間取りにバリエーションをもたせて、一定の期間までに契約すれば好みのプランを選べるというのがフリープラン。
メニュープランとかセレクトプランとか呼ばれる場合もある。
間取りの選択肢が増えるのが最大のメリット
たとえば、同じ専有面積80m2でも、4室を詰め込んだ4LDK(Aプラン)を選ぶか、各室の広さにゆとりのある3LDK(Bプラン)を選ぶか、その判断は、各人のライフスタイルによって異なる。消費者サイドからすると、フリープランは、間取りの選択肢が増えるので、望ましいように見える。
でも、消費者は、同じ価格で好きな間取りが選べることを手放しで喜んでばかりはいられない。
フリープランのデメリットは騒音リスク
フリープランの最大の問題点は、生活騒音トラブルが発生する可能性があることだ。ただでさえ、生活騒音は、マンション・トラブルのワースト2(1位は違法駐車、3位はペット飼育。※国土交通省「平成25年度マンション総合調査結果」)。
間取りの変更範囲に台所・トイレ・バスなど、騒音の発生源となりやすい水回りが含まれていたり、あなたが寝室と決めた和室の直上階に、子供部屋が位置したりした場合など、騒音トラブルに発展しやすい。
デベロッパー・サイドのメリット
では、デベロッパー・サイドからこのフリープラン見るとどうなるのか。たとえば、畳仕上げの和室をフローリング仕上げのリビング・ダイニングと一体化するには、遮音性能の高い二重床構造としなければならず、工事費は確実にアップする。
なのに、このような間取り変更は、「無料」である場合が多い。
消費者のニーズ(狭くても部屋数優先の4LDKか、部屋数よりも各室の広さ優先の3LDKか)を見極められないデベロッパーにとっては、多少工事費がかさんでも、消費者の選択肢を増やすことで売れ残りリスクを回避できるメリットのほうが大きいということなのだろう。
以上を理解したうえで、それでもフリープランを選びたい方が注意すべき点は次のとおり。
フリープランを選びたい方が注意すべき点
- 上下左右の隣接住戸が、自分の住戸の寝室などに騒音被害を及ぼさない配置になっていることを確認すること。
- 隣接住戸の確定間取りについて、後で水掛け論にならないように、デベロッパーから一筆とっておければベスト。
- 台所・トイレ・バスなど、騒音の発生源となりやすい水回りをフリープランの範囲(移動可能な範囲)に含めている物件があるとすれば、デベロッパーの売り逃げ戦略なので要注意。
- 将来、隣接住戸の間取り変更による騒音被害を避けるために、マンション管理に係る原始規約(最初にデベロッパーが準備するもの)に、①リフォームによって水回りを移動しないこと、②間取りを変更する場合には、上下左右の隣接住戸の了解を得た上で、管理組合の承諾を得ること、などの規定が明記された物件を選ぶべし。
- 原始規約に間取り変更に係るルールが明確化されていない場合、管理組合の総会で諮ろうとすると利害関係者の調整が大変。