港区は12月21日、民泊条例案の骨子を発表。
住居専用地域や文教地区で家主が不在の場合、民泊営業は春休みや夏休み、年末年始の年間96日に制限する。
港区、民泊規制で家主不在は年96日間(日経記事)
港区は12月21日、民泊条例案の骨子を発表。
住居専用地域や文教地区で家主が不在の場合、民泊営業は春休みや夏休み、年末年始の年間96日に制限する。
東京都港区、民泊規制で家主不在は年96日間
東京都港区は21日、住宅の空き部屋に旅行者らを有料で泊める民泊を規制する条例案の骨子を発表した。住居専用地域や文教地区で家主が不在の場合、民泊営業は春休みや夏休み、年末年始の年間96日に制限する。区民のパブリックコメント(意見公募)を経て、2018年2月開会の区議会に提出する予定だ。(中略)
武井雅昭区長は21日の記者会見で「商店街振興や観光振興の観点から民泊を活用する必要性はあるが、生活環境の悪化を防ぐ意味合いでバランスを取った」と説明した。(以下略)(日経新聞 12月21日)
民泊条例案骨子の中身
民泊条例案骨子の中身について、区長が12月21日の記者会見で公表した資料と、同日発表されたパブコメ関連資料をもとに整理してみよう。
条例制定の目的は、国際交流・商店街振興と区民の生活環境悪化防止
パブコメ資料から、民泊条例を制定する際の「基本的な考え方」として、一石二鳥(「国際交流・商店街振興」と「区民の生活環境悪化防止」)を狙っていることが伺える。
基本的考え方
- 住宅宿泊事業について、法の趣旨や国際性豊かな区の特性を踏まえ、区民と外国人旅行客等との国際交流の進展や観光、商店街振興に資するよう活用します。
- 住宅宿泊事業に伴う騒音、ごみ処理や防犯対策への懸念等、区民の生活環境の悪化を防止するため、法令等に基づき厳正に対応するとともに必要な措置を講じます。
- 住宅宿泊事業の活用や適正な運営確保のため、関係部署で連携し全庁を挙げて対応できる体制を整備するとともに、必要に応じ警察署や消防署等の関係機関と連携します。
民泊を制限する区域:住居専用地域と文教地区
良好な生活環境や教育研究活動の環境を保全するためホテル、旅館、簡易宿所の立地が制限されている住居専用地域と文教地区を民泊を制限する区域としている(次図の赤色)。
規制区域は、面積が615ha(区全体の30%)、人口11.5万人(区全体の46%)が住んでいる(2017年1月1日現在)。
記者発表資料「港区の住宅宿泊事業の制限区域」より
民泊を制限する期間:家主不在型は春・夏・年末年始のみ可
家主不在型の民泊については、日本人と外国人の宿泊者数が最も多くなる次の時期時期のみ民泊を可能としている。
- 春休み(3/20~4/10)
- 夏休み(7/10~8/31)
- 年末年始(12/20~1/10)
記者発表資料「港区の住宅宿泊事業のイメージ図」より
今後の日程:2月条例案を区議会に提出
- 12月21日~平成30年1月19日:条例骨子案(案)パブコメ
- 2月:平成30年第1回港区議会定例会へ条例案提出
- 3月15日:住宅宿泊事業の届出開始
- 6月15日:住宅宿泊事業法施行
雑感
事実上の家主不在型の民泊排除!?
住居専用地域と文教地区において、家主不在型(≒投資型)民泊は、春・夏・年末年始のみしか営業が認められないとなれば、事業者にとって経済性を確保することは難しそうだ。
これは事実上、住居専用地域と文教地区から家主不在型民泊を排除していることに等しいのでは。
結果的に同地域から家主不在型(≒投資型)民泊が排除できればいいが、非合法民泊となって水面下に潜ってしまうことはないのか。
検討プロセスが不透明
3週間前(11月30日)の第4回定例会本会議(一般質問)で、武井雅昭区長は「住宅宿泊事業の区域と期間を制限する必要性も含めた、住宅宿泊事業に関する基本的な考え方と対応方針を策定して参ります」と答弁していた。
条例で制限する区域・期間について、一切開示していなかったのに、その3週間後に記者会見でいきなり民泊条例案の骨子を発表するとは。
関係団体・学識経験者への意見聴取から条例案骨子のパブコメ開始に至るプロセスが不透明すぎないか……。