幹線道路沿いに建つ小規模マンションのチラシ。
物件概要
【先着順 本広告】大手町駅直通14分、駅徒歩10分。総戸数36戸、10階建。販売戸数6戸、3LDK(65.47~71.75m2)。販売価格4,670万円~5,330万円。平成29年2月下旬竣工(本チラシ掲載日の1カ月後)。
- ※1月5日(木)の物件と同じ。
4つ折りにされたB5判の小さなチラシ。
開いてみると、返済額のキャッチコピーが。
月々12万円台より購入可能!
頭金0円 ボーナス時0円
月々の返済額(年12回)122,676円
ここまではよく見かけるコピーだ。
でも、このあとがチョット違う。
今すぐ購入したほうが、頭金を貯めてから購入するよりも返済額が少ない!?
今すぐ購入したほうが、頭金を貯めてから購入するよりも返済額が少ないという。
「自己資金が足りないから・・・。」貯めてから購入?
今すぐ購入した場合
- 頭金0円
- 返済期間35年
- 月々返済額122,676円
月々5万円貯金して5年後に購入した場合
- 頭金300万円
- 返済期間30年
- 月々返済額134,510円
今すぐ購入したほうが月々の返済額は11,834円(=134,510円-122,676円)少なくなる計算だ。
でも、よくみると今すぐ購入した場合ほうは、返済期間が5年短い設定になっているぞ。
「これなら今すぐ購入したほうが返済額が少なくて当然だ」と思いながら注釈文章に目をやると――
頭金が貯まるまで購入を待つことは、返済期間が短くなってしまうこともあるため、かえって月々の返済額が大きくなってしまう可能性もあります。
「そりゃそうだ、だから前提条件をそろえないとフェアじゃない」と思いながら更に読んでいくと――
購入までの間は、現在住んでいるお住まいの家賃がかかるので、月々の家賃が13万円の場合、5年間で家賃総額780万円が貯金とは別に必要です!
そうきたか。
同じような条件で比較しているように見えるが、実は違う!
月々の家賃13万円の妥当性はともかく、比較している対象期間が適切ではないのである。
つまりこういうことだ(次図参照)。
チラシのほうは、比較対象期間が35年。
実は、比較対象とすべき期間が35年ではフェアでない。
仮に建物の寿命が40年だとすると、「今すぐ購入」のケースは建物寿命が尽きたあと、さらに5年間何らかのかたちで住まいを確保しなければ、「頭金を貯めてから購入」のケースと条件がそろわないのである。
チラシにはさらに、セールストークが続いている。
住宅ローン金利が低い今、マンション購入を検討するのもーつの選択肢です。
住宅ローン金利がいつまで低いのかは誰にも正確なところは予想し得ない。
マンションは今すぐ買うほうがいいのか?頭金を貯めてから買うほうがいいのか?
ネットをググると、FPの先生などがシミュレーション結果を踏まえ、どのようなケースにどちらが有利になるのか解説している記事がひっかる。
それよりも、いま販売されているマンションは、価格が高い割には狭いことに留意すべきだ(次図)。
「首都圏の新築マンション市場動向(2016年)を見える化」より
高値づかみをしなくて済むよう、市場が落ち着くまでもう少し待ったほうがいいだろう。
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(本日、マンション広告2枚)