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不動産経済研究所が10月14日、9月の首都圏マンション市場動向を発表。
- 供給が25カ月振りに前年同月比増加、26.2%増の3,063戸。
- 契約率も13.8Pアップの73.9%、平均価格・m2単価とも横バイ。
これらの大見出しは、首都圏のマンション市況が上向き、販売単価が高止まりし得ることを連想させさそうだが――。
マスコミの反応はどうなのか?
■毎日.jp(10月14日 21時20分)
前年水準が低かったことの反動で、同研究所は「供給戸数はまだ回復基調ではない」とみており、10月は再び前年割れを予想している。
■asahi.com(住宅新報社ニュース10月14日)
今年度に入ってから70%の好調ラインを突破したのは4カ月目となり、「売れ行きは回復基調にある」(不動産経済研究所)ととらえている。
毎日の「回復基調ではない」と朝日の「回復基調にある」とは、一見、相反する表現になっている。
でも、前後の文章をよく読むと、「回復基調」の対象が異なっていることに気が付く。
毎日が「回復基調ではない」としているのは、「供給戸数」のこと。
一方、朝日が「回復基調にある」としているの、「売れ行き」のこと。
どちらの記事も情報源は同じ(不動産経済研究所のコメント)なのになぜ、このように記事の扱いが異なっているのか?
朝日のほうが「回復基調にある」というポジティブな表現になっているのは、業界紙である住宅新報社の記事を転載しているがゆえか。
右上グラフ(不動産経済研究所が過去に発表したデータをもとに筆者が作成)を見ると、販売在庫が減少し続ける中で、発売単価が高止まりしていることが分かる。
このことから、新築マンション需要に対して発売戸数が不足しつつあるとも読めなくもないが――。
発売戸数が増加傾向にあるというには、まだまだ勢いが足りなさそうだ。
国土交通省が9月30日に公表した「建築着工統計調査報告(平成21年8月分)」を見ても、首都圏のマンション着工戸数が激減状態にあるので(10月3日のブログ記事)、在庫において「売れ行きは回復基調にある」としても、「供給戸数はまだ回復基調ではない」と言えそうだ。