不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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東京都優良マンション登録表示制度(その4)

この際だから、中古マンションの認定基準についても確認してみよう。
中古マンションの認定基準は、建物の性能(ハード面)と管理規約等(ソフト面)の2本立てだが、その内容は新築マンションとは少々異っている。
先ずは、建物の性能 (ハード面)。

  • 1 建築基準法(現行、第7条第5項又は第7条の2第5項)に規定する検査済証の交付を受けていること。
  • 2 建築基準法施行令第88条第2項及び第3項に規定する耐震性能を有していること。
  • 3 対象部位に該当するすべてにおいて、認定機関が実施する現況検査により、劣化事象等欄の事象が認められないものであること。

ようするに、1は建築確認を受けていること、2は新耐震基準を満たしていること(昭和56年5月31日以前に建築に着手したマンションは、別途耐震診断することが必要)。
3は、認定機関が実施する外観検査において劣化事象等が認められないこと。
「劣化事象等」の内容は、「構造耐力上主要な部分」と「その他の部分」に分けて、表で示されているのだが、それほどハードルは高くなさそうだ。
でも、管理規約等(ソフト面)において、優良中古マンションに求められている要件は、次のように、なかなかハードルが高そうだ。

  • 【管理組合】
    • 区分所有者による集会を開き、管理規約及び管理者を定めていること。
  • 【管理規約】
    • (1) 管理規約が、中高層共同住宅標準管理規約(平成9年2月7日付けの住宅宅地審議会答申)に準じたものであること。
    • (2) (省略)
  • 【長期修繕計画】次に掲げるすべてを定めた長期修繕計画を有していること。
    • 計画期間が原則20年以上
    • 原則として外壁、屋上防水及び給配水管の補修工事に係る修繕予定時期と予定工事金額を明記
  • 【大規模修繕】
    • 原則として、築20年以内に外壁及び屋上防水の補修工事を実施していること。
  • 【修繕積立金】次のすべてに適合していること。
    • 修繕積立金と管理費が区分経理されていること。
    • 修繕積立金の住戸1戸当たりの平均月額が次に定める金額以上ある
      • 経過年数5年未満:6,000円以上(平均専有面積が55m2以上)
      • 経過年数5年以上10年未満:7,000 円以上(同上)
      • 経過年数10年以上17年未満:9,000 円以上(同上)
      • 経過年数17年以上:10,00 0円以上(同上)
      • ※平均専有面積が55m2未満の場合の月額は省略
    • 修繕積立金の前年度収支決算額の収支予算額に対する充足率が95%以上
  • 【法定点検】次の法定点検が適用される場合は、報告等を実施していること。
    • 特殊建築物等定期調査報告、建築設備定期検査報告、昇降機及び昇降機等定期検査報告、消防用設備等点検報告及び簡易専用水道の検査

新築マンションには、見られなかった要件として――。
築20年以内に外壁・屋上防水の大規模修繕が施されていることや修繕積立金がしっかり積立てられているか(95%以上)など、確実な維持管理の実績が求められている点。
中古マンションにおいても、認定基準のハードルの高さが、その活用を妨げているのか?
同制度創設以来、約2年8ヶ月の間に(仮)認定・登録を受けた中古マンションの件数は、たったの8件と惨憺たる状況だ。
ちまたの中古マンションの水準は、同制度基準をクリアには低すぎるのか?
それとも、関係者に同制度を利用するインセンティブが働かないのか?
明日に続く・・・・・・

本日火曜日は、マンション広告なし。

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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