浴室テレビとは、入居当初の数年間しか見られない、マンションの販促装置のこと。
たとえば、浴室に10型のテレビを「標準装備」したマンション。
チョット想像力を働かせれば分かると思うのだが、液晶ディスプレイの保証期間は、せいぜい1〜3年。
液晶パネルやバックライトなど、特定の部品については、たったの1年間しか保証されていない。
しかも、その1年の保証期間内であっても、液晶パネルの劣化やバックライトの輝度低下については保証の対象外としているメーカーがほとんどだ。
だから湯船に浸かって、ゆったりとした気持ちでテレビを楽しめるのは、入居当初の数年間でしかない。
シェル浴槽の出っ張りに子供を座らせてテレビアニメを見せられるから、子供をお風呂に入れやすいというメリットはあるかもしれない。
でも、10年後には、輝度が低下して見づらくなった画面を睨んでいるか、あるいは壊れて無用の長物となったディスプレイを眺めながら、シェル浴槽の出っ張りに腰掛けて、子育ての時代の名残を懐かしむことにならないだろうか。