電通は2月23日、毎年恒例の「2016年 日本の広告費」を発表。
2016年 日本の広告費
- 日本の広告費は、5年連続でプラス成長
- 総広告費は6兆2,880億円、前年比101.9%
- インターネット広告媒体費(制作費除く)が初の1兆円超え
発表資料のリンク先には、「媒体別広告費(2005年~2016年)」や「業種別 マスコミ四媒体広告費 」など、表形式のデータも掲載されていたので可視化し、考察を加えてみた。
- 媒体別広告費ではインターネットだけが増加中・・・
- テレビ広告費は09年の落ち込み以前の2兆円近くまで回復
- プロモーションメディア広告費のうち、折込広告の落ち込みが目立つ
- ネット広告の媒体費(広告掲載費)は鰻上り
- 7年後にネット広告費はテレビ広告費を逆転する!?
- マスコミ4媒体の広告費ランキング1位は「化粧品・トイレタリー」
- 「テレビ広告依存率」が最も高いのは「情報・通信」
媒体別広告費ではインターネットだけが増加中・・・
日本の広告費の推移を媒体別に見ると、「マスコミ四媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)」は09年に大きく落ち込んだ後、回復せずに2.9兆円あたりで低迷している(次図)。
「プロモーションメディア(折り込み広告やダイレクトメールなど)」は07年をピークに漸減し、11年以降2.1兆円あたりで足踏み。
「インターネット」だけが増加し続けていて、14年に1兆円、16年には1.3兆円を突破した。
テレビ広告費は09年の落ち込み以前の2兆円近くまで回復
マスコミ四媒体である新聞・雑誌・ラジオ・テレビの広告費の推移を次図に示す。
テレビの広告費は漸増し、09年の落ち込み以前の2兆円近くまで回復している。
一方、新聞の広告費は、漸減中。
次に、プロモーションメディアの広告費の推移を見てみよう。
プロモーションメディア広告費のうち、折込広告の落ち込みが目立つ
プロモーションメディアの広告費のうち、最も多い「折込」の落ち込みが目立つ(次図)。
2番目に多い「DM」(ダイレクト・メール)は、4千億円で推移。
「展示・映像他」(展示会、博覧会、PR館等の制作費、シネアド・ビデオなどの制作費と上映費など)の広告費は伸びている。
ネット広告の媒体費(広告掲載費)は鰻上り
インターネット広告費は、次のように「媒体費」と「広告制作費」に分けられている。
- 媒体費:インターネットサイトやアプリ上の広告掲載費
- 広告制作費:バナー広告等の制作費および企業ホームページの内、商品/サービス・キャンペーン関連の制作費
媒体費(広告掲載費)のほうは鰻上り状態にある(次図)。
7年後にネット広告費はテレビ広告費を逆転する!?
上記に紹介した「マスコミ四媒体」「プロモーションメディア」「インターネット」のうち、主な広告媒体の広告費の推移を一つのグラフにまとめてみた(次図)。
インターネットの広告費の増加ぶりが一目瞭然。
7年後にはテレビの広告費を逆転するかも。
マスコミ4媒体の広告費ランキング1位は「化粧品・トイレタリー」
次に、業種別の広告費(マスコミ4媒体)を可視化してみよう(次図)。
※マスコミ4媒体とは、「新聞」「雑誌」「ラジオ」「地上波テレビ」のこと。
マスコミ4媒体合計の広告費ランキングは、下記の通り。
1位の「化粧品・トイレタリー(2,885億円)」は全体の約1割を占めている。
ちなみに、不動産・住宅設備は1,196億円で11位。
- 1位:化粧品・トイレタリー(2,885億円)
- 2位:情報・通信(2,840億円)
- 3位:食品(2,801億円)
- 4位:交通・レジャー(2,078億円)
- 5位:飲料・嗜好品(1,835億円)
- 6位:流通・小売業(1,812億円)
- 7位:金融・保険(1,576億円)
- 8位:薬品・医療用品(1,527億円)
- 9位:自動車・関連品(1,446億円)
- 10位:外食・各種サービス(1,440億円)
- 11位:不動産・住宅設備(1,196億円)
- 12位:ファッション・アクセサリー(996億円)
- 13位:出版(808億円)
- 14位:趣味・スポーツ用品(797億円)
- 15位:教育・医療サービス・宗教(694億円)
- 16位:家庭用品(646億円)
- 17位:家電・AV機器(597億円)
- 18位:エネルギー・素材・機械(376億円)
- 19位:案内・その他(343億円)
- 20位:官公庁・団体(333億円)
- 21位:精密機器・事務用品(288億円)
上図を見ると、業種によって4媒体への依存の割合が大きく異なっていることに気がつく。
そこで、業種別の媒体依存率(マスコミ4媒体の合計広告費に対する1媒体の割合)を可視化してみた。
「テレビ広告依存率」が最も高いのは「情報・通信」
「テレビ依存率」が8割を超えているのは、次の3業種。いずれもテレビCMでよく見かける業種ばかり。
- 情報・通信(84.5%)
- 飲料・嗜好品(81.4%)
- 家電・AV機器(80.6%)
「新聞依存率」が高い旧来型の業種トップ5は次のとおり。「出版」は新聞依存率が高い業種なのだ。
- 案内・その他(77.6%)
- 出版(62.1%)
- 交通・レジャー(41.8%)
- 官公庁・団体(39.3%)
- 流通・小売業(38.0%)
「雑誌依存率」が高い業種は、「ファッション・アクセサリー(56.7%)」。これは感覚的にも理解できる。
「ラジオ依存率」が高い業種は、「官公庁・団体(20.4%)」。官公庁はお年寄りにもシッカリ情報発信していることが分かる。
「インターネット広告費」や「プロモーションメディア広告費」についても、業種別の分析をしたいのだが、残念ながらそれらの情報は開示されていない。
電通の最高機密なのか――。
あわせて読みたい