東京都環境局は1月31日午後、四谷区民ホールにて「平成29年度 東京都環境建築フォーラム」を開催。
都によるマンション環境性能表示の情報提供とSUUMO編集長の池本洋一氏のプレゼンに興味があったので参加してきた。
一部の題目のレビューも書いておいたが、チョット辛口だったか……。
- 無料フォーラムなので空席が目立った!?
- 1.秋元教授:ぜっち、ぜっち、ぜっち
- 2.環境都市づくり課主事:5分間の原稿棒読み
- 3.環境都市づくり課主任:分かりにくいグラフの羅列
- 4.SUUMO編集長:いかにして消費者に伝えるか
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無料フォーラムなので空席が目立った!?
四谷区民ホールの9階受付で、同フォーラムの資料(全56頁)と「夏の暑さ対策の手引き」(全47頁)資料を受け取る(写真)。
会場に入ると、後ろのほうに記録撮影用のビデオカメラが設置されていた。「5分前になったらカメラを回すぞ!」という声。
定員300名にしては会場はスカスカ。参加費無料なので空席が目立ったのか、それともフォーラムの構成に魅力が欠けていたのか……。冒頭挨拶に、環境大臣も務めたことのある小池都知事が登場すれば、会場は満員になったであろう。
プレゼンは次の6件。
- 1.集合住宅の省エネルギー対策について【55分】
芝浦工業大学 建築学部建築学科教授 秋元孝之氏- 2.集合住宅等における暑さ対策【5分】
環境局 地球環境エネルギー部 環境都市づくり課主事 池田萌子- 3.東京都マンション環境性能表示の実績と傾向【10分】
環境局 地球環境エネルギー部 環境都市づくり課主任 中村諭- 4.メディア視点からみた省エネ住宅の浸透策【40分】
リクルート住まいカンパニー SUUMO編集長 池本洋一氏
(休憩)- 5.ライオンズ芦屋グランフォート~Nearly ZEHによる非常時のエネルギー自立と省CO2の両立~【25分】
大京 建設管理部商品企画室商品開発課主任 内田麻衣子氏- 6.集合住宅におけるZEH推進について【25分】
積水ハウス 環境推進部温暖化防止研究所部長 近田智也氏
1~4につき、以下にレビュー。
1.秋元教授:ぜっち、ぜっち、ぜっち
芝浦工大の建築学科 秋元教授による「集合住宅の省エネルギー対策について」。プレゼン時間の多くを「集合住宅におけるZEHの定義や施策の方向性」の説明に注力。
ZEH(ぜっち)という言葉はまだ世間に広まっていない。教授殿の説明のなかで、何度も「ぜっち」という耳障りな言葉が出てきたので、記憶には残ったが……。『』で括った『ZEH』や、Nearly ZEH、ZEH Ready、ZEH Orientedといった和製英語を並びたてられてもなぁ。
技術バカが消費者ニーズとは関係のないところで、省エネ計算をこねくり回しているという印象(下品な表現で失礼!)。どんどん複雑化、煩雑化する省エネ計算が義務化されて喜ぶのは誰か。複雑化・煩雑化に伴う費用増は回りまわって、消費者が負担することになるのではないか。
マンションという国交省の縄張りに、省エネという切り口で経産省が割り込もうとしているように見えてしまうのは筆者だけか。
2.環境都市づくり課主事:5分間の原稿棒読み
環境都市づくり課主事殿による「集合住宅等における暑さ対策」。事前の次第には入っていなかった、都職員主事殿による題目。
エコビレッジ住宅とエムスマートシティ熊谷jなどの紹介。あと「夏の暑さ対策の手引き」の紹介。
たったの5分間とはいえ、原稿棒読みは勘弁してほしい。
3.環境都市づくり課主任:分かりにくいグラフの羅列
環境都市づくり課主任殿による「東京都マンション環境性能表示の実績と傾向」。マンション性能表示を含む「東京都建築物環境計画書制度改正に係る技術検討会」の検討状況が聞けるのかと思って、今回最も期待していた題目のひとつ。
「マンション環境性能表示の実績と傾向」につき、まとめたものを報告するのは今回が初めてだという。
項目別割合や年度別割合、規模別割合や所在地別割合、・・・(次図参照)。
こうなっていましたという結果のグラフで並べられてもなぁ。
どうせなら、次図のほうが分かりやすくないか(手前味噌で恐縮)。
「「設備の省エネ性」「建物の断熱性」は三つ星が当たり前!「東京都マンション環境性能表示」の相場感」より
4.SUUMO編集長:いかにして消費者に伝えるか
当初の題目は、「環境性能表示の重要性」というお固い表現。これではお客さんを呼べませんぜ、だんな。
「メディア視点からみた省エネ住宅の浸透策」という題目に相応しい内容であった。
ZEHやBELSといった省エネ指標を、いかにして消費者に伝えるか。
賃貸住宅の物件ページに、家賃だけでなく「想定光熱費」も併載するアイデアは秀逸(次図)。家賃が多少高くても、想定光熱費が安くて、トータルの月額出費は安い物件のほうが貸し手がつくという話。
さすがSUUMO編集長である。