47都道府県のうち、11県が民泊に係る「意見書」を決議したことを紹介した(11県のうち8県が裁量権を求めている!民泊に係る「意見書」を決議)。
意見書を決議した11県以外の都道府県の民泊に係るスタンスはどうなっているのか?
現時点で公開されている定例会の議事録をひも解き、知事や局長等の答弁を整理。最後に47都道府県の「民泊」スタンスをまとめておいた。
- 北海道:北海道にふさわしい民泊
- 埼玉県:国の方針が示された際に迅速かつ的確に対応
- 千葉県:市町村や県警とも連携して実態把握に努める
- 東京都:マンションの所有者や管理組合等が適正に管理を行えるように
- 神奈川県:可能な地域から特区の活用を進めていく
- 新潟県:関係者とも十分協議の上、県条例の改正を検討
- 富山県:適切に対処
- 京都府:きちっとした形での民泊対策ができるのかということが大きな焦点
- 大阪府:国際エンターテインメント都市大阪の実現を目指し、民泊などの推進
- 奈良県:優良な民泊を育てていく
- 広島県:所管する関係市町と協議
- 徳島県:全国に誇れる民泊モデルを創造
- 香川県:方向性を持ってはございません
- 愛媛県:愛媛国体で5年ぶりに民泊を復活させる
- 長崎県:国の動向をしっかり見極め
- 47都道府県の「民泊」スタンス(まとめ)
※まだ公開されていない議事録は、今回の調査対象とはしていない。
※農林漁業体験民宿業(いわゆる「農家民泊」)は、調査対象から外した。
北海道:北海道にふさわしい民泊
庁内横断的な検討会を新たに設置し、実現に向けて、地域や事業者のニーズなどをお伺い し、新たなルールや必要となる規制緩和も含めて検討を進め、北海道にふさわしい民泊のあり方を早期に取りまとめてまいる考えであります。
埼玉県:国の方針が示された際に迅速かつ的確に対応
県では今後予定される旅館業法の改正と整合を図りながら、関連する条例等を改正する方向で検討しなければならないと思っております。
民泊の在り方については、私は慌てることなく、国の方針が示された際に迅速かつ的確に対応すればいい、このように考えております。
(上田清司知事 平成28年2月26日定例会)
千葉県:市町村や県警とも連携して実態把握に努める
インターネット仲介による民泊への対応についての御質問でございますが、県では、宿泊者の安全や衛生確保などを図るため、旅館やホテル等については定期的な監視指導を行っており、民泊の営業者についても旅館業の許可が必要である旨、ホームページ等により周知しているところでございます。
また、現在国では民泊サービスのあり方に関する検討が行われており、その検討状況を踏まえながら、今後市町村や県警とも連携して実態把握に努めるとともに、民泊営業者に対し許可の取得など適切な指導をしてまいりたいと、そのように思っております。
(森田健作知事 平成28年2月26日定例会)
東京都:マンションの所有者や管理組合等が適正に管理を行えるように
都としては、国の動向等を踏まえつつ、マンションの所有者や管理組合等が適正に管理を行えるよう、マンション管理ガイドラインへの民泊に関する内容の反映やその周知、セミナー等でのトラブル防止に関する注意喚起を行うなど、適切に対応してまいります。
(都市整備局長 平成28年6月8日定例会)
神奈川県:可能な地域から特区の活用を進めていく
「国家戦略特区による民泊は有効性がある。可能な地域から特区の活用を進めていく」との考えを示した。同日の県議会第3回定例会本会議で県政会の楠梨恵子氏(横浜市栄区)の代表質問に答えた。
新潟県:関係者とも十分協議の上、県条例の改正を検討
4月から実施された民泊サービスに係る国の規制緩和は、旅館業法の簡易宿泊所営業の枠組みを活用したものであります。これは、県または新潟市が許可し、保健所による監視指導を行うということでありますので、従前どおりであり、安全面等における影響は少ないものと認識をいたしております。
県といたしましては、このたびの規制緩和を受けまして、今後、関係者とも十分協議の上、県条例の改正を検討してまいりたいと思います。
(泉田裕彦知事 平成28年6月10日定例会)
富山県:適切に対処
快適で安全・安心な宿泊施設が提供されることが重要であり、国の議論をしっかり注視するとともに、法整備が行われた場合には市町村や関係の団体、業界等の意見もお聞きしつつ、健全な宿泊サービスが提供されるよう適切に対処してまいりたいと考えております。
(観光・地域振興局長 平成28年6月15日定例会)
京都府:きちっとした形での民泊対策ができるのかということが大きな焦点
もしも火災等が出たら一体どうなるんだろうと、こうした問題は深刻に考える必要があるのではないかなと思っておりまして、どうやってこの管理をして、きちっとした形での民泊対策ができるのかということが大きな焦点ではないかなと思っております。
(山田知事 平成28年3月18日定例会)
大阪府:国際エンターテインメント都市大阪の実現を目指し、民泊などの推進
世界の人々を引きつける国際エンターテインメント都市大阪の実現を目指し、大阪観光局を中心に、さらなる大阪の魅力づくりや特区における民泊などの推進、IRの実現などを進めてまいります。
(松井一郎知事 平成28年6月1日定例会)
奈良県:優良な民泊を育てていく
民泊は、人口が減少する地域におきましては、空き部屋や遊休資産の有効活用を図り、経済の活性化が期待できます。また観光客にとって宿泊施設の選択肢を広めるという効果もございまして、客室が少ない本県にとりましては、滞在型観光を促進する一助となる可能性がございます。
今後、県といたしましては、国の動き等を注視するとともに、優良な民泊を育てていくといった観点からどのような取り組みや支援が可能か、幅広く検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
(観光局長 平成28年3月10日定例会)
広島県:所管する関係市町と協議
宿泊需要への対応につきましては、既存の宿泊施設の稼働率を高めるための取り組みを進めますとともに、民泊サービスのあり方につきましては、国における検討の動向を踏まえつつ、関係団体や旅館業法に関する許可等の事務を所管する関係市町とも協議してまいりたいと考えております。
(商工労働局長 平成27年12月11日定例会)
徳島県:全国に誇れる民泊モデルを創造
徳島県規制改革会議の中におきましても、この民泊の推進につきまして大きなテーマとして取り上げられておりまして、(中略)規制緩和への先駆的取り組みを推進する徳島版地方創生特区指定地域を初め、地方創生の本格展開を図る県内市町村とも積極的な連携を図りつつ、全庁の英知を結集し、この徳島の地から全国に誇れる民泊モデルを創造してまいります。
香川県:方向性を持ってはございません
現在のところは、旅館業法を所管している健康福祉部として、特段どうしていくべきかという方向性を持ってはございませんが、委員の御指摘のとおり、今後の瀬戸内国際芸術祭の開催などを考えますと、観光客数等の状況や空き家対策など、さまざまな観点から考える必要が出てくるだろうと思いますので、国の検討会の様子も注視しながら、さまざまなことを検討していく必要があろうと考えております。
(健康福祉部長 平成27年12月4日定例会)
愛媛県:愛媛国体で5年ぶりに民泊を復活させる
平成24年に岐阜国体で実施されて以来、各地で見送っていた民泊を5年ぶりに愛媛国体で復活させます。ここ4年間は民泊をやられていなかったんですけども、やるということになりました。
(中略)今、西予市、宇和島市、四国中央市、鬼北町この四つの自治体で民泊受け入れに向けた準備が進められています。
長崎県:国の動向をしっかり見極め
国の動向をしっかり見極めながら今後の対応について検討していきたいと考えております。
(観光振興課長 平成28年6月15日定例会)
47都道府県の「民泊」スタンス(まとめ)
意見書を決議したのは次の11県。
- 岩手、石川、長野、岐阜、静岡、兵庫、岡山、福岡、佐賀、熊本、大分
会議録で「民泊」(農家民泊を除く)の答弁が特に見当たらなかったのは次の7県。
- 山形、福島、福井、山梨、三重、高知、沖縄
あと、次の15県は農家民泊(あるいは民泊に絡めたグリーンツーリズム)の答弁はあった。
- 青森、宮城、秋田、茨城、栃木、群馬、愛知、滋賀、和歌山、鳥取、島根、山口、長崎、宮崎、鹿児島
47都道府県の民泊スタンスをザックリ分類すると次表・次図のようになる。
自治体への裁量権要求を含め「どちらかといえば規制強化」と見えるのが11府県(23%)、「どちらかといえば民泊推進」と見えるのが5府県(11%)、「どちらともいえない」様子見状態なのが17都県(36%)、残りの14道県(30%)が「農家民泊」を推進。
※まだ公開されていな会議録は、今回の調査対象とはしていないので、上表・上図の内容は今後変わる可能性がある。念のため。
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