月下旬予定」とも記されているのに気が付いた。
もし本当に建築確認が「平成21年7月22日付」で下りたとすれば、すぐに着工したとしても、竣工までたったの8カ月しかない!


中低層マンション(高層マンションではない)の場合の各工事工程に要する期間は、荒っぽくいえば次のとおりである。

※建築確認日から工期が適正かどうか探る裏技。

  • 準備工事:1カ月
  • 杭・基礎工事:2カ月
  • 躯体工事:1階あたり1カ月
  • 仕上げ工事:2カ月(躯体工事との並行期間を除く)
  • 屋外付帯工事(屋外の給排水管工事・植栽工事など):1カ月



これを本物件(11階)に当てはめると、
計算上は、17カ月(=1+2+@1×11階+2+1)となる。


チラシの情報から読み取った8カ月という工期は、標準的な工期にと比べて9カ月(=17カ月−8カ月)も短い!
仮に、準備工事と杭・基礎工事の3カ月を2カ月に、仕上げ工事を1カ月短縮し、屋外付帯工事1カ月を竣工日に含めないとしても、14カ月(=17カ月−1カ月−1カ月−1カ月)だから、チラシの8カ月との乖離はまだ大きい。


「躯体工事:1階あたり1カ月」をウルトラCで「1階あたり0.5カ月」に短縮できれば、8.5カ月(=14カ月−@0.5カ月×11階)となるが、建物の品質はメチャメチャだろう。


大手の不動産会社がこんなアホな工期設定をするとは思えない。
物件のホームページをみると、「建築確認番号」は掲載されているものの、「年月日」までは掲載されていない(ルール違反ではないが、情報開示が低い!)。
しかたがないので、実態を確認すべく、現地調査を実施した。

    • -

おおっ すでに11階のコンクリートの打設が完了しているぞ。
現場の仮囲いに掲示された「宅地建物取引業者票」を見ると、「建築確認年月日」は「平成21年7月22日付」と記されている(右上写真)。
ということで、チラシのほうの日付を「平成20年」とすべきところを「平成21年」と間違っていたというのが結論。


この物件のホームページには「ハイクォリティな品質管理を支える幾重もの検査体制」が謳われているが、折り込みチラシまでには目が行き届いていないというお粗末な1件でした。

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