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民泊新法(住宅宿泊事業法)案をひも解く

3月上旬の国会提出に向けて調整が進められている「民泊新法(住宅宿泊事業法)」の条文案を入手。

「年間宿泊数上限180日」や「自治体が条例で細かく制限できること」、「罰金額の上限を現行の3万円から百万円へ引き上げること」など、これまでこのブログで紹介してきた内容から特に大きく変わったところは見られない。

条文案は、次のように6つの章と附則で構成されている。

  • 「第1章 総則」「第2章 住宅宿泊事業」「第3章 住宅宿泊管理業」「第4章 住宅宿泊仲介業」「第5章 雑則」「第6章 罰則」「附則」

79条(と附則6条)からなる民泊新法案の気になる点を中心に抜粋しておいた。

※以下長文。具体的な条文に興味のない方は最後の【雑感】をお読みいただければと。


もくじ

住宅宿泊事業法もくじ

第1章 総則(第1条・第2条)

第1条において、同法の目的は、国民生活の安定向上国民経済の発展に寄与することとされている。

目的

第1条 この法律は、我が国における観光旅客の宿泊をめぐる状況に鑑み、住宅宿泊事業を営む者に係る届出制度並びに住宅宿泊管理業を営む者及び住宅宿泊仲介業を営む者に係る登録制度を設ける等の措置を講ずることにより、これらの事業を営む者の業務の適正な運営を確保しつつ、国内外からの観光旅客の宿泊に対する需要に的確に対応してこれらの者の来訪及び滞在を促進し、もって国民生活の安定向上及び国民経済の発展に寄与することを目的とする。

 

第2条において、「住宅宿泊事業」は年間180日を超えないことと規定されている。

定義

第2条 この法律において『住宅』とは、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する家屋をいう。

1(割愛)

2(割愛)
3 この法律において「住宅宿泊事業」とは、旅館業法(昭和23年法律第138号)第3条の2第1項に規定する営業者以外の者が宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数として国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより算定した日数が1年間で180日を超えないものをいう。

4~10(割愛) 

第2章 住宅宿泊事業

第1節 届出等(第3条・第4条)

第3条(届出)

第4条(欠格事由)

第2節 業務(第5条~第14条)

第5条(宿泊者の衛生の確保)
第6条(宿泊者の安全の確保)
第7条(外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保)
第8条(宿泊者名簿の備付け等)

第9条において、住宅宿泊事業者は宿泊者に騒音防止配慮などの説明を義務づけられている。

周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事頂の説明
第9条 住宅宿泊事業者は、国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより、宿泊者に対し、騒音の防止のために配慮すべき事項その他の届出住宅の周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項であって国土交通省令・厚生労働省令で定めるものについて説明しなければならない。

(2 割愛)

 

第10条において、住宅宿泊事業者は周辺住民からの苦情処理を義務づけられている。

苦情等の処理
第10条 住宅宿泊事業者は、届出住宅の周辺地域の住民からの苦情及び問合せについては、適切かつ迅速にこれを処理しなければならない。

 

第11条において、住宅宿泊事業者は住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託することが義務づけられている。

(住宅宿泊管理業務の委託)
第11条 住宅宿泊事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより、当該届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を一の住宅宿泊管理業者に委託しなければならない。ただし、住宅宿泊事業者が住宅宿泊管理業者である場合において、当該住宅宿泊事業者が自ら当該届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を行うときは、この限りでない。

  • 一 届出住宅の居室の数が、一の住宅宿泊事業者が各居室に係る住宅宿泊管理業務の全部を行ったとしてもその適切な実施に支障を生ずるおそれがないものとして国土交通省令・厚生労働省令で定める居室の数を超えるとき。
  • 二 届出住宅に人を宿泊させる間、不在となるとき(住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅との距離その他の事情を勧案し、住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託しなくてもその適切な実施に支障を生ずるおそれがないと認められる場合として国土交通省令・厚生労爾省令で定めるときを除く。)。
2 第5条から前条までの規定は、住宅宿泊管理業務の委託がされた届出住宅において住宅宿泊事業を営む住宅宿泊事業者については、適用しない。


第12条において、宿泊サービス提供契約締結の代理・媒介委託は住宅宿泊仲介業者か旅行業者に委託することが義務づけられている

(宿泊サービス提供契約の締結の代理等の委託)
第12条 住宅宿泊事業者は、宿泊サービス提供契約(宿泊者に対する届出住宅における宿泊のサービスの提供に係る契約をいう。)の締結の代理又は媒介を他人に委託するときは、住宅宿泊仲介業者又は旅行業者に委託しなければならない


第13条において、公衆の見やすい場所に標識を掲示することが義務づけられている。

(標識の掲示)
第13条 住宅宿泊事業者は、届出住宅ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通省令・厚生労働省令で定める様式の標識を掲げなければならない。


第14条(都道府県知事への定期報告)

第3節 監督(第15条~第17条)

第15条(業務改善命令)
第16条(業務停止命令等)
第17条(報告徴収及び立入検査)

第4節 雑則(第18条~第21条)

第18条において、条例で期間を定めて住宅宿泊事業の実施を制限することができるとしている。

条例による住宅宿泊事業の実施の制限
第18条 都道府県(第68条第1項の規定により同項に規定する住宅宿泊事業等関係行政事務を処理する保健所設置市等の区域にあっては、当該保健所設置市等。以下この条において同じ。)は、当該都道府県の区域のうちに、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止することが特に必要であると認められる区域があるときは、条例で、観光旅客の宿泊に対する需要への的確な対応に支障を生ずるおそれがないものとして政令で定める基準の範囲内において、期間を定めて、当該区域における住宅宿泊事業の実施を制限することができる

第19条(住宅宿泊事業者に対する助言等)
第20条(住宅宿泊事業に関する情報の提供)
第21条(建築基準法との関係)

第3章 住宅宿泊管理業

第1節 登録(第22条~第28条)

第22条(登録)
第23条(登録の申請)
第24条(登録簿への記載等)
第25条(登録の拒否)
第26条(変更の届出等)
第27条(住宅宿泊管理業者登録簿の閲覧)
第28条(廃業等の届出)

第2節 業務(第29条~第40条)

第29条(業務処理の原則)

第30条において、住宅宿泊管理業者の名義貸しが禁じられている。

名義貸しの禁止
第30条 住宅宿泊管理業者は、自己の名義をもって、他人に住宅宿泊管理案を営ませてはならない。


第31条において、誇大広告が禁じられている。

誇大広告等の禁止
第31条 住宅宿泊管理業者は、その業務に関して広告をするときは、住宅宿泊管理業者の責任に関する事項その他の国土交通省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない

第32条(不当な勧誘等の禁止)
第33条(管理受託契約の締結前の書面の交付)
第34条(管理受託契約の締結時の書面の交付)

第35条において、住宅宿泊管理業務の再委託が禁止されている。

(住宅宿泊管理業務の再委託の禁止

第35条 住宅宿泊管理業者は、住宅宿泊事業者から委託された住宅宿泊管理業務の全部を他の者に対し、再委託してはならない。

 


第36条(住宅宿泊管理業務の実施)
第37条(証明書の携帯等)
第38条(帳簿の備付け等)
第39条(標識の掲示)
第40条(住宅宿泊事業者への定期報告)

第3節 監督(第41条~第45条)

第41条(業務改善命令)
第42条(登録の取消し等)
第43条(登録の抹消)
第44条(監督処分等の公告)
第45条(報告徴収及び立入検査)

第4章 住宅宿泊仲介業

第1節 登録(第46条~第52条)

第46条において、観光庁長官の登録を受けた者が住宅宿泊仲介業を営むことができるとされている。

(登録)
第46条 観光庁長官の登録を受けた者は、旅行業法第3条の規定にかかわらず、住宅宿泊仲介業を営むことができる。

(2~5項 割愛)

第47条(登録の申請)

第48条(登録簿への記載等)
第49条(登録の拒否)
第50条(変更の届出等)
第51条(住宅宿泊仲介業者登録簿の閲覧)
第52条(廃業等の届出)

第2節 業務(第53条~第60条)

第53条において、住宅宿泊仲介業者には信義・誠実が義務づけられている

(業務処理の原則)
第53条 住宅宿泊仲介業者は、信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければならない


第54条(名義貸しの禁止)
第55条(住宅宿泊仲介業約款)

第56条において、住宅宿泊仲介業者は国交省令の基準により料金を定めることが義務づけられている

住宅宿泊仲介業務に関する料金の公示等
第56条 住宅宿泊仲介業者は、その業務の開始前に、国土交通省令で定める基準に従い、宿泊者及び住宅宿泊事業者から収受する住宅宿泊仲介業務に関する料金を定め、国土交通省令で定めるところにより、これを公示しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 住宅宿泊仲介業者は、前項の規定により公示した料金を超えて料金を収受する行為をしてはならない

第57条(不当な勧誘等の禁止)
第58条(違法行為のあっせん等の禁止)
第59条(住宅宿泊仲介契約の締結前の書面の交付)
第60条(標識の掲示)

第3節 監督(第61条~第66条)

第61条(業務改善命令)
第62条(登録の取消し等)
第63条(登録の取消し等)
第64条(登録の抹消)
第65条(監督処分等の公告)
第66条(報告徴収及び立入検査)

第4節 旅行業法の特例(第67条)

第5章 雑則(第68条~第71条)

第68条(保健所設置市等及びその長による住宅宿泊事業等関係行政事務の処理)
第69条(権限の委任)
第70条(省令への委任)
第71条(経過措置)

第6章 罰則(第72条~第79条)

第72条において、住宅宿泊管理業者(第1項)と住宅宿泊仲介業者(第2項)は違反した場合、1年以下の懲役and/or百万円以下の罰金に処せられるとされている。

第72条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

  • 1 第22条第1項の規定に違反して、住宅宿泊管理業を営んだ者
  • 2 不正の手段により第22条第1項又は第46条第1項の登録を受けた者
  • 3 第30条又は第54条の規定に違反して、他人に住宅宿泊管理業又は住宅宿泊仲介業を営ませた者

附則

第1条において、この法律は公布から1年以内に政令で定める日から施行されるとされている。

(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
ただし、次条及び附則第3条の規定は、公布の日から起算して9月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。


第2条(準備行為)

第3条(政令への委任)
第4条において、この法律の施行3年経過後に、見直しの必要性を検討するとされている。

(検討)
第4条 政府は、この法律の施行後3年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

第5条(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部改正)
第6条(登録免許税法の一部改正)

【雑感】

  • 目新しい情報としては、住宅宿泊仲介業者は国交省令の基準により料金を定めることが義務づけられていること(第56条)くらい。

  • あらためてエグイと思うのは、住宅宿泊事業者は住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託することが義務づけられていること(第11条)や、宿泊サービス提供契約締結の代理・媒介委託が住宅宿泊仲介業者または旅行業者に委託することが義務づけられていること(第12条)。
    「国民生活の安定向上」の名のもとに「業界の権益確保」が優先していないか。

  • 賃貸業界がロビー活動を行っている「特定簡易宿所」制度の件(マンション住民の安全・安心の危機!「特定簡易宿所」制度が創設される?)は、少なくとも現段階では民泊新法案には盛り込まれていないことが確認できた。

  • 罰則規定については、「6月以下の懲役又は3万円以下の罰金」が「1年以下の懲役and/or百万円以下の罰金」に引き上げられた。
    ただ、いくら引き上げられても大田区特区民泊のように違法民泊が摘発されない状況が続くのであれば抑止効果は期待できない(抑止力になる?違法民泊の罰金を百万円に引き上げ)。
    新法施行後は違法民泊をドンドン摘発するということなのか?
    民泊新法には、違法民泊を抑止する実効性のある方法を担保する仕組みも期待される(これまでに全国で摘発された違法民泊は5件程度なのだが・・・)。

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