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民泊の本人確認はテレビ電話など3手法で決まり!?

日経記事によれば、国土交通省と厚生労働省は、大田区の特区民泊の取組をもとに、3種類の方法で宿泊者の本人確認することを決めたという。


もくじ

民泊、本人確認にテレビ電話など3手法(日経記事)

国土交通省と厚生労働省は、大田区の特区民泊の取組をもとに、3種類の方法で宿泊者の本人確認することを決めたという。

民泊、本人確認にテレビ電話など3手法 国交・厚労省

国土交通省と厚生労働省は来春の民泊解禁にあわせ、宿泊者の本人確認手法を決めた。家主や施設の管理業者が対面で確認する方法に加え、電子端末を通じた映像による確認のほか、周辺の宿泊施設に作業の代行を依頼することも認める。合法的な施設にはこの3つのどれかを選んでもらい、訪日客らに安心して滞在できる体制を提供する。
(中略)
 両省は年内に必要な手続きを終える方針。国家戦略特区を生かす東京都大田区の取り組みをもとに確認手法を決めた。大田区では昨年から160の施設が民泊施設として稼働しており、区の手法を全国で取り入れても問題ないと判断した。

 3つの手法の1つ目は対面の確認。パスポートの写真と顔をみて滞在予定者の名簿と照らし合わせる。2つ目は周辺のホテルや旅館による代行。フロントでパスポートと本人の顔を確認し、部屋のカギを渡す。3つ目は部屋にタブレットやスマートフォン(スマホ)などの電子端末を置き、テレビ電話を通じ確認する。(以下略)

(日本経済新聞 8月18日)

国交省と厚労省が決めたという本人確認手法の情報については、日経以外のマスメディアが伝えていないので(8月19日AM現在)、日経だけが報じるアドバルーン記事なのかもしれない。

新経済連盟(代表理事:三木谷浩史)の要望実現!?

民泊の本人確認については、新経済連盟(代表理事:三木谷浩史)が4月26日付で「住宅宿泊事業法案(いわゆる民泊新法)に対する考え方」(PDF:130KB)のなかで、対面以外の方法として、ビデオ通話システムなどITを活用した本人確認方法を要望していた。

本人確認について
本人確認にあたっても対面原則を撤廃し、対面以外の方法を認めること

  • 通達等により本人確認を求めることとする場合、特区における制度も参考にしつつ、ビデオ通話システムなどITを活用した本人確認方法を認めること
  • 鍵についても、スマートキーなどITの活用を念頭に置くこと

新経済連盟には、代表理事に三木谷浩史楽天代表取締役会長兼社長がいるほか、5人の理事のなかの1人に LIFUL(旧 ネクスト)の井上高志代表取締役社長が含まれている。

楽天とLIFULLといえば、今年の6月22日付で共同で設立した「楽天LIFULL STAY株式会社」で民泊事業に参入することを表明している(楽天とLIFULL、共同で新会社を設立し民泊事業に参入)。

今回日経が報じた本人確認3手法は、楽天が展開する民泊事業(楽天の民泊事業戦略)に貢献することになりそうだ。

 

住宅宿泊事業法(民泊新法)が参院本会議で可決されたのは6月9日。

宿泊者の本人確認について、国会での議論もザット確認しておこう。

本人確認に係る国会での議論

【衆議院 国土交通委員会(17年5月31日)】

「対面またはそれと同等の手段」で本人確認を行うという観光庁長官の説明に対して、穀田委員(共産党衆議院議員)は「4,600何ぼもでけへんのに、何万とある、ごまんとあるものをどないしてしますねんな」と実効性に疑問を呈している。

田村政府参考人(観光庁長官)

(略)宿泊者名簿の記載に当たりましては、宿泊者の氏名、住所、職業等が実際に宿泊する者の情報と同一かつ虚偽ではないことを担保するため、旅券の提示を求める等によりまして本人確認を行うとともに、それが対面またはそれと同等の手段で行われる必要があるというふうに考えております。
 本人確認が適正に行われていない場合につきましては、業務改善命令の対象となるとともに、業務改善命令にも従わない場合には、業務停止命令または業務廃止命令の対象となる場合があるというふうに考えております。
 こうした措置を講ずることによりまして、住宅宿泊事業の適正な実施を確保してまいりたいと考えております。


穀田委員(共産党衆議院議員)

まあ、担保にならぬね。だって、それをやる人がいないんだから。いつもそう言うわけだけれども、さっきとも同じじゃないですか。業務を誠実に執行し、それから指導しなんて、指導できてへんやんか。あんな無法があるのに、4,600何ぼもでけへんのに、何万とある、ごまんとあるものをどないしてしますねんな。誰が見たかて、そういうことはでけへんということがあるから、みんな不安なんですやんか。それで、各政党だって、自分のところの中でいろいろな議論があるわけじゃないですか。(以下略)

 

【参議院 国土交通委員会(17年6月8日)】

ICTなどを活用した対面と同等の手段の一例として、田村政府参考人(観光庁長官)は、パスポートをタブレット端末の写真で撮影し、オペレーターとビデオ通話でつなぎ、パスポートとテレビ通話内の画面の人物を照らし合わせる方法を紹介している。

長谷川岳委員(自民党参議院議員)

世界でもいろんな問題が起きているわけでありますが、特に、やはりこういったテロ等を防ぐためには、本人確認というのが非常にキーになってくるというふうに思います。
 大臣は、以前、宿泊時に旅券の提示等を求めることにより本人確認をすることとしており、それを対面ないしICTなどを活用した対面と同等の手段で行うという答弁をされておりますけれども、この対面と同等というICTを活用した本人確認の一例というのを挙げていただきたい。ここは非常に鍵になると思いますので、お願いしたいと思います。


田村政府参考人(観光庁長官)

実際に利用されている本人確認の一例、御紹介申し上げますけれども、ICTを活用した通信可能なタブレット端末が設置をされており、このタブレット端末では四か国語から言語を選ぶことができるということであります。
 宿泊者は、画面からの指示に従いまして氏名、住所、国籍などの宿泊者の情報の入力を行っていきます。続いて、パスポートをタブレット端末の写真で撮影をいたしまして、最後に、オペレーターとビデオ通話でつなぎ、パスポートとテレビ通話内の画面の人物を照らし合わせることで本人確認を実施しているということであります。

ICTを活用したテレビ通話で本人確認する方法は、住宅宿泊事業法(民泊新法)が成立する前の国会で議論されていたのである。

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