不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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白人モデルの広告効果は―

岩男寿美子氏の論文

日曜日、マンション広告2枚。

  • 7月2日(日)の物件と同じ。

東京駅直通10分、駅徒歩17分。総戸数635戸、20階建。販売戸数未定、3LDK(72.08m2)〜4LDK(103.69m2)。予定販売価格3、100万円台〜5、800万円台、最多価格帯3、900万円台。平成19年12月下旬竣工(本チラシ掲載日の1年6カ月後)。

「23区最大級」の大規模再開発エリアに建つ、大規模マンション。
新聞全紙大のオモテ面に、7cm角の文字サイズで大きく掲載されたキャッチコピーは、

  • さあ、世界家族。

裏面には―。

  • 都心も自然もあきらめない! 気持ちよさ世界標準の暮らしへ。

と書かれている。
広告の裏面に掲載されている人物の写っている15枚のimage photoのうち、明らかに日本人と判る2枚を除くと、残りは白人。
また、image photoを冠していない、人物写真8枚は、次のようなシチュエーションですべて白人モデルが起用されている。

  • 携帯で話しながら歩く、アタッシュケースを持った30代(?)のビジネスマン
  • スーパーの大きな買い物カートを押している幼い兄弟
  • 公園でシートを広げた上に寝そべっている30代(?)の4人家族
  • カフェで話し込んでいる若い二人
  • 幼児を抱きしめている母親
  • 仰向けで幼児を胸上に乗せて遊ばせている父親
  • マウンテンバイクの横に立つ若い男性
  • ハイルーフ車のバックにもたれかかる30代(?)の4人家族

本物件のキーワードのひとつが「世界家族」。なのに登場する人種はすべて白人。
東洋人でもなければ、黒人でもアラブ人でもない。
なぜこれほどまでに、白人を登場させているのか?
日本人モデルよりも白人モデルを起用したほうが、物件がより魅力的に映るというのが一般的な理解だろう。
大蔵省財政金融研究所「フィナンシャル・レビュー(June-1989)」に掲載されている岩男寿美子氏の論文「日本人の対外国人態度」が興味深い。
白人モデルを起用した広告効果を確認するために、アデランスを宣伝したトム・ワイスコフと上原謙、カネボウ・レディ8 0を宣伝したブルック・シールズと古手川祐子の6種類のテレビCMを比較分析している。
以下に簡単に抜粋してみよう。

(前略)
この実験の結果、全く同一の商品であっても、白人モデルが宣伝している場合には日本人が宣伝しているものに比べて「魅力的」で「格好よく」「洗練されて」みえることが明らかに示されたのである。
念のためにつけ加えると、この実験で使ったCMの日本人モデルはいずれも美男美女タイプの一流俳優であるが、どこからみても間違いなく日本人にみえる。
一方、比較の対象となる白人モデルはすべて日本でもかなり名の通った俳優やスポーツ選手で、新聞の折り込み広告やスーパーのチラシに登場する部類の無名の外国人モデルではない。
ひとつの実験室実験の結果を広く一般化して論じることば慎むべきではあるが、この実験で得られた白人モデルCM群と日本人モデルCM群の間の統計的有意差は、これまでよく指摘されてきた日本人の白人コンプレックスと一致していることは否定できない。
単に日本人と違っているからひと目をひく、あるいはギャラが安いという理由のために外国人を広告に使うるのであれば、白人に偏る必要ない。
日本人とあまり区別のつかないアジア諸国の人は別としても黒人やアラブ人でも同じような効果が期待されるはずである。
それなのに白人に偏るのは端的にいって、多くの日本人は、白い肌はハダ色の肌より、大きな眼は小さな眼より、高い鼻は低い鼻より、ながく細い足は短く太い足より美しく格好いいと思っているということであろう。
(以下省略)

あなたは、白人モデルを起用した物件広告から、魅力的で格好よく洗練されたイメージを連想していないだろうか。
白人モデルを自分に置き換えて、冷静に物件の価値を判断する姿勢必要だと思う。


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