建築系の隔週専門雑誌「日経アーキテクチュア」8月27日号に「超高層マンションの研究」と題して、26頁にわたり特集記事が掲載されている。
地上40階を超えるタワー型マンションが雨後のタケノコのごとく建ち上がっていて、しかも、そのほとんどが「完売」という人気ぶりを、都市計画や住宅市場、技術の観点から伝えている。
この超高層マンションブームを識者らはどう見ているのか。
以下に一部抜粋しよう。
今の法制度では将来、スラムの温床になりかねない
- 福井秀夫 政策研究大学院大学教授(元国交省)
(前略)超高層になると、何百人もの区分所有者がいるため、決議までにかなりの時間と労力が要るはずだ。
もし、建て替えや大規模修繕ができないと、超高層マンションは荒廃し、スラム化しかねない。
(中略)
スラム化を防ぐ方向で法改正することを日本の社会が断念するなら、セカンドベストとして超高層はすべて賃貸にすべきだ。
賃貸ならば、少数のオーナーの判断で建て替えや大規模修繕をすぐ実行できる。
階数が高くなるほど修繕費は大きく膨らむ
- 山口実 建物診断設計事業協同組合・理事長
(前略)階数が高くなるほど、等比級数的にコストが膨らむと考える。
予定した修繕費用では足りない可能性もある。
これに加えて、分譲では管理組合の合意形成という課題もある。
そう遠くない将来、負の遺産となる可能性があり、気がかりだ。
最後に掲載されている本誌担当のコメントによれば、超高層マンションを数多く供給している大手デベロッパーの住友不動産、大京、三井不動産、森ビルに「将来、建て替えが必要になると考えているか」という疑問をぶつけてみたが、4社とも回答が得られなかったとのこと。
超高層マンションの建て替え・取り壊し問題を次世代に先送りすべきではない。