不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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区所有の保育所が併設されたマンションは―


土曜日、マンション広告2枚。

  • 2007年7月8日(日)・10月12日(金)・11月16日(金)・12月14日(金)、2008年10月24日(金)の物件と同じ。

【第4期本広告】秋葉原駅直通13分、駅徒歩11分。総戸数700戸(A棟161戸、B棟151戸、C棟152棟、D棟153戸、E棟83戸)、17階建。販売戸数76戸、3LDK(80.31m2)〜4LDK(135.21m2)。販売価格4,250万円〜9,380万円、最多価格帯4,700万円台。平成21年2月13日竣工(本チラシ掲載日の3カ月後)。

河川沿いに建つ、5棟からなる大規模マンション。
新聞全紙大のチラシ裏面に気になる宣伝。

  • あらゆるライフスタイルを想定した複合施設。
    • 認可保育所
      • 小さなお子様がいる家庭にとって、敷地内に保育施設があることは大きな安心です。
    • 学童クラブ
      • ○○区が所有するこの学童クラブ内には体育室などがあり、お子様が楽しく健やかに過ごすことができる安心の施設です。
    • 住宅型老人ホーム
      • □□(=本物件のデベロッパーの関連会社)が運営する全82室の住宅型有料老人ホーム。

これらの複合施設は誰の負担で整備され、誰が運用するのか?
ゴマ粒サイズの小さな文字で記された次の注釈がヒントになる。

  • ※住宅型老人ホームの内容は、提供先との契約、管理組合との協議により変更される場合があります。
  • 認可保育所、学童クラブ、地区集会所は○○区所有となり、運営団体については未定です。また△△(=物件名)居住者の方が優先して入所、使用できるわけではありません。

まず、住宅型老人ホームについて。
住宅型老人ホームは、管理組合との協議のもと、本物件のデベロッパーの関連会社が運用することになっている。
この有料老人ホームの経営がうまくいっているうちは、いいのだが、2005年に設立されたばかりのこの運営会社が20年、30年と事業を継続できる保証はない。
全82室住宅型老人ホームの行く末はいかに。


次に、認可保育所について。
チラシには、○○区の所有と注釈されている。
ネット情報を探っていくと、○○区の平成20年度予算案のなかに、「私立保育整備事業」として、本物件の保育所を含む3カ所+「他」の補助費93,687千円が計上されていることが分かる。
「他」の数が不明だが、本物件の保育所と同時期(平成21年4月)に開園する保育所の数が4カ所なので、補助費93,687千円が最低4カ所への補助金だと少なめに想定しても、1カ所平均23,421千円。
本物件保育所は市の所有ということなので、この2千万円程度の補助金が本物件保育所の建設費を賄っているものと考えられる。
来年の4月に開園するこの認可保育園を運営するのは社会福祉法人


本物件の1階に開園する、園庭を備えたこの私立保育所
区にとっては、用地確保の苦労なしに、しかも少ない財政負担で保育所を確保できるメリットがあるのだが――。
消費者にとっては、保育園や学童クラブの利用を期待して本物件を選んでも「居住者の方が優先して入所、使用できるわけではありません」となっているので、1階の保育所を尻目に、遠い保育所や学童クラブに通う羽目になるリスクがある。
入園が確約されない複合施設を備えたこのマンション。
区の保育所不足解消に貢献しようという、奇特な人にふさわしい物件なのか・・・・・・。


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