消費者庁は11月2日、2010~14年の5年間に起きた14歳以下の子どもの死亡事故2,030件についての分析結果を発表。
建物からの転落事故(92件)は、活発に動き始める3~4歳(計32件)に集中している。
0歳児の事故死、8割が窒息 浴槽で溺れ、1歳突出
消費者庁は2日、2010~14年の5年間に起きた14歳以下の子どもの死亡事故2,030件についての分析結果を発表した。年齢別では0歳児の事故が502件と最も多く、その約8割が布団が顔を覆ったり、気管にものを詰まらせたりしたことによる窒息だった。
(中略)建物からの転落事故(92件)は、活発に動き始める3~4歳(計32件)に集中した。ベランダや窓など住居からの転落が74%を占めた。(以下略)
(朝日新聞 11月3日)
建物からの転落事故が気になったので、消費者庁発表内容の元となった「子供の事故防止に関する関係府省庁連絡会議」の第2回(平成28年11月2日開催)で配布された「資料1 消費者庁「人口動態調査」調査票分析」(PDF:217KB)をひも解いてみた。
P3に「年齢別に多い死亡事故 1位~5位」が掲載されている(次図)。
見にくいので、可視化してみた(次図)。
「交通事故」による死亡は、0歳児を除く全ての年齢で1位。
交通事故の次に目立つのは「溺水」(水色)。
あと、「建物からの転落」による死亡は、3歳・4歳に多いのが特徴。
転落事故発生の状況の例として、以下が列挙されている。
- マンションのベランダの椅子に乗り、転落
- マンションの部屋の出窓から転落
- 友人と遊んでいて、自宅ベランダから転落
- マンション屋上の天窓のガラスが割れ、転落
- 戸建2階の部屋の窓から転落
- 学校の2階の教室窓から転落
高層マンションで育った子供は高いところに居ても恐怖を感じにくいという「高所平気症」の影響なのであろうか。
高層マンション居住が子育てに与える影響研究の第1人者である織田正昭先生は、著書『高層マンション子育ての危険―都市化社会の母子住環境学』のなかで、次のようにコメントされている。
この書をもって、高層マンションを何ら否定するものではありあません。
建てる側が悪いのだ、いや買う人がいるから建てるのだ、子供に影響があるから良くない、いやそれは住み方の問題だといった議論に終始してもまったく意味がありません。
建てる側には今まで以上に入居者、特に子供や高齢者の立場に立った一層の工夫・配慮が求められますが、一方で、住む人に対しても住み方、育児の心構えいかんによっては、高層マンションは子供にとって良い育児環境にもなり、悪い育児環境にもなることを警告したいと思います。
この自覚がない人は高層マンションでの育児は勧められません。
「はじめに」P7より
同書には超高層マンションで子育てに向いているかどうか、チェックリストが掲載されている。
興味のある方は、「こんな人は高層マンションの子育てには向いていません 」をご参照。
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