今週発行されたSUUMO(スーモ)新築マンション首都圏版2月21日号の表紙デザインは、どこかハイソな感じ。
チョット違うのではと思うのは筆者だけか・・・・・・。
- ある広報マン氏の指摘
- 都心に近い順に掲載されていると連想させるSUUMO紙面構成
- 必ずしも都心に近い順に掲載されているわけではない
- 住友不動産の物件が上位を占めている
- ネットでは「複数駅利用可能ルール」悪用は禁止なのだが・・・
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ある広報マン氏の指摘
さて、同誌を見たあるマンションデベロッパーの広告宣伝担当者(以下、広報マン氏)の興味深いつぶやきがTwitterのタイムラインに流れてきた。
SUUMOへの物件の掲載順の取り扱い上の問題を指摘しているのである。
SUUMO新築マンション首都圏版、このところ有明トリプルタワーがリストの1番前だったけど、今号は東陽町の物件を東京駅バス便表記にして1番前に持って来ていますね。バス33分、そこから徒歩5分ですって。
こういうことを続けるのは、業界全体にとって明らかにマイナスだと思うんだけどな。
この広報マン氏が指摘しているのは、こういう意味だ(と筆者は理解している)。
SUUMOをめくっていくと、「特集記事」や「これから販売予定のマンション特集」などのあとに、メインコンテンツである「マンションレポート」が出てくる。
この「マンションレポート」に一番初めに掲載されていたのが前号までは「有明トリプルタワー」だったのに、今号は東陽町の物件に変わったことを指している。
東陽町(江東区)の物件をトップに掲載するために「東陽町駅徒歩5分」に、「東京駅からバス33分+バス停徒歩5分」を追記することで、東京駅に関連付ける。東京駅に関連付けることで物件をトップに掲載している。
そのような操作は業界にとってマイナスであると広報マン氏は問題提起しているのである。
都心に近い順に掲載されていると連想させるSUUMO紙面構成
そもそも「マンションレポート」に掲載される物件の順番はどのようになっているのか?
「マンションレポート」に掲載される順番は都心に近い物件から。もっと具体的に言えば、JR山手線の駅に近い物件から順に掲載されていると連想させるような紙面構成になっている。
どういうことかといえば、「マンションレポート」のページの脇に表記されている「沿線名・駅名」(次図参照)が、「JR山手線 東京駅」、・・・、「東京メトロ丸の内線 四谷三丁目駅」、・・・、「JR総武線 下総中山駅」というように都心から郊外の順に並べられているのである。
(マンションレポートの見方|SUUMO)
必ずしも都心に近い順に掲載されているわけではない
では実際はどうなのか?
今年に入ってから最新号まで(1月4日号~2月21日号)の掲載実績を調べてみた。
掲載順の1番目から7番目までの物件を整理したのが次の表だ。
広報マン氏が指摘したように、1月17日号から2月14日号まで1番目に掲載されていた有明トリプルタワー(正確には、(仮称)東京ベイ トリプルタワープロジェクト)は、2月21日号では2番目に。それまで2番目だった東陽町の物件が1番目に入れ替わっている。
上表を見ていて目に付くのが、1月4日号トップの浦安の物件。
つまり、「マンションレポート」には必ずしも都心に近い物件(JR山手線の駅に近い物件)から掲載されているわけではないのだ。少なくとも上位5物件あたりまでは、JR山手線の駅が最寄り駅ではないのである。
そのことをより分かりやすく可視化したのが、物件の所在地ごとに色分けした次の表。
浦安市や江東区など、JR山手線が最寄り駅でない物件が上位を占めているのである。
住友不動産の物件が上位を占めている
ついでに、物件を売主ごとに色分けしたのが次の表。
住友不動産の物件の多くが上位を占めていることが分かる。
住友不動産は、新築マンションの件数が多いから上位を占める結果となったのか(全国発売戸数ランキングの動向)。
あるいは、同社のSUUMOへの出稿数がナンバーワンだからなのか(SUUMOは住友不動産の宣伝誌か!?)。
まあ、いずれにせよ、「マンションレポート」の上位に掲載されている物件は都心に近い順ではなく、スポンサーが売りたい物件であるといえそうだ。
ネットでは「複数駅利用可能ルール」悪用は禁止なのだが・・・
首都圏不動産公正取引協議会は2014年9月25日付の文書で、複数駅利用可能ルールを悪用し、最寄り駅でない物件をポータルサイトの検索結果上位に表示させようとする行為に警鐘を発している。
交通の利便の表示に関する周知方のお願いについて
(前略)ポータルサイトにおいては、物件登録に際し最寄駅のほか、複数の駅が利用できる物件については2駅程の「利用駅」を登録することが可能となっています。
これは、一般消費者が物件選択をする際の参考に資するための情報提供ではありますが、これをいわば悪用して下記の表示例のように、検索条件とした駅から日常的に徒歩で行くことが極めて困難な駅であるのに、「利用駅」として登録することにより、一般消費者が当該駅名を検索条件として検索すると実際には当該駅が最寄駅ではないのに、この物件がヒットすることとなります。(中略)
【表示例】 ポータルサイトで「山手線 渋谷駅」を検索条件の最寄駅として賃貸物件を検索したところ、(1) 所在地が「東京都調布市若葉町」、最寄駅が「京王線 つつじヶ丘駅 徒歩6分」である物件の広告が検索された。詳細画面には、最寄駅のほかに「JR山手線 渋谷駅 徒歩99分」と登録されていた。(以下略)
このように、ポータルサイト上で「複数駅利用可能ルール」を悪用し検索順位を上位にしようとする行為は禁止されている。
なのにSUUMO紙面では、東京駅から遠い物件であってもバス便を併記することで堂々と上位表示する操作が行われている。
SUUMOのバックナンバーをひも解くと、このような操作は、昨年4月に編集長が女性に代わる前よりもずっと以前から行われていることが確認できる。
ネットではダメでも、紙ならOKなのか。
広報マン氏は「ぼくら業界側もリクルートも考え直さないと」とツイートしている。
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(本日、マンション広告なし)