不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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バルコニーのない全面窓ガラスから爽快な眺望が期待できるか

全住戸2面採光、開放感も高める角住戸
幹線道路沿いに建つペンシル型の高層マンション。

大手町駅直通7分、駅徒歩11分。総戸数72戸、19階建。販売戸数20戸、3LDK(73.10m2〜75.62m2)。販売価格5,580万円〜7,180万円、最多価格帯5,900万円台。平成20年3月中旬竣工(本チラシ掲載日の9カ月後)。

本物件の特徴のひとつは、19階建てという点。
建築基準法などの規制によって、建物は、高さが高くなるほど設計上の対応が厳しくなっている。
建物の高さを60m以下に収めれば、審査手続きに時間と費用を要する「大臣認定」が不要となる。
だから世の中の超高層マンションは、20階建てが多い。
ただ、20階建てだと、平均階高が3m(=60m÷20階)を切ってしまう。
これに対して、本物件は19階建て。
つまり、住戸数を減らして、平均階高3.15m(=60m÷19階)を確保したという優れものだ。
そのぶん販売価格が76万円/m2〜95万円/m2と高い!
しかし一方で、3LDKで専有面積が75m2前後という平面的な狭さはいただけない。
ワンフロア4戸なので、「全住戸2面採光、開放感も高める角住戸率100%」と謳われているが――。
エレベーターと非常階段と内廊下がマンションの中央に配置されたセンターコア型だから、防災性能上の弱点を抱えている。
コア側で火災が発生した場合には、バルコニーの床の避難ハッチから脱出しなければならない。
配置図をよくみるとエレベーターはたったの1台しかない。
朝の通勤時の待ち時間にイライラさせられることに加え、定期点検や故障時にエレベーターが使えないので、とても不便を感じることだろう。

  • 大きな開放感に包まれるダイレクトスカイビュー

リビングの前にバルコニーがないから、窓ガラスの上から下まで全面的に眺望が楽しめるのが売りだ。
でも、バルコニーがないので窓ガラスは一部を除くとFIX(=開けられない)。
都会の粉塵と雨で汚れた窓ガラスから、爽快な眺望が楽しめるのは、屋上からのロープにぶら下がった窓拭きお兄さんが、掃除をしてくれた何日間かだけか。
窓拭きお兄さんの費用もバカにならないが、窓の清掃費用はしっかり管理費に含まれている。
「角住戸率100%」「ダイレクトスカイビュー」を喧伝する大手デベロッパーのペンシル物件。
本物件は「お客さまと感動を共有する」という企業理念には対応しているかもしれないが、日本の居住環境の向上に貢献しているとはいえるのだろうか。

(本日、マンション2枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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