不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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マンション政策部会、事務局と委員らとの攻防(1)

分譲マンションストック500万戸時代


国土交通省の審議会のひとつである「マンション政策部会」が3月6日、「分譲マンションストック500万戸時代に対応したマンション政策のあり方について(答申)」を公表した。
同答申書は、「良質なマンションストックを形成するとともに、将来世代へ承継するための具体的なマンション政策のあり方について提言するもの」とされている。
本文20ページ・参考資料9ページの答申書を読んでいて、気になったのが「4.今後のマンション政策としての具体的施策」の中の「(6)多様なマンション形態に対応した施策」について。
超高層マンションについて、次のようにチョットとしか触れられていないのだ。

(前略)
さらに、近年、超高層マンションが多数出現している。
その供給量は最近急増しており、これから本格的に大規模修繕などが必要な時期を迎えることが見込まれるが、超高層マンションでの管理の実態等は必ずしも明らかでない面もあり、引き続き、その実態把握及び課題の抽出を行うべきである
その上で、必要に応じて、課題に対応した制度、運用等の見直し等を検討していくべきである。

超高層マンションでの管理の実態がよく分かっていないので、今後実態・課題を把握したうえで検討していこう、というような心許ない記述に留まっているのだ。


なんでこうなるの?
とっても気になったので、これまでの全5回の部会の議事録をひも解いてみたところ、最終答申に至るまでに、事務局と委員らとの間でいくつかの攻防を発見!
以下に抜粋していこう。
まずは、第3回部会(2008/11/04)から。

■事務局からの資料説明
(前略)
(首都圏における超高層マンションの竣工戸数は)2000年代に入ってから、供給が急速に伸びているのがごらんいただけます。
このグラフからわかるようにまだ大規模修繕工事の時期など迎えていないものが多く、問題点が実態化し切っていないのが現状だと思われますが、右上のような特徴を踏まえて想定される課題としては、修繕工事費が他のマンションと比較して割高となること。
戸数が非常に多いことから、コミュニティ形成が困難になること。
災害等の危機管理に対する対策の必要性が高いといったことが考えられます。

事務局が提起した超高層マンションの課題は、(1)修繕工事費が割高なこと、(2)コミュニティ形成が困難、(3)災害等の危機管理に対する対策の必要性が高いこと。
これに対して某委員は、次のようにことごとく反論している。

■某委員の意見
(前略)
1つは特徴の部分でございますけれども、戸数が300戸なり500戸なり、1,000戸とかいう非常に大規模なマンションですと、大変人材が豊富でして、必ずしも喜んでやる人ばかりではないと思いますが、それなりの方が大変熱心に取り組んでいただいている例が非常に多いので、これはむしろいい点があるのではないかという感じはいたします。
それから、想定される課題のところでございますけれども、経費が割高となると書いてございます。
これ、本当なのかどうか、若干の疑問がございます

それからもう一つ、コミュニティ形成が困難であると書いてありますが、戸数が多いせいもございまして、単棟式の小さいマンションよりは、はるかにいろいろなサークルとかコミュニティ活動、あるいはお祭りへの参加とか、いろいろなことが活発になされている例が多いように、私は見受けているので、この辺の整理がもうちょっときちっとしないと、政策的な課題が何なのかというのがちょっとわかりづらくなるような気がいたします。
次の団地型についてはいろいろあると思いますけれども、超高層につきましてはまだちょっと課題が社会的に整理がついていないのではないかという気もいたします。
防災、災害等につきましても、ちゃんとやっているマンションも比較的多くて、かなりしっかりしているなという感じも印象としてはありますので、もうちょっと調査してみたほうがいいような気もいたします。

事務局と某委員との攻防(第4回部会(2008/11/27)は、明日に続く・・・・・・

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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