政府は10月25日の閣議で、国家戦略特区で営む民泊について、最低宿泊日数を「6泊7日以上」から「2泊3日以上」に緩和する政令改正を決めた。
特区民泊のパブコメが締め切られたのは20日。5日後に閣議決定。
あまりにも素早い閣議決定である。
パブコメ受付6日間、5日後に閣議決定
そもそも、特区民泊のパブコメは、たったの6日間(10月15日~20日)しか受け付けていなかった。
しかも、特区民泊などという表現ではなく、「国家戦略特別区域法施行令の一部を改正する政令(案)」という件名のパブコメだ。
マスコミも含め、ほどんどの人はこのパブコメの存在自体に気がついていなかったのではないだろうか。
※詳しくは、「国民の声は無視?たった6日間の民泊パブコメ」をご参照。
同政令は28日交付、31日施行予定。
そもそもパブコメとは、広く募った意見が考慮されるべき制度
パブリックコメント制度(意見公募手続制度)の目的は、次のように、「広く一般から意見を募り、その意見を考慮すること」が求められている。
パブリックコメントは、国の行政機関が政令や省令等を定めようとする際に、事前に、広く一般から意見を募り、その意見を考慮することにより、行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図り、国民の権利利益の保護に役立てることを目的としています。
パブコメ締切りから5日後に閣議決定。
広く一般から募った意見が考慮されたといえるのだろうか?
これではアリバイ作りにもならないのでは?
10月28日付で公表された意見募集の結果を見ると、提出された意見はたったの10件(同趣旨意見は集約され7件が公開されている)。
提出意見を踏まえた案の修正は「無」とされている(次図)。
政令改正を受けて、大阪市は条例改正、大田区は検討中・・・
今回の政令改正を受けて、大阪市は条例を改正する予定で、大田区は条例を改正するかどうか検討しているという。
(略)10月31日から条例を施行し民泊の事業者募集を開始する大阪市は、早急に2泊3日以上の宿泊要件で民泊ができるよう条例を改正すると見込まれる。
また、16年早々から特区民泊を実施している東京都大田区は、今後2泊3日以上に条例改正するかどうかを検討するとしている。(以下略)
(住宅新報社10月25日)
「6泊7日以上」から「2泊3日以上」に緩和するのであれば、住民の安全・安心が確保できるよう、ルール遵守の実効性を担保するための罰則規定が不可欠だと思う。
拙速に民泊が緩和された結果、事故・事件が発生したというようなことがないことを祈ろう。