首都圏不動産公正取引協議会は5月8日に発行した「公取協通信第278号(平成29年5月号)」のなかで、不動産の表示に関する公正競争規約に違反した5社に対して、厳重警告・違約金課徴の措置を講じたと発表。
- 再犯業者にはレッドカードでは!?
- 違反トップ3:「おとり広告」「取引条件の不当表示」「取引内容の不当表示」
- 「電柱ビラ広告」の違反が4か月間で1件だけ!?
- 不動産広告の調査業務の委託化で変わるか?
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再犯業者にはレッドカードでは!?
4月度の「厳重警告及び違約金」措置の対象となったのは5社。
今回、賃貸住宅10物件でおとり広告違反したE社(豊島区所在、免許更新回数(1))は1年前にも、おとり広告・不当表示で「厳重警告及び違約金」の措置を受けている。
E社の過去の措置
E社は、平成28年3月にインターネット広告(不動産情報サイト)において、重大な瑕疵があり取引の対象となりえないおとり広告や不当表示を行ったことなどにより「厳重警告及び違約金」の措置を受けている。
これはもう、「広告掲載を原則として1か月以上停止する」というイエローカードの段階ではなく、レッドカード(退場:免許取り消し)ではないのか・・・・・・。
違反トップ3:「おとり広告」「取引条件の不当表示」「取引内容の不当表示」
協議会が「厳重警告及び違約金」の措置を開始したのは今年の1月。
1月から4月の違反件数(計20社・60件)の「内容別」の内訳を整理したのが次図。
違反で多いトップ3は、「おとり広告(15件)」、「取引条件の不当表示(14件)」、「取引内容の不当表示(13件)」。
「取引条件の不当表示」というのは今回の事案でいえば、8,423万2千円とすべきところを水道加入金432,000円を含めずに「価格8,380万円」と表示した(A社)とか、売主が当該広告前に既に広告しているのに「未公開物件」と表示した(D社)といった類の違反をいう。
また、「取引内容の不当表示」というのは、 実際の建物面積が93.94m2なのに96.22m2と大きく表示した(A社)とか、角住戸ではないのに「南西角住戸」と表示した(B社)といった類の違反をいう。
「電柱ビラ広告」の違反が4か月間で1件だけ!?
1~4月の違反件数(計20社・60件)の「対象広告別」の内訳を整理したのが次図。
スーモ(7件)が最も多く、次いでライフルホームズ(旧:ホームズ)(4件)。
「電柱ビラ広告」の違反が4か月間で1件(D社:所沢市、免許更新回数(1))だけだなんて、にわかに信じがたいのだが。
というか、こんな行き当たりばったりの対応でいいのか?
不動産広告の調査業務の委託化で変わるか?
首都圏不動産公正取引協議会は4月7日、この4月から不動産広告の調査業務の一部を「ポータルサイト広告適正化部会」の構成会社に委託することを発表。
同部構成会社(下記参照)が行った調査は協議会の調査と同等のものとして取り扱われる。調査の結果、表示規約違反が認められた場合には、違反業者に対し一定の措置を講ずるとしている。
<同部会構成会社>
- アットホーム株式会社
- 株式会社CHINTAI
- 株式会社マイナビ
- 株式会社LIFULL(旧:株式会社ネクスト)
- 株式会社リクルート住まいカンパニー
協議会が実施していたこれまでの調査を、リクルートやアットホームが行うことで適切な成果が得られるのか?
正確性に欠ける情報や著作権侵害の記事が掲載されていたキュレーションサイト「WELQ」をDeNAにチェックさせているようなことにならないのか?
「正確性に欠ける情報」どころか、半数近くが実在しないと指摘されている「おとり物件」を掲載している自らのサイトをチェックできるのか?(「おとり広告」と共生する不動産業界)
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(本日、マンション広告なし)