不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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定借マンションの行く末は―

日曜日、マンション広告2枚。

東京駅直通16分(快速利用)、駅徒歩20分。総戸数225戸、14階建。販売戸数未定、3LDK(72.14m2)〜4LDK(101.66m2)。予定販売価格2,500万円台〜4,900万円台、予定最多価格帯3,200万円台。平成20年3月中旬竣工(本チラシ掲載日の1年5カ月後)。

敷地のすぐ南を首都高が走っている大規模マンション。

  • 夢を可能にする、定期借地権(地上権・50年)付マンション。
    • 50年間の定期借地権(地上権)付マンションというスタイルを採用。
    • 土地を所有する価値より、利用できる価値を重視することで、より広く、よりグレードの高い住まいを手に入れることが可能になります。
    • ゆとりの人生を大切にする方々に受け入れられ、今、多くの注目を集めています。

3LDK(72.14m2)の予定販売価格2,500万円台、4LDK(101.66m2)の予定販売価格4,900万円台というのは、確かに安い。
この分譲予定価格には、しっかり前払い月額賃料と建物解体準備金も含まれている。
駅徒歩20分と駅から遠いことや、目の前を首都高が走っているという周辺環境の悪さによる安さなのか、定期借地権付マンションゆえの安さなのか・・・・・・。

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“定期借地権付マンション”に明るくない人に、少々説明しておこう。
定期借地権とは、平成4年8月に施行された「借地借家法」によって誕生したもの。
具体的には次の3つのタイプがある。

  • 一般定期借地権
    • 借地期間を50年以上としたもの。期間の満了に伴い、原則として借り主は建物を取り壊して土地を返還する必要がある。
  • 建物譲渡特約付借地権
    • 契約後30年以上経過した時点で土地所有者が建物を買い取ることを、あらかじめ約束しておく。買い取った時点で借地権がなくなる。
  • 事業用借地権
    • 借地期間を10年以上20年以下とし、事業用に建物を建てて利用するための定期借地権で、住宅には使えない。

本物件は、「一般定期借地権」マンションだから、50年後には建物を取り壊し、更地にして土地を返還する必要がある。
分譲価格に「建物解体準備金」が含まれているのも、50年後のマンション解体に備えるためだ。
もしあなたが30代半ばの団塊ジュニアだとすれば、90歳を超えるような長寿命でない限り死ぬまで住み続けることは可能だ。
でも、寿命が尽きるまで安心・快適に住めるのかというと、必ずしもそうではないかもしれない。
なぜなら、50年後にマンションの解体が義務付けられているから、40年を経過したあたりから、マンションの修繕にあまり費用を掛けなくなる可能性があるからだ。
分かりやすくいえば、49年目のマンションを修繕しようというインセンティブが働かないから、ボロボロ状態になっているかもしれないということだ。
このことは、一般の分譲マンションについても同様なのだが、50年後という解体期限の決められた定期借地権付マンションの末路は、より確実にやってくるのだ。
先行事例がないだけに、50年後に向かって定期借地権付きマンションの行く末がどうなるのかは、誰にもわからないが――。
定借マンションの資産価値は、50年後に向かって、確実にゼロになる。
途中で転売することが難しいので、永住志向の人向けだろう。


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