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民泊新法|2016民泊施策を振り返る(2)

一筋縄ではいかない民泊施策について、2016年を振り返る。

昨日は、政府の肝いりでスタートした大田区の特区民泊の現状と問題点について(大田区の特区民泊|2016民泊施策を振り返る(1))。

第2弾は、なかなか全体像が見えてこない「民泊新法」について。


もくじ

民泊新法の調整に時間を要している主な論点

民泊新法の 調整に時間を要している主な論点は、次の2点。

  • 規制改革会議で決定された年間営業日数の上限「180日以下の範囲内」について、具体的な日数をどうするか
  • 自治体が独自に条例で営業日数を決められる仕組みをどうするか

「民泊の普及を警戒する旅館業界と、空き物件の活用に前向きな不動産業界の利害が対立している」(日経記事)こともあり、落としどころがなかなか見出せないのである。

 

「特定簡易宿所」の創設という奇手を繰り出した賃貸業界

そんな膠着状態のなか、賃貸業界は11月16日、それまで主張していた「営業日年間180日」ルールの撤廃を断念。

その代わり、これまで主張していた民泊を管理する事業者への「宅建業」登録の義務付けに加え、「特定簡易宿所」の創設という奇手を繰り出してきた。

「特定簡易宿所」は、既定の法制度や手続き等を簡素化されるカタチで旅館業法に組み込まれる。しかも、「条例で上乗せ要件が課せられないよう旅館業法令を改正」するとしている。

マンションの住戸を民泊にしたい場合、新たに創設される「特定簡易宿所」で運用がやりやすくなるのである。

 

規制改革推進会議の意見書は「特定簡易宿所」制度の創設に道を開く?

そうこうしているうちに、政府の規制改革推進会議は12月6日、「客室最低数」の撤廃など「旅館業規制の見直しに関する意見」をまとめた。

「寝具の種類」や「便所の具体的要件」の撤廃はともかく、「客室の最低数」の撤廃や、「客室の最低床面積」「入浴設備の具体的要件」が緩和されることは、賃貸業界が提案している「特定簡易宿所」制度創設への道を開く可能性を秘めている。

「特定簡易宿所」制度の創設されることは、マンションで民泊が容易に始められる道が開かれることを意味している。

 

新経済連盟(ネット業界)が突如乱入

さらに、ここにきて楽天の三木谷会長が代表理事を務める新経済連盟は12月8日、「営業日年間180日」ルールへの「断固反対」を含む「ホームシェアの制度設計に対する考え方」を発表。

シェアリングエコノミーの健全な発展の観点から、「日数制限」や「条約による規制」などはケシカランと言い出したのである。

賃貸業界が断念した「営業日年間180日」ルールの撤廃を蒸し返すだけでなく、自治体の多くが「地域の実情の応じた運用を認める」(自治体の裁量権を認める)ことに、ケンカを売っているのである。

マンション住民の安全・安心はないがしろ

旅館・ホテル業界と賃貸業界が綱引きしている中に、ネット業界(新経済連盟)が突如乱入し、民泊新法の内容がどうなるか見通しにくい状況ではある。

民泊法案(民泊新法)と旅館業法改正法案は、年明けの通常国会への提出に向けて、水面下での調整が進められている。

はっきりしているのは、マンション住民の安全・安心についてはあまり議論がなされていないことだ。

民泊の規制緩和を進めるのであれば、違法民泊を放置せず、マンション住民の安全・安心を確保すべく、実効的な罰則規定と併せて制定することが肝要である。

残念ながら、民泊新法制定議論のなかで、いまのところ具体的な罰則内容は聞こえてこない。

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