不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


「契約率」では実態が分からないのではないか

不動産経済研究所が5月15日発表した4月の首都圏マンション市場動向。
「契約率63.1%、前年同月比11.2ポイントダウン、前月比2.2ポイントダウン」と、売れ行き不調のデータが公表されている。

新聞各社のネット記事を見ると――。
「asahi.com」と「NIKKEI NET」は、契約率が63.1%になったと、不動産経済研究所が公表した内容の引用にとどまっているのに対して、「YOMIURI ONLINE」と「MSN産経ニュース」は70%を9カ月連続で割りこんでいるという情報を付加している。

  • asahi.com(5月15日)
    • 新規発売戸数に対する契約戸数は1,813戸で、月間契約率は63.1%(前年同月比11.2ポイントダウン・前月比2.2ポイントダウン)となった。


  • NIKKEI NET(5月15日)
    • 契約率は前月より2.2ポイント低下の63.1%になった。


  • YOMIURI ONLINE(5月15日)
    • 契約率も11・2ポイント低い63・1%と、売れ行き好調の目安とされる70%を9か月連続で下回った。即日完売物件は25戸で、全体の1%にも満たなかった。


  • MSN産経ニュース(5月15日)
    • 契約率は11・2%減の63・1%で、好調の目安となる70%を9カ月連続で割り込んだ。



さて、この「契約率」なる指標はいったいどういう意味を持っているのか?
不動産経済研究所の公表資料には、特に「契約率」の定義が記載されていない。
でも、次の記述から「契約率」の定義を推定することはできる。

  • 発売戸数 2,875戸
  • 売却戸数 1,813戸(契約率63.1%)



つまり、「契約率」の定義は次のとおりだ。

  • 契約率=当該月の売却戸数(1,813戸)÷当該月の発売戸数(2,875戸)×100



この契約率の定義を理解したうえで、4月の首都圏マンションの、「契約率63.1%、売れ行き好調の目安とされる70%を9か月連続で下回った」というネット記事をみると、疑問がわいてくる。


そもそも契約率の分母となる発売戸数そのものも下がっているのだから、契約率という指標は、実態を適切に表現できていないのではないか。


数年前の契約率70%と最近の契約率70%では、数値の持つ意味が違うということだ。
発売戸数は、数年前のほうが圧倒的に多かった。

最近は、発売戸数が少ないにも関わらず、売却できている戸数も少ない。
発売戸数が少ない。売却戸数も少ない。


ということは、徹底的に売れていないということだ。
「契約率」という指標ではそのことが分からない。


月ごとの発売戸数と契約率の関係をグラフにしてみた。
2005年度 ⇒2006年度 ⇒2007年度と、年々、発売戸数と契約率がともに下落していることがわかる。
f:id:flats:20150617084704j:plain

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.