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シェアリングエコノミー協会「民泊新法への意⾒書」をひも解く

ガイアックスとスペースマーケットが代表理事を務めるシェアリングエコノミー協会は2月23日、「⺠泊新法(住宅宿泊事業法)の在り⽅に関する意⾒書」を発表。

「観光振興による経済の活性化と新たな⽣活価値の提供の観点から」として、3頁にわたって意見が記されている。

ひとことで言えば、シェアリングエコノミー推進のために過度な規制をせずに、自由にやらせてほしいといったところか。

主な意見を抜粋し、筆者の雑感を付しておいた。


もくじ

シェアリングエコノミー協会「民泊新法への意⾒書」

シェアリングエコノミー協会が民泊を推進する理由

同協会は、民泊を「是非推進するべき」理由として、遊休資産の活用によって、「経済の活性化」「インバウンド観光の振興」「⽂化交流」「ホスト(部屋等の貸主)への生きがいの提供」を掲げている

1.はじめに

(前略)いわゆる「⺠泊」は、⾃宅の空き部屋や空き家などの遊休資産を旅⾏者等の宿泊⽤に提供することにより、資産活⽤による経済の活性化、旅先の生活に溶け込んだ新しい着地型観光によるインバウンド観光の振興、⼈々の出会いによる⽂化交流ホスト(部屋等の貸主)への生きがいの提供、など複数の価値を提供するものとして、是⾮推進するべきと考えます。(以下略)

【筆者雑感】

民泊の効果として、「経済の活性化」~「ホスト(部屋等の貸主)への生きがいの提供」があることは否定しない。でも、その前提が「⾃宅の空き部屋や空き家など」の「遊休資産」の「提供」という表現には違和感がある。

ちょっと古くなるが、筆者が15年10月に大田区内の全てのAirbnb登録物件を調べたところ、少なくとも7割が投資型(≒家主不在型)であった。遊休資産の提供というよりも、ニワカ大家の誕生と投資物件の民泊転用である

大田区Airbnb登録物件のタイプ別割合
大田区Airbnb 投資型7割、ホームステイ型2割

プラットフォーム事業者を登録制にすべきではない理由

急速な市場や技術の変化に柔軟に対応することが困難なので、プラットフォーム事業者を登録制にすべきではないとしている。安全安⼼な運営はプラットフォームによる⾃主努⼒を推奨している。

2.住宅宿泊仲介業者(プラットフォーマー)は登録制にすべきでありません

(前略)。法律という変更が難しい⼿段による規制の下、プラットフォーム事業者を登録制にすることは、急速な市場や技術の変化に柔軟に対応することが困難となり、成長による経済発展を妨げるので可能な限り避けるべきです。
(中略)
これ(筆者:安全安⼼な運営)はプラットフォームによる⾃主努⼒を推奨するものであり、国内外のプラットフォーム事業者と連携し、ガイドラインの設定などをすすめるべきです。(以下略)

【筆者雑感】

急速な市場や技術の変化に柔軟に対応するために、プラットフォーマーの自主努力に任せてほしいという意見。

変化に柔軟に対応するために自由にやらせてほしいという業界の思いは理解できなくはないが、そのために「登録制」は避けたいという主張はチョット違うのではないか。

プラットフォーマーには同協会員のような国内企業だけでなく、国内法令遵守に無頓着な海外企業もいることを忘れていないか

旅館への影響は少ないので家主居住型に日数制限は不要

家主居住型に日数の制限は不要。近隣トラブル軽減のためには、日数制限以外の方法で対応すべきと提案。
居住型であれば何件も同時に運営できないので旅館等の経営への影響は少ないとしている。

3.家主居住型(ホームステイ型)には上限⽇数制限に反対します

(前略)私たちは、家主居住型に⽇数の制限は不要だと考えます。まず、近隣トラブル等については「毎⽇は困るが時々ならよい」という問題ではなく、軽減のための対応は、⽇数制限以外の措置で柔軟に検討すべきです。
旅館等の経営への影響については、まず、居住型であれば何件も同時に運営できるものではなく、観光中⼼地にあるホテル地区などから離れた住宅地などにあるものが多いため、影響は少ないと考えます。
逆に、宿泊密集地区を外れた場所に多いことにより、典型的な観光施設とは異なる地元の飲⾷店や⼩売店へ観光客を誘導することとなり、地域経済に恩恵をもたらします。(以下略)

【筆者雑感】

近隣トラブル対策と日数制限を分けて考えることについては賛成

ただ、「居住型であれば・・・(旅館等への経営への)影響は少ない」というのは、旅館・ホテル業界の人からすれば勝手な理屈に見えないか。

家主居住型の家主への過度な負担(標識の掲⽰など)に反対

安全安⼼や近隣トラブルなどへの過度の配慮から、⼊⼝で重すぎる事前規制は避けるべき。例示として、家主の個⼈情報を公にさらす「標識の掲⽰」などを掲げている。

また、宿泊者への配慮はレビューシステムによる事後規制で⼗分としている。

4.家主居住型の家主への過度な負担を避けるべきです

(前略)安全安⼼や近隣トラブルなどへの過度の配慮から⼊⼝で重すぎる事前規制をかけると、そもそも分かち合いを始めることができず、共有型経済は発展しません

泊まる⼈(ゲスト)への配慮から要求される各種要件についても、法律で要求するのではなく、快適さの程度の範囲内の話であれば、プラットフォームが備えた(かつ前述のガイドラインでも要求されている)レビューシステムによる事後規制でも⼗分であると考えます。

このような重すぎる事前規制の⼀つに「標識の掲⽰」があります。これが⾃宅の前に電話番号や表札など個⼈情報を掲⽰することを指している場合は、家主の個⼈情報を公にさらし、かえって家主⾃⾝の安全を脅かすことになります。(以下略)

【筆者雑感】

電話番号まで掲示するかどうかは議論の余地はあろうが、民泊を営んでいることが外からハッキリわかること、何かあったときの連絡手段を確保しておくことは、近隣住民に果たすべき家主の責務であろう。

家主不在型への上限⽇数制限・登録制には賛成

家主不在型は、近隣トラブルの対応をする家主が在宅していないことや、複数物件の運営による旅館等への影響があるため、上限⽇数制限・登録制に賛成としている。

5.家主不在型への上限⽇数制限及び登録制に賛成します

家主不在型の場合は、安全⾯・衛生⾯の対策及び近隣トラブルの対応をする家主が在宅していないこと、事業として複数物件の運営ができることなどにより、家主居住型とは同列に論じ難い⾯があります。よって旅館等の経営への配慮及び過度な⺠泊への優遇を避けるイコールフィッティングの観点から上限⽇数制限を設け、登録制にすることに賛成します。

ただし、家主不在型について別荘など⼀般個⼈が簡易に管理業者になれるよう配慮すべきです。

【筆者雑感】

本当にイコールフィッティングにするのであれば、日数制限は必要ないと思うのだが・・・・・・。

まとめ(雑感)

  • 急速な市場や技術の変化に柔軟に対応するために、プラットフォーマーの自主努力に任せてほしいという意見。プラットフォーマーは同協会員のような国内企業だけでなく、国内法令遵守に無頓着な海外企業もいることを忘れていないか。

  • 電話番号まで掲示するかどうかは議論の余地はあろうが、民泊を営んでいることが外からハッキリわかること、何かあったときの連絡手段を確保しておくことは、近隣住民に果たすべき家主の責務であろう。

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