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「都市づくりのグランドデザイン(素案)」を読む

東京都は5月19日、「都市づくりのグランドデザイン(素案)」を公表し、パブコメの受付を開始(締切6月19日)。
同案は全7章、147ページとボリュームたっぷり。

忙しいあなたのために、住宅に係る内容につき、「第5章(都市づくりの戦略と具体的な取組)」からピックアップしておこう。


もくじ

  • 第1章(都市づくりのグランドデザインの役割)
  • 第2章(2040年代の社会状況や都民の活動イメージ)
  • 第3章(東京が果たすべき役割)
  • 第4章(目指すべき新しい都市像)
  • 第5章(都市づくりの戦略と具体的な取組)
  • 第6章(個別の拠点や地域の将来像)
  • 第7章(2040年代の将来像の実現に向けて)


住宅に係る内容として以下、「政策方針‐17」と「政策方針‐19」(次図)をピックアップしていく。

都市づくりの戦略と具体的な取組
「都市づくりのグランドデザイン(素案)」概要版 P2より

政策方針‐17 多様なライフスタイルに応じた暮らしの場を提供する

住宅の量的拡大から質の向上への転換を図るとともに、包容力のある都市として、ライフスタイルやライフステージに応じた質の高い、住み、働き、憩う場を充実するとされている。

そのための取組として掲げられているのは、次の2項目。

  • 取組‐1 区部中心部の居住環境の質を高める
  • 取組‐2 区部周辺部多摩部の住宅市街地の魅力を向上する

 

取組‐1 区部中心部の居住環境の質を高める

超高層マンションなどの新規開発は、都市の景観や地域生活へ与える影響も考慮しながら、適切な立地誘導を図るとされている。

まちのにぎわいを楽しみながら質の高い暮らしを送っている

  • 住宅を供給する開発は、住宅ストックの質の向上に加え、生活の利便性快適性の向上や国際競争力の一層の強化など、地域特性に応じた居住環境の質の向上にも資する機能を誘導します。
  • 大量の住宅を生み出す超高層マンションなどの新規開発は、都市の景観や地域生活へ与える影響も考慮しながら、適切な立地誘導を図ります。
  • 都市開発諸制度を活用した住宅開発に併せ、環境性能や防災性の向上、緑や水辺空間の創出、文化交流、商業、医療福祉、教育施設の整備など、多様な都市機能の導入を図ります。

 

外国人ビジネスパーソンの生活環境が充実している

  • 国際ビジネス交流ゾーン内の開発では、国際水準の住宅やサービスアパートメント、外国語対応の医療、教育、子育て施設など、外国人の居住環境の向上に資する整備を誘導します。

<区部中心部の居住環境の質の向上イメージ
「都市づくりのグランドデザイン(素案)」P89より

 

取組‐2 区部周辺部や多摩部の住宅市街地の魅力を向上する

老朽マンションの建替えを支援。

ゆとりのある住宅市街地で快適な生活を送っている

  • 密集市街地において、街区再編まちづくり制度等により、敷地の統合や住宅の共同建替えを進めます。
  • マンション再生まちづくり制度や街区再編まちづくり制度等により、地域の防災性や魅力の向上に寄与する老朽マンションの建替えを支援します。
  • 都営住宅や公社住宅を良質なストックへ計画的に更新するとともに、建替えによって用地を創出し、立地特性を考慮したまちづくりにより良好な住環境を創出する。
  • 大規模団地における良好な地域コミュニティの形成に向け、エリアマネジメント組織の設立運営など、団地活性化に向けた地域の主体的な取組を支援します。

<大規模団地の更新に併せた都市機能の導入イメージ

政策方針‐19 良質な住宅ストックを長く大事に使う

良質な住宅を安心して選択できる市場環境を形成し、良質な住宅をつくり、きちんと手入れして、大事に長く使う社会への移行を実現するとされている。

そのための取組として掲げられているのは、次の2項目。

  • 取組‐1 長期間使用できる住宅ストックを形成する
  • 取組‐2 質の高い既存住宅市場を形成する

 

取組‐1 長期間使用できる住宅ストックを形成する

新築については、質の高い住宅や間取り変更・改変が容易な住宅、環境性能の高いエコハウスの普及を図るとされている。

質の高い住宅がつくられ、ストックとして大事に使われている

  • 新規住宅の供給に際し、長期にわたって使用可能な質の高い住宅や世帯構成やライフスタイルの変化に応じた間取り変更や改変が容易な住宅の普及を図ります。
  • 断熱性能が高く、省エネ・再エネ機器等を備え、IoT等の最先端技術を活用するなどした環境性能の高いエコハウスの普及を図ります。
  • 戸建住宅における建物状況調査(インスペクション)や共同住宅の共用部分の改修に対する支援等により、世代を超えた継承や流通など、長期にわたって使い続けられる質の高い住宅の供給を促進します。
  • 建築物の用途を柔軟に変更できる仕組みの検討も進め、時代のニーズに対応できる都市空間の創出を図っていきます。

 

特に、マンションについては、管理状況の実態を把握し、管理不全の兆候のある場合には、注意喚起や助言、アドバイザー派遣などの支援をするという(下図参照)。

マンションや団地が適切に管理・更新されている

  • マンションの管理不全の予防・改善に向け、区市等と連携し、マンションの管理状況等の実態把握管理不全の兆候のあるマンション等に対する注意喚起や助言、アドバイザー派遣などによる支援を進めます。
  • 管理組合が改修、建替え、建物敷地の一括売却など、様々な再生手法の中から、マンションの状況に応じた最適な手法を選択できるよう支援します。
  • 公的住宅については、計画的に修繕、耐震化や建替えを行うとともに、バリアフリー化や省エネ化を進め、良質な住宅環境を整備します。

分譲マンションの管理状況の把握及び管理不全の予防・改善策のイメージ
「都市づくりのグランドデザイン(素案)」P92より

 

取組‐2 質の高い既存住宅市場を形成する

管理が良好なマンションが適正に評価されるような市場環境の整備を図る。

改修履歴など建築物情報を紐づけた「建築物マイナンバー制度(仮称)」を創設するという。

既存住宅が適正に評価されている

  • 既存住宅の流通が促進されるよう、関連事業者と連携し、建物状況調査や瑕疵保険などを活用しながら、良質な既存ストックが適正に評価されるような市場の整備を図ります。
  • マンションの品質性能や管理に関する情報開示を促進するなど、管理が良好なマンションが適正に評価されるような市場環境の整備を図ります。
  • 地理情報システムと連動して、改修履歴など建築物情報を紐づけた「建築物マイナンバー制度(仮称)」を創設します。

雑感

(1) 超高層マンションの新規開発

「超高層マンションなどの新規開発は、都市の景観や地域生活へ与える影響も考慮しながら、適切な立地誘導を図ります」という取り組みは、17年3月に策定された「東京都住宅マスタープラン」(2016-2025)の表現とも整合している。 

新たに大量の住宅を生み出し、都市の景観や地域の生活環境にも大きな影響を与える超高層マンションなどの新規開発については、都市づくりの観点も含め、規制や誘導の在り方等について検討を進めていきます

(「東京都住宅マスタープラン」P113)


現状は、超高層マンション(タワーマンション)が都内各地に無秩序に建設され続けている。

ひょっとして東京都は、質の高い住環境を形成するという中心部【C】のうち、「勝どき、月島、晴海、豊洲、東雲」(P127)といった湾岸エリアを中心に、超高層マンションを誘導していこうとしているのか!?(それ以外の地域は規制するのか!?)

中枢広域拠点域 図
「都市づくりのグランドデザイン(素案)」P122より

(2) 建築物マイナンバー制度(仮称)

マンションの品質性能や管理に関する情報開示を促進し、管理が良好なマンションが適正に評価されるような市場環境の整備を図る。さらに、地理情報システムと連動させて、改修履歴など建築物情報を紐づけた「建築物マイナンバー制度(仮称)」を創設するとされている。

中古マンションの維持管理情報の公開は、中古マンション市場の育成に欠かせない。ただ、同情報が公開されることで、良いマンションと悪いマンションが可視化される。となると悪いマンション(住戸)を所有している人にとっては大問題だろう。

個人の資産価値に影響を及ぼす可能性のある「建築物マイナンバー制度(仮称)」の導入はハードルが高そうだ。

「建築物マイナンバー制度(仮称)」というネーミングは、プライバシーや人権の侵害が危惧られている「マイナンバー(個人番号)制度」を連想してしまう。ここは、「建築物の維持管理表示制度」あたりでいかがだろうか。 

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