不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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転借地権の大規模マンションの30年後は・・・

土曜日、マンション・チラシ2枚。

  • 5月21日(土)の物件と同じ。

東京駅直通29分(快速利用)、駅徒歩12分。総戸数366戸(賃貸予定住戸17戸含む)、18階建。販売戸数未定、3LDK(84.84m2)〜4LDK(185.29m2)。販売価格未定。平成19年3月上旬竣工(本チラシ掲載日の1年9カ月後)。

湾岸の大規模開発エリアの一角に建つ大規模マンション。

  • 分譲後の権利形態/敷地は転借地権(底地人:千葉県、借地人:売主、転借地人:ご購入者)の準共用、建物は区分所有
  • 土地権利・借地権種類/普通賃借[借地権の期間:建物竣工後30年(更新可能※保証金をとった場合)地代:未定]

「物件概要」に敷地の権利関係について、こまごまと記載されている。千葉県が所有している土地の上にマンションを建てて、地代を払い続けることで、少なくとも30年間はマンションに住み続けることができるということ。詳細が不明なので、電話取材した。

  • 筆者「竣工後30年経って、保証金をとった場合契約更新が可能となっていますが、どういう意味ですか?」
  • 男性販売員「地代の評価額の5%以内を支払えば、契約更新が可能になります」
  • 筆者「地代の評価額とは具体的にはいくらになるのでしょうか?」
  • 男性販売員「30年後の地代が、仮に1ヵ月1万円として、年間12万円となります。その5%なので6万円が保証金となります」
  • 筆者「6万円の保証金は戻ってくるのでしょうか?」
  • 男性販売員「6万円はいわゆる契約更新料なので戻ってきません」
  • 筆者「チラシでは、『地代:未定』となっていますが、大体いくらくらいですか?」
  • 男性販売員「周辺の物件からすると月額1万円から1万5千円くらいです。ただし、3年ごとに見直すことになります」
  • 筆者「30年後の契約更新で、あと何年延伸できるのですか?」
  • 男性販売員「30年です」
  • 筆者「借地借家法では、『最初の更新は20年』となっていますが、特約で30年とするのですね」
  • 男性販売員「通常20年ですが、30年で契約することにしています」
  • 筆者「さらに30年が経過した場合の延伸期間はどうなっていますか?」
  • 男性販売員「法律では10年とありますが、まだそこまでは検討していません」
  • 筆者「30年後に契約更新しない場合はどうなりますか?」
  • 男性販売員「住民の5分の4以上の賛成で契約更新が可能ですので、契約更新しない可能性は少ないと思います」
  • 筆者「仮に、住民の5分の4以上の賛成が得られず、契約更新できない場合にはどうなりますか?」
  • 男性販売員「売主である千葉県に、建物を買い取ってもらうことになります」
  • 筆者「いくらで買い取ってもらえるのですか?」
  • 男性販売員「そのときの時価になります」

30年後に保証料(契約更新料)を6万円ほど千葉県に支払えば、さらに30年間はマンションに住み続けられそうだ。
売主(千葉県)が、契約延伸を拒めるのは、土地の使用を必要とする事情がある場合だ。仮にそのような事情が千葉県にあったとしても、土地明け渡しに要する費用は転借地権者(住民)に支払われるので心配する必要はないのかもしれない。
下記に借地借家法の抜粋を示す。

第3条(借地権の存続期間)
 借地権の存続期間は、30年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
第4条(借地権の更新後の期間)
 当事者が借地契約を更新する場合においては、その期間は、更新の日から10年(借地権の設定後の最初の更新にあっては、20年)とする。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
第5条(借地契約の更新請求等)
 借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。
2 借地権の存続期間が満了した後、借地権者が土地の使用を継続するときも、建物がある場合に限り、前項と同様とする。
3 転借地権が設定されている場合においては、転借地権者がする土地の使用の継続を借地権者がする土地の使用の継続とみなして、借地権者と借地権設定者との間について前項の規定を適用する。
第6条(借地契約の更新拒絶の要件)
 前条の異議は、借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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