不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


朝日新聞は”読者ファースト”か?

BLOGOSの編集部の記事によれば、朝日新聞は10月5日、築地で事業説明会を開き、2016年から20年までの5か年計画となる「中期経営計画」を発表したという。


もくじ

朝日新聞、不動産とM&Aで「売上3000億円めざす」 渡辺社長「ベンチャーの気概で新しい時代に対応したい」

朝日新聞は10月5日、東京・築地で事業説明会を開いた。同社は今年初め、2016年から20年までの5か年計画となる「中期経営計画」を発表した。

今回の事業説明会では、この計画に沿った新規事業の創出などについて、渡辺雅隆社長と各部門の担当者が説明した。収益源としての期待が大きい不動産事業への注力とともに、海外も含めたベンチャー企業への出資の動きが語られた。(以下略)

BLOGOS編集部 10月6日

 

朝日新聞の中期経営計画では、新たな収益源として「不動産売上高の増大」「成長分野への事業拡大」「M&Aで新たな成長」の3つが掲げられたという。

 

朝日新聞は”読者ファースト”か?

生まれた時から朝日新聞を見て育ち、愛読者歴が半世紀を超えるおじさんはチョット怒っている。

記事を書いたBLOGOSの編集部の亀松太郎氏に怒っているのでなければ、渡辺雅隆社長の話の中身に憤慨しているのでもない。

不動産事業で利益を確保し、経済的な自立を確保したうえで、思う存分ペンをふるうことを否定するものでもない。

怒っているのは、このような社長の話が朝日の紙面を通して読者が知り得ていないことだ。

怒りついでに言えば、本件に限らず、朝日の紙面で読者に知らされていないことは、けっこうあるのではないのか。

”スポンサー・ファースト”になっていないか?

直近で例示すれば、電通の不祥事。

9月24日の朝刊の34面、四コマ漫画「ののちゃん」と同じ面にチョコットしか記されていない。

電通の不祥事
日本国内のデジタル広告サービスにおける不適切業務の発生について|電通」に係る鋭い分析は見当たらない。

むしろ、一般の人が書いたブログ記事のほうが知りたいことがよく分かる(3分でわかる電通の不正(不適切業務)とネット広告の闇について|さようなら、憂鬱な木曜日)。

 

今朝の朝日には、過労自殺した電通社員の記事が1面で報じされているが、この先の展開はどうなるのか――。

 

新聞であまり報じられていないことをもう一つ例示するとすれば、マンションの供給過剰問題(マスコミが伝えない世帯数減少の衝撃、新築マンション供給過剰問題)。

 

不動産経済研究所が毎月公表している「首都圏のマンション市場動向」をなぞっただけの、小さな囲み記事は毎月掲載されているが、いま不動産市場で何が起こっているのか、深掘りした分析は見当たらない。

空き家問題を報じることはあっても、その反対側にあるマンションの過剰供給問題を伝えていないのは、大口スポンサーのことが気になるからなのか?

 

不動産はペンよりも強し

朝日新聞の記者は、不動産市場に潜む様々な問題をえぐり出すような鋭い分析記事が書けない(書かせてもらえない)のではないのかと思ってしまう。
なぜなら、朝日新聞社長自らが、新たな収益源のひとつに「不動産売上高の増大」を掲げているからだ。

EDINETで入手可能な有価証券報告書をひも解き、朝日新聞社の収益構造を調べてみると、同社は新聞出版事業者というよりも不動産屋であることが分かる。

セグメント別の売上高の推移をみると、新聞出版事業が4千億円で圧倒的に多い(次図)。

f:id:flats:20161007172342p:plain

 

でも、セグメント別の利益額・利益率の推移をみると、全く様相が違ってくる(次図)。

利益額でみると、新聞出版事業の変動が大きいが、賃貸事業のほうは3年連続で増加し、2016年3月期には40億円を超えている。

また、利益率でみると、新聞出版事業が1%前後で推移しているのに対して、賃貸事業のほうは2年連続で増加し、2016年3月期では24%に達している。

f:id:flats:20161007172532p:plain

「ペンは剣よりも強し」ではなく、「不動産はペンよりも強し」

 

賃貸事業で稼いで言論の自由を確保するという、朝日新聞社の収益構造を解説した記事にはお目にかかったことがない。

議員のフトコ追求記事だけでなく、自らの台所事情も読者にキチンと伝えるべきではないのか。

”旧聞”ではSNSに勝てない

最近朝日の記事が薄っぺらくなったように感じるのは、私が年を重ねたせいなのか?

朝日新聞に期待されるのは、社会の幅広い問題に切り込んだ鋭い分析記事である。

もはや”旧聞”ではSNSに勝てないのである。

文章がうまいだけでは、特定の分野の専門性が高いブロガーには勝てないのである。

 

以上、半世紀以上の朝日の愛読者として、あえて苦言を呈してみた。
マンションチラシを収集するのが目的になれば、朝日新聞(朝夕刊セット4,037円)でなく、最安値の東京新聞(朝刊のみ2,623円)で事足りる。

あわせて読みたい

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.