大阪府議会本会議で府健康医療部長が違法民泊約20施設に営業中止を行政指導したことを伝える産経の記事。
大阪府議会のネット動画(録画)で、実際の答弁を確認してみたところ、健康医療部長の曖昧な答弁が気になったので、全文テキスト化しておいた。
健康医療部長は、なかなかの役者であることが分かる。
「違法民泊」約20施設に営業中止を行政指導 大阪府
自治体の許可を受けずに、マンションの空き部屋などに旅行客を泊める「民泊」を営業している違法業者について、府が昨年4月から今年9月までに23施設に対し、営業を中止するよう行政指導していたことが、分かった。
同日の府議会本会議で、自民党の密城浩明議員の代表質問に、府健康医療部の上家和子部長が明らかにした。(以下略)
(産経WEST 10月4日)
大阪府議会のネット動画(録画)をもとに、みつぎ浩明議員(会派:自由民主党・無所属 大阪府議会議員団)と上家和子健康医療部長の間の実際のやり取りを確認してみよう。
1.違法民泊に対する取組みについて
議員:違法民泊への取り組み状況を問う
大阪府の違法民泊への取り組み状況を質問。
大阪府ではこの4月からいわゆる特区民が導入されましたが、認定件数は4件にとどまり、国における簡易宿所の面積基準緩和後も許可件数はさほど伸びていないと伺っています。
一方でインターネット上、民泊はますます増加し、府内でも数多く登録されているところですが、そのなかには旅館業法などの許可を得ていない違法が疑われるものが数多くあると言われております。(中略)
大阪府がこのような京都市の取り組みを把握されているのかどうか。違法民泊に対して大阪府はどのように取り組みを行っておられるのか、以上2点について質問します。
部長:20件程度営業を止めさせた
違法民泊への取り組み状況につきましては、京都市と京都府にも直接お伺いしております。
違法民泊につきまして、本部(健康医療部)は京都市と同様に、インターネット仲介サイトの検索や府民からの通報等により情報を収集しております。
これらの情報をもとに府保健所職員が直接現地へ訪問し、場所の特定に努めており、所在地を把握ができた施設に対しては、速やかに立入調査を実施し、すでに営業を止めさせたものも20件程度にのぼっております。
2.さらなる積極的な取組みについて伺う
議員:「(仮称)違法民泊撲滅コールセンター」の創設を提案
議員から相談・通報窓口「(仮称)違法民泊撲滅コールセンター」の創設が提案される。
京都市の取り組みはメディアなどでも大きく取り上げられ、違法民泊への抑止力にもなっていると思います。
京都市の例を参考に大阪府においても相談・通報窓口「(仮称)違法民泊撲滅コールセンター」を創設し、「違法民泊は許さない」という積極的なPRが必要であると考えますが、健康医療部長の所見を伺います。
部長:回答をはぐらかす部長答弁
議員からの具体的な提案に対して、Yes No を言わず、曖昧な回答ではぐらかす部長。
民泊に関する府民や市町村からの相談・通報等につきましては、本部(健康医療部)では、環境衛生課と保健所で対応しております。
また、府内で宿泊施設が集中している大阪市と違法民泊の情報取集や調査手法について意見交換を行ってきたところでございます。
今後とも京都府、京都市の取り組みを参考に、大阪市と連携を密にして効果的な違法民泊対策について検討してまいります。
議員:切り口を変えて再質問
「(仮称)違法民泊撲滅コールセンター」創設という提案への回答をはぐらかされたので、切り口を変えて再質問。
部長に再質問いたしますが――、環境衛生課と保健所で通報を受けているということですが、これは特別な回線を設けているのでしょうか?
質問の趣旨は、PR効果が期待されるのでコールセンターとして設置をすべきではと、そういう趣旨ですのでご答弁をお願いします。
部長:混乱を招くので大阪府としては専用窓口を設けない
「違法民泊相談・通報窓口」を設けているのは京都市であって京都府ではない。だから大阪府も設置しないというように聞こえる答弁。
まず、普及効果(PR効果?)についてでございますが、これについてはご指摘のように様々なかたちで「違法民泊は違法である」と言っていくことは必要があります。
一方で、専用窓口を設けることにつきましては、京都市の場合には京都市内にある。一方で京都府はそういうものは設けておりません。同様に大阪の場合も大阪市内に大半のこの物件があるというふうに想定されております。京都市よりもさらにたくさんあるというふうに聞いております。
こういったなかで大阪府に設けることは、大阪市内の状況を十分に立ち入ったりすることができないなかでは、かえって混乱を招く恐れもあるというふうに考えております。こういったことからも大阪市と十分協議をして適切な対応を取ってまいりたいと考えております。
議員:切り口を変えて再々質問
大阪府自らは「(仮称)違法民泊撲滅コールセンター」を創設する気がない様子を受けて、再々質問。
では、部長、大阪市に状況把握していただいて、「そういう特別な回線を設けるべきでは」ということを働きかけていただけるということでよろしいですか?
部長:ストレートに応えない部長答弁
あくまでもストレートに応えない部長。
京都市の状況も含め、大阪市にお伝えして相談してまいります。
議員:「いちおう言っておいたぞ」という念押し
シッカリお願いいたしま~す。
健康医療部長 なかなかの役者である
健康医療部長は、1年前(2015年10月)の民泊条例制定のときの府議会でも答弁していた(大阪府議会で「民泊条例」の代表質疑(3日目))。
上家和子健康医療部長は、2013年度の大阪府公募部長(任期3年)で大阪府職員(1名)との2次選考を勝ち抜いた人材。広島大学医学部卒の元厚生労働省内閣官房健康医療戦略室次長。
なかなかの役者である。
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