2013年3月末に廃校になった小学校の跡地に建つ、2街区、計5棟からなる大規模マンションの折り込みチラシ。
物件概要
【第2街区 第2期予告広告】東京駅直通32分、駅徒歩7分。総戸数545戸(第1街区290戸:86戸+85戸+119戸、第2街区255戸:190戸+65戸)、10階建(第1街区、第2街区とも)。販売戸数/未定、3LDK(70.58m2)~4LDK(94.59m2)。予定販売価格/3,400万円台~5,900万円台。平成28年9月下旬第1街区竣工・平成28年12月下旬第2街区竣工(本チラシ掲載日の当月末第1街区・3カ月後第2街区)。
- ※2015年12月3日(木)、2016年1月15日(金)・2月19日(金)・9月2日(金)の物件と同じ。
新聞半紙大のチラシ裏面の「物件概要」に目を凝らすと、このマンションには5年間転売防止のための「買戻特約」が付いていることが記されている。
本物件は転売目的等の購入を防止するため本マンション街区毎の最先引渡日から5年間の期間において、買戻特約が付され所有権保存登記と同時に買戻特約登記が設定されます。
買戻特約とは
買戻特約とは、不動産の売主が代金額および契約の費用を買主に返還することによって売買契約を解除し、不動産を取り戻すことができる民法579条で定められた特約のこと。
この特約を付すことによって、転売目的の購入を防ぐことができる。
たとえ第三者に転売されても、買戻特約が付されていれば、その第三者に対抗できる(買い戻せる)。
UR都市機構が土地を売却する際に、転売目的の購入を阻止するために買い戻し特約を付すことは知られているが、なぜ、この物件に転売防止の買戻し特約(転売防止装置)が付いているのか?
なぜ、この物件に転売防止の買戻し特約(転売防止装置)が付いているのか?
ネットでググっていくと、その理由が分かる。
このマンションは千葉市立の小学校の跡地に建設されているのだが、実はその小学校の土地の所有者は千葉市ではないのだ。
千葉市が千葉県企業庁から「学校用地」として借用していて、「学校用地」として使用しない場合には、原状回復して返還する契約になっているのである(「高洲・高浜・磯辺地区学校跡施設利用方針(案) 地元代表協議会要望書への対応について」千葉市資産経営部 平成25年10月))。
千葉県企業庁(平成28年4月1日 企業土地管理局に改組された)は、同小学校跡地(28,065m2)を一般競争入札にかけ、3者が応札した結果、M社が平成26年12月15日に71億6千万円で落札している(予定価格38億810万円の1.9倍!)。
一般競争入札に添付される分譲案内書(≒条件書)に「土地譲渡契約締結の日の翌日から起算して5年間を経過するまでの 期間、買戻特約を登記」する旨が記されていたのであろう。
千葉県企業庁が 企業土地管理局に改組されたことにより、当時の「一般競争入札分譲案内書」は千葉県のホームページから消えてしまっているが、直近の類似の「一般競争入札分譲案内書」を見ると、次のように買戻特約が付されていることが分かる。
第15条 甲は、本契約締結の日の翌日から起算して5年間を経過するまでの期間において、乙が次の各号の一に該当する場合には土地を買い戻すことができるものとする。
- (1)乙が、第7条の規定に違反したとき。←3年以内の操業義務
- (2)乙が、第12条第2項の規定に違反したとき。←土地所有権移転前の第三者への譲渡不可
- (3)乙が、第12条第2項ただし書きに規定する条件に違反したとき。 ←事前の甲の承認
(「柏の葉キャンパス駅周辺住宅用地(1)一般競争入札分譲案内書」より)
まとめ
本物件に5年間転売禁止の買い戻し特約が付された経緯をまとめると次のようになる。
- 廃校になった市立小学校の建っていた敷地の所有者は千葉県企業庁(現在の企業土地管理局)であった。
- 同庁が同敷地を一般入札により売却する際の条件として、買い戻し特約を付した。
- 同敷地は3者応札の結果、M社が予定価格の1.9倍で落札した。
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