マンションチラシを眺めていて、あらためて思う。
都会のマンションは、いつからこんなに狭くなってしまったのか?
3室で65.64m2 狭くはないか
駅チカの南北に長い敷地に建つ小規模マンションの広告。
物件概要
【第1期 本広告】新宿駅直通32分、駅徒歩2分。総戸数35戸(うち、提携企業勤務者向け分譲3戸含む)、5階建。販売戸数19戸、1LDK(41.35m2)~3LDK(72.24m2)。販売価格3,588万円~5,528万円、最多価格帯4,500万円台。平成30年6月下旬竣工(本チラシ掲載日の7カ月後)。
- 7月7日(金)の物件と同じ。
B4判のチラシ裏面に2つの間取り図が掲載されている。
- A1タイプ:72.24m2、2LDK+S
- D1タイプ:65.64m2、2LDK+S
「S」と略記されているのは、サービスルームのこと。サービスルームとは、建築基準法上の「有効採光」が確保できない「部屋」をカムフラージュするための呼称。
※詳しくは、「サービスルームとは|マンション広告の用語解説」ご参照。
D1タイプは3室で65.64m2。狭くはないか。
A1タイプも3室。D1タイプよりも広い72.24m2だが、3室のうちの2室は5畳。6畳に届いていない。
都会のマンションは、いつからこんなに狭くなってしまったのか?
首都圏新築マンション 年々狭く
不動産経済研究所が定期的に発表している「首都圏新築マンション市場動向」に平均発売価格と平均発売単価が掲載されている。
平均専有面積(=平均発売価格÷平均発売単価)を計算して、グラフ化してみた(次図)。
首都圏新築マンションの平均専有面積が、年々小さくなっている。
特に08年のリーマンショックを境に、より小さくなっている。
1都3県のデータを可視化してみると、とりわけ千葉県の平均専有面積の縮小が顕著であることが分かる(次図)。
1年ほど前から「単身向け住戸」の割合増加
首都圏新築マンションの平均専有面積が小さくなっている原因としては、二つ考えられる。
- (1) 高騰する販売価格を抑えるために、専有面積を小さくしていること。
- (2) 発売される新築マンションの「単身向け住戸」の割合が増加していること。
不動産経済研究所が過去に発表した資料もひも解き、単身向け住戸(ワンルーム、1K、1LK、1DK、1LDK)の発売戸数データを可視化したのが次図。
1年ほど前から、「単身向け住戸」の割合が増加している傾向が読み取れる。
ついでに、近畿圏の新築マンションについても可視化してみた。
近畿圏の新築マンション 11年以降、首都圏よりも狭く
近畿圏の新築マンションの平均専有面積は11年以降、首都圏よりも小さくなっている(次図)。
17年上期の近畿圏の新築マンションの平均専有面積59.6m2まで縮小している。
高騰する販売価格を抑えるために専有面積を小さくした結果なのか、あるいは「単身向け住戸」の割合が増加した結果なのか、あるいはその両方なのか……。
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(本日、マンション広告2枚)