不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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IR情報から物件の売れ行き不振状況を読み解く

マンション事業売却の構図
金曜日、マンション広告11枚。

【第1期予告広告】大手町駅直通32分、駅徒歩11分。総戸数76戸、7階建。販売戸数7戸、3LDK(71.10m2)〜4LDK(91.58m2)。予定販売価格2,598万円〜4,098万円。平成19年12月21日竣工済み(本チラシ掲載日の7カ月前)。

南北を中層マンションに挟まれた敷地(北側に7階75戸、南側に8階75戸・6階47戸)に建った竣工済みの中規模マンション。

  • 第1期 新発表

とB3サイズのチラシのオモテ面に記されている。
でも、裏面の「物件概要」に目を凝らすと、すでに7カ月前(平成19年12月21日)に竣工済みとなっている。
なぜゆえに、いまさら「第1期 新発表」なのか?
さらに「物件概要」に目を走らせていくと、無名の売主P社とは別に、中小規模の事業主N社の名前が記されていることに気づく。
本マンション事業を組成したのはN社(本物件の事業主)であるが、何らかの理由でP社(本物件の売主)に売却したということなのだろう。
さらにネット情報を集めていくと、興味深い事実が浮かんできた。
本マンション事業を組成した事業主のN社は、2年前(平成18年2月28日)にJASDAQに上場しているゲームソフト開発会社の持ち株会社であるJ社の100%子会社となっている。
そして先月(6月17日)、そのJ社は100%子会社であるN社の販売不振物件である本物件をP社(本物件の売主)に売却したのだ。
J社がリリースしたIR情報「当社子会社における販売用不動産早期処分についてのお知らせ」から一部抜粋しよう。

(前略)
当社連結子会社でありますN株式会社におきまして分譲を行っております、平成19年12月に竣工済みの分譲マンション2棟(本物件と別の物件)につきましては、昨年の夏以降、個人の住宅購入意欲が激減し、埼玉、神奈川、千葉など首都圏のマンション市況が急速に冷え込んだことによる住宅分譲事業全般の環境悪化の影響を鑑みて、収益確保よりも早期販売を優先し、マーケットの実勢を踏まえた価格を設定して販売を行っているのにもかかわらず、非常に厳しい販売状況が続いております。
(中略)
既にご購入いただいたお客様のご理解をいただいた上で、平成20年4月下旬より販売価格の改定を実施するとともに、改定後も販売状況に著しい改善が見られない場合は、さらに価格を引き下げてでも、残住戸を一括売却する方針を固め、販売活動をいっそう強化して参りました。
(中略)
「本物件」につきましては、マンション購入検討のお客様が、千葉県内・東京東部の広範なエリアでの比較、検討をされるために競合物件が多く、買い控えが継続し、価格改定後も販売状況に急速な伸びが見られなかったため、さらに価格を引き下げ、平成20年6月13日に住宅分譲業者に対して未売却住戸58戸を一括売却いたしました。
この一括売却により、既往申込済または契約済未引渡住戸8戸を含めますと、「本物件」は完売となりました。
(後略)

つまり、本物件は競合物件が多く、値下げをしたものの半年経っても申込済み10戸+契約済み8戸の合計18戸(総戸数72戸の4分の1)しかさばくことができなかったことから、
事業主N社(親会社のJ社)が、さらに値下げをして売主P社に叩き売ったということなのだ。


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