政府は4月21日、弾道ミサイル攻撃を受けた際の避難方法を国民に周知するため、内閣官房のホームページに掲載した。
建物がない場合、「物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る」って、どう考えてもアウトでしょ。自分の身は自分で守ろう!
- 地面に伏せ、窓から離れて…(朝日の記事)
- 政府が周知する「弾道ミサイル落下時の行動」
- 生きるか死ぬかの局面で、行政に指示を仰ぐ?
- 韓米研究者の被害想定:東京死者42万人、大阪死者48万人
- NukeMapでシミュレーションしてみた
- 【動画】もし北朝鮮の核ミサイルで攻撃されたら?
- 正常性バイアス(都合の悪い情報を過小評価していないか?)
- 自分の身は自分で守る!
地面に伏せ、窓から離れて…(朝日の記事)
政府は4月21日、弾道ミサイル攻撃を受けた際の避難方法を国民に周知するため、内閣官房のホームページに掲載した。
地面に伏せ、窓から離れて…政府HPにミサイル避難方法
政府は21日、弾道ミサイル攻撃を受けた際の避難方法を国民に周知するため、内閣官房のホームページに掲載した。
(中略)
今回掲載された「弾道ミサイル落下時の行動について」では、着弾の可能性がある場合、頑丈な建物や地下街に避難し、建物がない場所では物陰に隠れて地面に伏せるよう要請。屋内にいる時は、窓から離れることを求めている。(以下略)(朝日新聞デジタル 4月21日)
内閣官房のホームページに掲載されているという「弾道ミサイル落下時の行動について」を確認してみよう。
政府が周知する「弾道ミサイル落下時の行動」
内閣官房の「国民保護ポータルサイト」にアクセスすると、「更新履歴」の欄に、「弾道ミサイル落下時の行動について(その2)」や「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」が公表されていることが確認できる(次図)。
「弾道ミサイル落下時の行動について(その2)」(457KB)には、具体的な注意事項がワンペーパーにまとめられている(次図)。
建物がない場合、「物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る」って、どう考えてもアウトでしょ。
生きるか死ぬかの局面で、行政に指示を仰ぐ?
同サイトに公開されている「弾道ミサイル落下時の行動に関するQ&A」は、次の8つ(4月22日現在)。
- 問1 ミサイルは発射から何分位で日本に飛んでくるのでしょうか。
- 問2 なぜ頑丈な建物や地下街などへ避難するのですか。
- 問3 自宅(木造住宅)にいる場合はどうしたらよいでしょうか。
- 問4 建物内に避難してから気を付けることはありますか。
- 問5 弾道ミサイルの情報が伝達されたとき、自動車の車内にいる場合はどうすればよいですか。
- 問6 車から出ると危険な場合はどうしたらよいですか。
- 問7 ミサイルが着弾した後は何をすればいいですか。
- 問8 近くにミサイルが着弾した時はどうすればいいですか。
たとえば、問7。
ミサイルが着弾した後は、情報収集に努め、行政からの指示があればそれに従えとなっている。
問7 ミサイルが着弾した後は何をすればいいですか。
(答)
弾頭の種類に応じて被害の様相や対応が大きく異なります。
そのため、テレビ、ラジオ、インターネットなどを通じて情報収集に努めてください。また、行政からの指示があればそれに従って、落ち着いて行動してください。
生きるか死ぬかの局面で、行政に指示を仰ぐってか?
自分の身は自分で守るしかなかろう。
韓米研究者の被害想定:東京死者42万人、大阪死者48万人
もし、北朝鮮の核ミサイルが日本に着弾した場合、どの程度の被害が想定されるのか?
いまのところ、政府からの公式な発表はない。
韓米の研究者2人による、米国防総省が使用する軍事シミュレーションのソフトウェアを活用した被害想定では、東京死者42万人、大阪死者48万人という恐ろしい結果となっている。
北朝鮮が瀬戸際外交を越える時 戦慄シミュレーション
(前略)韓米の研究者2人が『ウォー・シミュレイション 北朝鮮が暴発する日』(2003年、新潮社)で示したもので、「米ヘリテージ財団の協力を得て、米国防総省が使用する軍事シミュレイションのソフトウェアを活用」と説明がある。
04年5月31日午前8時、12キロトン級の核兵器(広島型は15キロトン、長崎型は21キロトン)が地表爆発したら──。天気や風向きもふまえた予測はこうだ。
- 東京 爆心地・国会議事堂付近 死者42万3627人、全体被害者81万1244人
- 大阪 爆心地・梅田付近 死者48万2088人、全体被害者88万1819人
その時の表現は生々しい。
「2.5キロ以内に存在する人の90%以上はカメラのフラッシュのような閃光(せんこう)を見た瞬間に消える」「爆発で生き残っても、弾丸のように吹き込む大量のがれきで致命傷を負う」「永田町、霞が関、丸の内が壊滅すれば日本の中枢機能は一瞬で停止する」(以下略)(dot.ドット 朝日新聞出版 4月5日)
日本政府がすぐに被害想定を公開しないのは、いつものことだ。
福島第一原発事故のときに、国民に無用な混乱を招くとして、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の予測計算結果を開示しなかったことを覚えているだろうか。
なにも知らされずだた不安に思うのではなく、ここは状況を理解して「正しく恐れる」(寺田寅彦の箴言)こととしたい。
政府が公開しないのならばと、NukeMapを使って、弾道ミサイルが落下したときの被害想定をしてみた。
NukeMapでシミュレーションしてみた
スティーブンス工科大学のアレックス・ウェラーズテイン准教授(ハーバード大学で科学史の博士号取得)が作成した、核爆発の威力をシミュレーションできるサイトNUKEMAPを使って、国会議事堂付近で「広島型原爆(15キロトン)」が爆発した場合のシミュレーションをしてみた(次図)。
地表で爆発した場合よりも、上空で爆発したほうが、地面にエネルギーを吸収されないぶん被害が大きい(広島の原爆は上空600mで爆発した)。
↓ 地表で爆発した場合、死者1万7,590人、全体被害者7万3,500人。
- 火の玉の半径(オレンジ色):230 m
- 爆風の半径(赤色):540m
- 放射能の半径(ねずみ色):1.13 km
- 熱放射(3度熱傷)の半径(外側のオレンジ色):1.68 km
↓ 上空で爆発した場合、死者4万7,030人、全体被害者22万1,500人。
- 火の玉の半径(オレンジ色):180 m
- 爆風の半径(赤色):340 m
- 放射能の半径(ねずみ色):1.2 km
- 熱放射(3度熱傷)の半径(外側のオレンジ色):1.67 km
「dot.ドット 朝日新聞出版 4月5日」の被害想定よりも小さい結果となったが、それでも甚大な被害であることには変わりはない。
【動画】もし北朝鮮の核ミサイルで攻撃されたら?
幸福実現党系メディア「THE FACT」が2016年7月に公開した4分の動画。
※「水爆」による被害想定動画なので、現在の北朝鮮の核能力ではここまでヒドイことにはならないことに要留意。
正常性バイアス(都合の悪い情報を過小評価していないか?)
北朝鮮から日本に向けてミサイルが飛んできても、途中で迎撃されるから大丈夫だとか、まだ核は搭載されていないから恐れることはないとか思っていないだろうか。
自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のことを「正常性バイアス」という。
東日本大震災のときに、警報が出ているのを知りながら避難しない人たちがの思考は正常性バイアスの一例である。
「米海軍の原子力空母カールビンソンが朝鮮半島で睨みを利かせているので、北朝鮮からミサイルは飛んでくるはずがない」と考えるのが「正常性バイアス」でなければいいのだが・・・・・・。
自分の身は自分で守る!
「国民保護ポータルサイト」にアップされた「弾道ミサイル落下時の行動」に従っているだけでいいのか?
自分の身は自分で守る!
まずは、全国瞬時警報システム(Jアラート)が受信できる「Yahoo! 防災速報」の無料アプリを入れよう。
4月25日(火)は朝鮮人民軍が創設85周年の記念日なので、金正恩が何かしでかすかもしれない。
当日は家族を連れて、地方に疎開しておくか・・・・・・。