羽田空港の国際線の発着回数を増やすために、都心上空を飛行する「新飛行ルート問題」。
新飛行ルート周辺の多くの住民が騒音の影響を受けることになるのだが、実際にどれくらいの騒音が発生するのか?
騒音マップを描いてみたものの、なかなか実感しづらいかもしれない(「新飛行ルート問題」飛行ルート周辺の騒音マップを描いてみた)。
飛行騒音が実感できる!? NATS社のサイト
飛行騒音が実感できる情報はないものかと、海外情報をググっていて、お役立ちのサイトを発見!
機種別(小型・中型・大型)・飛行高度別・飛行モード別(上昇・下降・通過)に、飛行騒音を測定し、YouTubeにアップしているNATS社のサイトだ(次図)。
※同社は、1962年に設立され、国営企業から民営化した英国の航空管制プロバイダー。北太平洋地域の航空管制業務や、アジア太平洋地域・米国などの航空交通分野でのコンサルティング事業を展開している。
新宿・渋谷上空の飛行騒音は?
国交省が公開しているデータによれば、新飛行ルートは新宿上空3,000ft(約900m)、渋谷上空2,500ft(約750m)を通過することになっている(次図)。
この飛行状況に近いNATS社データは、高度2,800ft(853m)を上昇中の「ボーイング737-800」(Boeing B737-800 at 2,800ft 70.9dBA)。
<第2フェーズのオープンハウス型説明会(平成27年12月~平成28年1月開催)にて展示された資料「渋谷区・新宿区用飛行経路個別パネル(PDF:841KB)」に筆者が加筆>
まずは動画をご覧ください。
Boeing B737-800 at 2,800ft 70.9 dBA
最大騒音レベル70.9dB。
70dBは「主要幹線道路周辺(昼間)」や「在来鉄道の車内」の騒音レベル(騒音の目安について [PDF 133KB])。かなりうるさいレベルだ。
イヤホンの音量を調整すれば、YouTubeの音は大きくも小さくもなるのだが――画像の右下に表示される騒音データの変化から、飛行騒音の大きさが実感できるのではないか。
ボーイング777のような大型機であれば騒音レベルはもっと大きくなる。
ただ、残念ながらNATS社のサイトには、ボーイング777は、8,000ft(2,438m)や15,000ft(4,572m)、30,000ft(9,144m)といった高高度を飛行する動画しかアップされていない。
都心上空を通過する羽田新飛行ルートは、南風時(運用全体の約4割)の午後の時間帯(15:00~19:00)。1時間あたりの最多通過は44便(A滑走路到着ルート13便程度+C滑走路到着ルート31便程)。
「A滑走路到着ルート(13便程度/時)」では4分37秒に1回、「C滑走路到着ルート(31便程度/時)」では約2分に1回、場所によっては70dBを超える飛行騒音に晒される状況は、尋常ではないと思う。