日経の2月17日の社説が、自治体による民泊規制を最小限にすることを訴えている。
民泊問題を"旅館業界vs民泊"の問題に矮小化していないか?
民泊の影響を受けるマンション住人の安心・安全については、一言も触れられていない。
(日経新聞の社説 2月17日)
自治体による民泊規制を最小限に(日経の社説)
民泊は観光地としての魅力を高め、個人の持つ資産の活用にも道を開くので、自治体による営業日数などの規制は最小限にとどめるべきだという。
【社説】自治体による民泊の規制は最小限に
個人住宅の空き部屋などに旅行者を有料で宿泊させる「民泊」について、政府や自民党に、自治体が独自に条例を定め稼働日数を制限できるようにしようという動きがある。民泊は観光地としての魅力を高め、個人の持つ資産の活用にも道を開く。営業日数などの規制は最小限にとどめるべきだ。
(中略)
訪日外国人は増えたが旅館の稼働率は伸び悩んでいる。旅館業界は新興勢力を警戒するより、外国人客の取り込みを工夫し、日本の宿泊業全体の魅力向上につなげてほしい。政府は旅館業を保護するのではなく、設備などへの過剰な規制を緩和し、コスト負担を下げるといった形で支援すべきだ。
民泊での滞在を希望する外国人には、日本のファンとなり、普通の日本の生活を体験したい人も多い。子供が独り立ちした後の部屋にそうした旅行者を泊めれば外国人は喜び、家主は外国人と交流できるうえに収入も得られる。これが民泊本来の姿だ。(以下略)(日経新聞 社説 2月17日)
現状を認識できていないのでは?
「民泊は観光地としての魅力を高める」ことや、子どもが独り立ちした後の部屋に外国人を泊め家主との交流を図ることを否定するものではない。むしろ大いに進めてほしいと私は考えている。
ただ、日経の社説はそのような民泊の良い面しか捉えていない、というか民泊の現状を正しく把握していないのではないのかと思えてならない。
日本では清く美しい「ホームステイ型民泊」は極めて少数派であって、大半は金儲けを重視する、マンションを利用した「投資型民泊」なのである。
全国で民泊仲介サイトAirbnbに登録されている物件のうち、1都2府のマンション・アパートが半数以上の割合(54%)を占めている(次図)。
マンション住人の視点が欠けているのでは?
日経の社説は、民泊問題を"旅館業界vs民泊"の問題に矮小化していないか?
民泊の影響を受けるマンション住人の安心・安全については、一言も触れられていない。
東京23区では439万世帯のうち6割近い世帯がマンションに住んでいるし、違法民泊が全国で最も集中している大阪市では128万世帯のうち7割近い世帯がマンションに住んでいるのにである(次図)。
「マンション住民は蚊帳の外? 「民泊サービス」のあり方議論」より
社説関係者らには、マンション住人が民泊被害に会っているリアルな世界を認識してほしい。