不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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”新古マンション”の気になるポイント

東電の変電所と送電鉄塔に隣接する大規模マンションの広告。

物件概要

【先着順】東京駅13分(途中で快速に乗り換え)、駅徒歩8分。総戸数357戸、14階建。販売戸数9戸、3LDK(65.23m2)~4LDK(82.87m2)。販売価格3,980万円~5,900万円。平成28年2月5日竣工済み(本チラシ掲載日の1年1カ月前)。

  • 16年9月23日(金)・12月9日(金)、17年1月13日(金)の物件と同じ。

チラシの裏面に記された「物件概要」に目を凝らすと、竣工してすでに1年と1か月あまりが経過したマンションであることが分かる。

実は、竣工して1年を経過したマンションは、たとえ未入居であっても広告では「新築」を謳うことができない。

でも、本日のチラシは、見た目は新築物件さながらである。

このようなマンションの取り扱いについて、気になる点を整理しておこう。


もくじ

マンションは時間の経過とともに呼び方が変わる

成長とともに呼び方が変わる出世魚のブリ(ワカシ → イナダ → ワラサ → ブリ)ではないが、マンションも時間の経過とともに、呼び方が変わる(次図)。

  • 青田売り(新築マンション):販売開始から竣工日までに契約したマンション
  • 完成在庫(新築マンション):竣工日以降、1年未満の未入居マンション
  • 完成在庫(新古マンション):竣工して1年以上の未入居マンション
  • 中古マンション:竣工後1年以上経過したマンション(不動産表示規約)、竣工後2年超を経過したマンション(住宅金融支援機構ほか一部金融機関)、入居済みマンション

マンションはいつまで新築?いつから中古?
※詳しくは、「マンションはいつまで新築?いつから中古?」ご参照。

新古マンションの広告では「販売住戸の階表示」が必要

本日の物件は、いわゆる新古マンション。

ただ、『不動産の表示に関する公正競争規約』においては、「新古マンション」などという定義はない。

新築でなければ、同規約上は中古に分類されることになる。

中古マンションになると、広告的にも新築ではなくて、中古の表示ルールに従わなければならない。

中古マンションの場合、不動産の公正競争表示規約の「別表7」により、「階数及び当該物件が存在する階」の表示が義務づけられている(次図の赤下線部分)。

階数及び当該物件が存在する階

ところが、本日のチラシには「物件が存在する階」が記載されていない。

竣工して1年が経過したマンションチラシの多くは、本日のチラシのように、意図的なのかどうかはともかく、中古マンションのルールに対応していないことが多い。

もちろん1年以上売れ残っているということは、それなりの理由があると考えるべきであろう。

新古マンションが売れるまでの管理費等は誰が負担するのか?

竣工直後に入居した人は、すでに修繕積立金や管理費(以下、管理費等)を毎月払っている。

では、竣工して1年1か月後に入居した人は、1年1か月分の管理費等を払わなくてもいいのか?

原則は払わなくてもいい。その間の管理費等は分譲業者が負担することになっている。

ただし、例外がある。「未販売住戸があった場合、分譲会社は管理費や修繕積立金の支払い義務は免除される」といった旨が管理規約に盛り込込まれていると、分譲業者は管理費や修繕積立金を支払わなくても済むのだ。その場合、実質的にマンション管理組合が負担(=入居者が負担)していることになる。

※詳しくは、「売れ残り住戸の管理費等は誰が負担するのか?」ご参照。 

(本日、マンション広告1枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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