那覇市は2月13日、「平成29年度 那覇市民泊施設実態調査報告書」を公表。
気になるところを整理しておいた。
那覇市内の民泊施設の8割が無許可(琉球新報)
那覇市は2月13日、「平成29年度 那覇市民泊施設実態調査報告書」を公表。
市内の民泊622件のうち8割以上が無許可民泊だったという。
那覇民泊8割無許可 3割は旅館用途地域外 市が調査
那覇市が13日までにまとめた商業民泊施設実態調査の報告書によると、市内の民泊施設は622件あり、そのうち旅館業法の許可を取っていない施設は522件で8割以上を占めた。住居専用地域など旅館業の許可を取得できない場所に所在する施設は196件(32%)あった。今後、県と協議し市独自の条例制定の是非について検討を進める。(以下略)
(琉球新報 2月14日)
報告書の気になるポイント
那覇市が2月14日、ホームページにアップした「平成29年度 那覇市民泊施設実態調査報告書」は、次の2本立て。
「全体版」は全96頁。「概要版」(全10頁)をもとに、下記項目のうち「3. 分析及び検討」から気になるところを整理しておこう。
1. 民泊を取り巻く状況の整理
1-1. 概況
1-2. 住宅宿泊事業法制定までの経緯
2. 民泊施設実態調査とヒアリングの結果概要
2-1. 調査の前提
2-2. 市内民泊施設の状況
2-3. 地域別概況
2-4. 関係者の意見
3. 分析及び検討
3-1. 市内宿泊施設の推移予測
3-2. 民泊の経済効果の分析
3-3. 民泊サービスへの対応方向性
市内宿泊施設の予測:2024年度に2,200室不足
市内宿泊施設の推移予測
本市の宿泊施設はシミュレーションの結果、平成36年度に2,200室ほど不足する可能性があることが示されました。ただし、この予測推移は宿泊施設数が一定の割合で増加することや、市内に宿泊する旅行者の平均宿泊数が2.6泊まで上昇すること(本市の観光目標値)など、いくつかの条件を設定した上での暫定値になります。(P9)
民泊の経済効果:2024年度には7.6倍の558億円(観光収入の10.3%)
民泊による経済効果は2017年度の73億円(観光収入の2.2%)から、7年後の2024年度には7.6倍の558億円(同10.3%)になると予測している。
民泊の経済効果の分析
那覇市内における民泊宿泊者数は概ね年間10万人程度で、民泊宿泊者による観光収入は市全体の2.2%にあたる約73億円と推計されました。また、平成36年度に2,200室不足した客室を全て民泊で対応した場合、民泊宿泊者は年間62万人となり、その観光収入は市全体の10.3%にあたる約558億円と予測されます。(P9)
市の基本的な考え方:市民の安全・安心優先、既存宿泊業の存在感を重視
市民の安全・安心を優先、既存宿泊業の存在感を重視するとしている。
民泊サービスへの対応にあたっての基本的な考え方
(以下略)P10
- 民泊サービスを含めた宿泊環境の整備にあたっては、市民の安全を確保し、安心して暮らせる住み良い生活環境を守ることが優先される。
- 遊休資産を活用するシェアリングエコノミーの推進は、世界的な潮流にあることを理解した上で、本市の観光目標の達成に向け、適切な民泊サービスの展開を目指す。
- 民泊サービスは本市の宿泊施設の不足を補うことを第一義とするのではなく、多様なツーリズムニーズに応えるものととらえ、本市における既存宿泊業の存在感を重視したうえで、宿泊環境全体が高まるような民泊コントロール施策を誘導することをめざす。
規制すべき方向性:住居専用地域と文教地区の家主不在型民泊を制限
住居専用地域と文教地区の家主不在型民泊に制限を設けるとしている。宿泊者の対面での本人確認は努力義務。
那覇市で規制・推奨すべき方向性
- 住居専用地域及び文教地区(学校等施設から半径100mの範囲)における家主不在型民泊の営業に一定の制限を設ける。ただし、法施行直後の混乱が懸念されることから、沖縄県との協議を前提に、一定期間は沖縄県とルールを統一することを検討する。
- 家主不在型民泊に対し、住宅宿泊管理業者(もしくは事業者)が、宿泊者、近隣住民、警察等と確実に連絡できる通信手段の携帯及び迅速な駆けつけ方法を定める。
- 住宅宿泊管理業者(もしくは事業者、鍵の受け渡しの代行者等)が対面での本人確認及び必要事項の説明を行うことを努力義務とするよう定める。
(P10)