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何を今さら!?大阪市元職員2人が無許可民泊を経営

大阪市の元非常勤職員2名が無許可民泊を経営していたことを伝えるマスコミ報道。

  • 読売 3月14日)大阪市の元非常勤職員2人、無許可で民泊を運営
  • 産経 3月14日)「クレーム好きな大阪人を相手に無謀な挑戦だったと後悔」大阪市の元職員2人が無許可民泊14物件を経営
  • 毎日 3月15日)大阪市:元非常勤職員2人が無許可で民泊…営業中止を指導
  • 朝日 3月15日)大阪市の元非常勤嘱託2人、無許可で民泊運営

現役の大阪市職員が運営していたのであれば、ニュースバリューもあろうが、元職員、しかも元非常勤の職員なのに、なぜマスコミ各社はニュースとして取り上げたのか?


もくじ

事件の内容については、産経新聞が一番詳しく報じている。

大阪市の元職員2人が無許可民泊14物件を経営(産経)

大阪市の元非常勤職員2名が無許可民泊14物件を経営していたことが発覚。

「クレーム好きな大阪人を相手に無謀な挑戦だったと後悔」大阪市の元職員2人が無許可民泊14物件を経営

大阪市の元非常勤嘱託職員の男性2人が、市の許可がないまま、民間住宅を有料で宿泊客に貸す「民泊」を運営していたことが14日、分かった。
(中略)
市保健所などによると、2人は平成27年から大阪と京都で、民泊仲介サイト世界最大手の米Airbnbの運営代行を行う会社(同市中央区)を経営。現在は大阪市内だけで14物件を運営している。
(中略)
同社のブログには、「家族と住む」と偽って借りた部屋に民泊用の2段ベッド4つを設置したことや、近隣住民が騒音に苦情を入れたことで不正が発覚し、強制退去させられたことなどが記載されていた。

「クレームが好きな大阪人を相手に無謀な挑戦だったと後悔している」との書き込みもあったが、違法民泊をにおわせる記述は14日午後に削除された。(以下略)

(産経WEST 3月14日)

14物件程度の無許可民泊の運営は珍しいことではない

大阪市内でAirbnbに登録されている物件は約4,300件。新宿区や渋谷区を抜いて、全国で最も民泊件数が多い(次図)。

Airbnb登録件数の推移(東京vs大阪)
Airbnb登録件数 4.6万件(前月比0.5%の微増)」より

 

大阪市内でAirbnbに登録している物件数の多いホスト・ランキングの1位は112件(次図)。

50件を超える民泊を運営しているホストはいくらでもいるのだ(すべてが違法民泊かどうかは不明だが)。
だから、大阪市の元非常勤嘱託職員2人が14物件の無許可民泊を運営していたことは、まったく珍しいことではないのだ。

大阪市内民泊ホストランキング
AirLABOホストランキング(大阪市)より

大阪市が認定した特区民泊は41件

大阪市が公開している民泊情報のページで確認してみると、これまでに認定された施設は41件(3月9日現在)。

国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業特定認定施設一覧

 

大阪市が昨年の10月31日から特区民泊の申請受付を開始して2か月でたったの8件しか認定されていなかった。

ところが、今年の1月1日に改正条例が施行され、最短宿泊日数が「6泊7日」から「2泊3日」に緩和されてから認定件数が増加し始めた(次図)。

とはいえAirbnb登録物件数約4,300件と比べるとゴミみたいなものだ。

大阪市が認定した民泊施設件数の推移

なぜマスコミ各社はニュースとして取り上げたのか?

現役の大阪市職員が運営していたのであれば、ニュースバリューもあろうが、元職員、しかも元非常勤の職員なのに、なぜマスコミ各社はニュースで取り上げたのか?
元非常勤職員が人事給与制度改革を進める政策の一環として、橋下知事時代に採用されていたことでニュース性が高いと判断されたのか?

今回の件は、特に大阪府警が摘発したわけではない。

大阪市が旅館業法に基づき、元非常勤嘱託職員の男性2人が運営するAirbnb代行会社の営業停止を指示した段階である。
大阪市が本件をマスコミに積極的に流すことで、違法民泊の増加に歯止めをかけようとしているのではないのか。

大阪市が違法民泊を積極的に指導するニュースが流れることで、違法民泊が減少していくのか、要経過観察。

※【追記(17年9月27日)】大阪市は、吉村大阪市長が17年5月31日付で大阪府東警察署長あて告発状を提出していたことを公表。

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