不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


総戸数を調べてみると――

臨海部に建つ大規模な超高層マンション。

【第1期 本広告】新橋直通26分、駅徒歩5分。総戸数1,085戸(店舗4戸、保育園1戸、非分譲2戸を含む)、33階建。販売戸数310戸、1LDK(40.80m2)〜4LDK(161.12m2)。販売価格2,980万円〜25,200万円、最多価格帯5,500万円。平成21年3月下旬竣工(本チラシ掲載日の1年8カ月後)。

  • 2月17日(土)の物件と同じ。

ゴマ粒サイズの文字で表示された「物件概要」に目を凝らすと、総戸数が1,085戸となっている。
でも、括弧書きで「店舗4戸、保育園1戸、非分譲2戸を含む」とあるから、実際の販売対象住戸数は、1,078戸(=1,085戸−7戸)だぞ!
このような総戸数の水増し表示は許されているのか?
業界の自主ルール「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」第1条(用語の定義)(4)号によれば、総戸数とは、「新築分譲マンションにおいては、現に取引しようとするすべての建物の一棟ごとの住戸の戸数をいう」とある。
このルールに従えば、店舗(4戸)や保育園(1戸)は住戸ではないし、非分譲(2戸)にいたっては分譲対象でないので、総戸数に含めるべきではないことは明らかだ。
よって、本物件の総戸数は1,078戸と表示するのが正しい。
「物件概要」を読み込んでいくと、次のような怪しげな注釈を発見!

  • ※総戸数につきましては、変更になる場合があります。あらかじめご了承ください。

詳細を確認すべく、電話取材してみた。

  • 筆者「総戸数1,085戸の中の『非分譲2戸』というのは何でしょうか?」
  • 男性販売員「地権者の方の住戸です。その他に保育園、クリニック、調剤薬局、物販店が予定されています」
  • 筆者「どのような物販店が入るのですか?」
  • 男性販売員「ひとつは24時間営業のコンビニです。もう1店舗はまだ決まっていません」
  • 筆者「チラシには、総戸数が変更になる場合があると書かれていますが、どういう意味でしょうか?」
  • 男性販売員「610m2の住戸が2戸あったのですが、1戸は成約済み、もう1戸は検討中の方が契約を見送りまして、その住戸を小分けにした結果、戸数が増えました」
  • 筆者「610m2の住戸をいくつに分割したのですか?」
  • 男性販売員「5つです」
  • 筆者「今後、戸数が変更になることはあるのですか?」
  • 男性販売員「ありません」

専有面積610m2の住戸もなかり馬鹿でかいが、それを5つに分割しても122m2(=610÷5)と、まだまだ大きい。
5カ月前(2月17日)のチラシ(予告広告)を確認すると、たしかに総戸数は1,081戸。今回よりも4戸少ない。
610m2住戸を5つに小分けする前だから、つじつまは合っている。
でも、5カ月前のチラシ(予告広告)に掲載されている最も大きい専有面積は161.12m2だ(610m2ではない!)。
その予告広告には、次のような記載もある。

  • 販売を開始するまでの間は、契約・予約受付・申込順位の保全行為に係る行為は一切できません。あらかじめご了承ください。
  • 販売予定時期/平成19年6月下旬

専有面積610m2もの巨大な住戸を購入する超優良顧客には、申し込み順位など、庶民のルールは適用されないということなのだろう。

(本日、マンション6枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.