日曜日、マンション・チラシ1枚。
大手町駅直通7分、駅徒歩6分。総戸数53戸、14階建。販売戸数未定、2LDK(58.37m2)〜4LDK(86.74m2)。販売価格未定。平成18年3月上旬竣工(本チラシ掲載日の1年1カ月後)。
1年1カ月後の竣工に向けて、販促チラシを始めた企業跡地に建つ中規模マンション。
チラシのオモテ面には、本物件の北側を流れる河川の写真が全面に掲載されている。裏面の上半分には周辺施設の写真、下半分には、間取り図が2つ。
- ほしかったのは、家族がきちんと暮らせるマジメなプラン。全戸南向き、伸びやかな3LDK中心です。
2つの間取り図は、宣伝文句どおり、確かに全戸南向きの典型的な羊羹(ようかん)型の「マジメなプラン」だ。
でも、じっくり分析していくとデベロッパーの巧妙なチラシ工作が見えてくる。
ふたつの間取り図は、西側角住戸と東側角住戸。本物件は総戸数53戸、14階建てだから、1階当たり4戸の住戸が並んでいることが容易に想定できる。
4戸/階×14階=56戸だから、1階は共用施設が3戸(=56戸−総戸数53戸)となる勘定だ。
1階当たり4戸の住戸が並んでいるから、東西2つの角住戸に挟まれた住戸は2戸あることになる。
つまり、全戸数のうち、半分が角住戸、半分が妻側に窓を持たない住戸であるにも係らず、チラシには、見栄えのよい角住戸しか掲載されていないということだ。
このような狡猾なチラシ工作が許されているのは、マンションの全体配置図を掲載することが義務付けられていないことに一因している。
さらに、「物件概要」を見ると、本マンションには、9人乗りエレベーターが1基計画されていることがわかる。
東西2つの角住戸の共用廊下部分にはエレベーターが描かれていない。
ということは、1台しかないエレベーターは、共用廊下の中央付近に位置していることが想定できる。
マンションの全体配置図が掲載されていれば、角住戸の間取り図しか掲載されていないチラシの不自然さには、建築に明るくない人でも容易に気がつくだろうし、エレベーターの正面に位置する、落ち着かない住戸は避けたいと思うだろう。
チラシには全体配置図も掲載すべし!