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中央区長の答弁にみる、民泊条例の検討状況

来年6月15日に施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)に向けて、東京23区では、次の5つの区で民泊条例の骨子案などが示されている。

23区でAirbnbの登録件数が9番目に多い中央区(約600件、12月1日現在)では、民泊条例の検討はどの程度進んでいるのか?

ヒントは、中央区議会の矢田美英区長(8期)の答弁にある。

ただ、残念ながら中央区議会では、第4回(11月)・第3回(9月)の定例会では民泊に係る一般質問はなく、第2回(6月)まで遡のぼらなければならない。

第2回定例会(6月14日)の木村克一議員(自民党)の民泊関連質問に区長が答弁しているので、同会会議録を整理しておいた。

結論を先に言えば、区民が安全・安心に生活が送れる居住環境の確保を最優先に対応するとしているが、民泊条例の制定については慎重に見極める段階に留まっている

※質疑応答の詳細を読む時間のない方は、最後の「まとめ」をお読みください。


もくじ

木村議員(自民)の質問

木村議員の質問は次の3点。

  1. 違法民泊の実態をどの程度把握しているのか?
  2. 民泊に関する苦情や相談があった場合、どのように対応しているか?
  3. 民泊新法制定に対し、どのような姿勢で臨んでいくのか?

次に、中央区が認めていない民泊問題について質問いたします。
 最近、区民の安全・安心で快適な生活環境への影響が懸念されているものとして、にわかにクローズアップされてきたのが、いわゆる民泊問題です。

日本政府観光局は、本年1月に、平成28年の訪日外国人観光客数を、推計ではありますが、2,403万9,000人と発表し、過去最多を記録しました。観光庁が発表した訪日外国人旅行消費額も、速報値ではありますが、3兆7,476億円と、過去最高額になっています。そのうち東京を訪れる旅行客数も、平成27年には約1,189万人を数え、これも毎年増加を続けています。

 こうした訪日外国人観光客の多くが中央区を訪れ、江戸以来の歴史、伝統や最先端の文化に触れながら、銀座や日本橋、築地、月島など、まち中にあふれるショッピングやグルメ、エンターテイメントの魅力を堪能していただけていることは大変喜ばしいことであります。

しかし、食事や買い物などを楽しまれた後は、どこで、どのように滞在されているのでしょうか。本区は、交通などの利便性が高いことから、ホテルや旅館などの宿泊施設が充実しており、多くの方々は、これらの宿泊施設を利用し、快適な滞在生活を送っているものと想像できます。

 しかし、最近、私が区内を歩いていて気になるのは、海外からの観光客の方々が、ホテルなどがまるで見当たらないような住宅地から、大きなキャリーバッグを転がしながら、スマートフォンでどこかを探している姿であります。

地域の方々に伺うと、同じような場面を目にされていらっしゃるようで、このごろ4、5人の家族のような外国人観光客の人が近くのマンションに入っていくのをよく見かけることが多い、夜中まで大きな声ではしゃいでいて、うるさくなったとか、飲食店の方からは、うちの店のごみ箱に外国人滞在者が勝手に捨てたと思われるごみが多くて迷惑しているとか、夜中にいきなりインターホンが鳴り、出てみると、わけのわからない外国人から、ここはどこですかと聞かれ、恐怖を感じたなどの声をよく聞きます。

利便性が高く、集合住宅の多い本区では、いわゆる民泊の立地という点で好条件がそろっているエリアではないかと私は思います。しかし、一方では、さきに挙げた事例のように、近隣の住宅がどのような使われ方をしているのかわからないという不安が地域の住民の中に広まっていることは、紛れもない事実です。

 昨年10月から12月にかけて厚生労働省が実施した全国民泊実態調査の結果によれば、民泊仲介サイトに登録されている情報から抽出した約1万5千の物件のうち、半数以上の約8千件については、特定不可や調査中とのことで、どうやら民泊の全貌を明らかにするのはかなり困難なのが現状のようです。

 そこで、まず、お尋ねいたします。
 本区としては認めていない民泊の実態をどの程度把握しているのでしょうか、お聞かせください。

 また、区民の方からも、民泊に対しての問題や不安の声が多く寄せられているものと思われますが、民泊に関する苦情や相談があった場合、本区としては、どのように対応しているのでしょうか、お聞かせください。

 現在、国においては、国内外からの観光客の来訪及び滞在の促進並びに国民経済の発展を目指して、急増する訪日外国人観光客のニーズや大都市部での宿泊需要の逼迫状況などに対応するため、民泊サービスの活用を図ることが重要との観点から、住宅宿泊事業法が6月9日成立しました。

同法案では、住宅を使用して民泊サービスを行おうとする住宅宿泊事業者は、衛生確保措置、騒音防止のための説明、苦情への対応、宿泊者名簿の作成・備えつけ、標識の掲示などを義務づけた上で、都道県知事へ届け出を行う。

また、住宅宿泊事業者から委託を受けて管理を行う住宅宿泊管理業者は、衛生確保義務の代行を義務づけた上で、国土交通大臣への登録を行う。さらに、宿泊者と事業者を仲介する住宅宿泊仲介業者は、観光庁長官への登録を行う。これらのさまざまな手続を経て、初めて民泊サービスが実施できるようにするものです。

このような規制の仕組みとあわせて、公衆衛生の確保や、地域住民とのトラブル防止に留意したルールづくりや、無許可で旅館業を営む違法民泊への対応なども盛り込まれています。

また、サービス提供日数の上限を180日とした上で、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生、その他の事象による生活環境の悪化を防止するために、必要がある場合には、合理的に必要と認められる範囲において、条例により期間を制限することとするなど、地域の実情を反映する仕組みも創設されるようです。

 まずは、こうした規制がもくろみどおり機能してくれることを期待するところでありますが、果たして、これで住民の不安が完全に払拭されるのか、慎重な見きわめが必要であると感じています。

公衆衛生や地域の安全・安心を担保にしてきた旅館業法の厳格な基準に比べ、簡易な手続により民泊が実施できる新法の規制は、本区の特性にうまくマッチしているものなのでしょうか。

 そこで、お伺いいたします。
 民泊に関する国の新法制定に対し、本区はどのような姿勢で臨んでいくのか、お考えをお聞かせください。

矢田区長の答弁

区長の答弁は次の3点。

  1. 区が把握し切れていない物件も含めると相当数に上るものと推測
  2. 警察や消防など関係機関とも緊密に連携しながら、今後とも違法な民泊の解消に向けて粘り強く取り組む
  3. 新法に基づく条例等を整備するに当たり、国が示す政省令等を慎重に見きわめながら、区民が安全・安心に生活が送れる居住環境の確保を最優先に対応

次に、民泊に関する本区の現状認識及び苦情や相談に対する対応についてであります。

 区内において、一般住宅等を使用して宿泊サービスを提供している事例として、区民や管理組合、管理会社から苦情や相談があった件数は、平成28年度81件と、前年度の23件に比べ大幅にふえており、区が把握し切れていない物件も含めると相当数に上るものと推測しております。

そのほとんどが、集合住宅を使用し、旅館業法の許可を受けていない違法なケースであります。区では、こうした苦情や相談を受けた場合、管理会社や管理組合と協力し、所有者などを特定した上で、利用実態の調査を行っております。

その結果、許可を受けずに宿泊サービスを提供していることが明確な場合、直ちに中止するよう強く指導しております。中には、騒音など近隣への生活被害を及ぼしている場合もあり、警察や消防など関係機関とも緊密に連携しながら、今後とも違法な民泊の解消に向けて粘り強く取り組んでまいります

 次に、民泊に対する今後の対応についてであります。

 今般、住宅宿泊事業法が成立し、1年以内に施行されることとなりました。これにより、民泊サービスへの事業参入が進むものと想定されますが、地域環境の維持の観点から、さまざまな懸念が残るものと考えております。

本区としましては、観光客が安全・安心に滞在でき、ホスピタリティの行き届いた国際観光都市にふさわしい宿泊環境を整えていくことが、まず第1であると考えております。

民泊につきましては、今後、新法に基づく条例等を整備するに当たり、国が示す政省令等を慎重に見きわめながら、区民が安全・安心に生活が送れる居住環境の確保を最優先に対応してまいりたいと存じます。
 私からの答弁は以上であります。

  まとめ

中央区の民泊条例制定に向けた主な取組状況について、区長答弁をまとめると次のように、慎重に見極める段階に留まっている。 

  • 新法に基づく条例等を整備するに当たり、国が示す政省令等を慎重に見きわめながら、区民が安全・安心に生活が送れる居住環境の確保を最優先に対応

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