不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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産科医と構造技術者

職業別年収

日曜日の記事の続き
耐震偽装事件の再発防止策のひとつとして、構造設計と設備設計を専門とする1級建築士の新資格の創設など、建築士法が改正された。
8月31日第11回の「社会整備資本審議会 建築分科会基本制度部会」の議を経て、当時の北側国土交通大臣に提出された答申書をひも解くと、構造・設備の専門資格者のお寒い実態が見える。

  • 建築士の業務実態
    • 建築士の業務実態をみると、構造設計に従事するものは、約4%、設備設計に従事する者は約1.1%であり、これらの業務に従事するものの割合が極めて低い状況にある。
    • また、一級建築士試験合格者においても、その職務内容別の構成をみると、構造設計を担当している者の占める割合は約4〜5%(200〜300人程度)で推移しており、同様に設備設計を担当している者は1%強(100人程度)となっている。
    • 建築士事務所に対して行ったアンケート結果(平成18年5月実施)によれば、約半数の事務所が専業事務所であり、また、所員5人未満の小規模事務所が占めており、零細な実態が明らかとなっている。
    • また、全事務所でみると約55%の事務所で開設者と管理建築士が同一となっているが、専業事務所では開設者と管理建築士が同一であることが多い。

(中略)

  • 建築士の業務報酬、賃金水準
    • 1級建築士の賃金水準については、厚生労働省において実施されている「賃金構造基本統計調査」(平成17年度)によれば、年収は約540万円(約44歳)であり、医師(約1,050万円;約40歳)、歯科医師(約900万円;約35歳)、弁護士(約2,100万円;約41歳)等に比べれば低い水準にあるものの、社会保険労務士(約550万円;約38歳)、技術士(約530万円;約40歳)、薬剤師(約507万円;約36歳)とほぼ同程度となっている。
    • しかし、特に、下請けとなっている構造設計や設備設計を担当する建築士は、契約関係上弱い立場にあり、十分な報酬が得られない等の問題が生じているとの指摘もある。

(後略)

建物の安全を担っている構造技術者は、重責を担っている割りには、経済的に恵まれていない様子がうかがえる。
構造専門技術者の育成・確保が急務ではあるのだが、耐震偽装事件の影響もあり、学生の人気分野とはいえまい。
こういった人材不足の状況は、産科医も同様か・・・・・・。
昼夜を問わない激務である上、訴訟リスクが高いことから、産科医のなり手が減っているという。
安全なお産の体制確保に向けて、日本産科婦人科学会の検討委員会は、地域の中核病院を整備するなどの対策を打ち出している。
産科医は、激務ではあるが、日陰の構造技術者と違って、経済的には恵まれているし、クライアント(妊婦)から感謝される程度が大きく違う。
構造技術者がんばれ!


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