商業地域とは、12種類ある「用途地域」のひとつ。主として商業その他の業務の利便を増進するため定める地域(都市計画法 第9条)。いわゆる駅前の繁華街のこと。
デベロッパーにとっても都合がいい商業地域
商業地域の最大の特徴は、工業地域、工業専用地域と同様に、日影規制がないこと。居住環境としての日照よりも、商業活動や産業活動の効率を優先させている地域なのだ。
商業地域のもうひとつの大きな特徴は、他の用途地域に比べて、容積率(=敷地面積に対する延べ床面積の割合)が高いことだ。
日影規制がなく、高い容積率が許容されている商業地域は、日照が必須ではない飲食店やスーパーの立地には適している。
日影規制がなく容積率が高いことは、マンション・デベロッパーにとっても都合がいい。狭い敷地に多くの住戸を詰め込むことで、収益性の高いマンションの建設が可能だからだ。
消費者にとって、商業地域に立つマンションのデメリットは何か?
日照条件に恵まれないのが最大のデメリットだろう。また、高い容積率が許されていることから、隣接建物との距離が近い場合がある。隣接建物の窓に手が届くばかりの近さでは、角住戸の魅力が半減してしまうだろう。
商業地域のもうひとつのデメリットは、周辺の迷惑施設の存在。
商業地域は、12種類ある用途地域の中で、個室付浴場業に係る公衆浴場・ヌードスタジオ等の建設が唯一許されている地域だ。
もちろん、第二種住居地域・準住居地域・近隣商業地域において建設可能なパチンコ屋やカラオケボックスも商業地域では建設可能だ。
周辺環境重視か、利便性重視か
では、なぜデベロッパーは、風紀的に劣後し、騒音環境的にも恵まれていない商業地域にマンションを建てるのか?
買う人がいるからだ。
たとえ日照や騒音条件に恵まれなくても、駅チカや飲食店の近さといった利便性のほうを重視する人はいる。
あなたのマンション選びは、周辺環境重視? それとも利便性重視?