不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、不動産(マンション購入・賃貸)に係る分析記事を提供しているブログメディア

3分でわかる!羽田の「新飛行ルート問題」

東京オリンピックに向けて、羽田空港の国際線発着回数を増やすため、都心上空を飛行する「新飛行ルート問題」。
新飛行ルート周辺の多くの住民が騒音の影響を受けることになるのだが、このあたりの問題はあまり共有化されていないように思う。

よくご存じない方のために「新飛行ルート問題」をザックリまとめておいた。


もくじ

落下物・墜落事故発生の可能性と騒音問題

羽田空港の国際線発着回数を増やすため、現在の4つの滑走路を利用し、これまでの離着陸コースに加え、新たに2つの着陸ルートと2つの離陸ルートが計画されている。

着陸ルートは過密都市の上空を通過するので、落下物・墜落事故発生の可能性と騒音の問題が懸念されている。

ただ、落下物・墜落事故発生の可能性について、発生した場合には深刻な事態ではあるものの、あなたが巻き込まれる可能性は極めて低いことから気にしても仕方がないというのが筆者の理解。

 

むしろ問題となるのは、広範囲にわたる騒音の影響だ。

飛行ルート周辺の住民は避けようがないからだ。

飛行ルートのうち、離陸ルートについては、羽田空港近辺の住民以外は気にしなくてもいい。

南風時にB滑走路から飛び立つ旅客機は海に向かうし、北風時にC滑走路から飛び立つ旅客機は都心上空を北進するが羽田から飛び立った後すぐに高度4,000ft(1,220m)に達するからだ(次図)。

f:id:flats:20160907080400p:plain
資料1 羽田空港機能強化に係る第3回協議会以降の取組」P5にピンク色の楕円を追記

 

問題となるのは、着陸ルート。

着陸ルートのほうは、徐々に高度を下げてくるので、騒音の影響が免れない。

具体的には次図の「A滑走路到着ルート」と「C滑走路到着ルート」だ。

f:id:flats:20160906150350p:plain
「同」P5にルートと旅客機イラストを追記

 

騒音の影響(ルート・時間帯・頻度)

新飛行ルートは、「義務教育の時間や夜間にお休みになる時間帯を踏まえ(「⽻⽥空港のこれから」P33)」、南風時の15時から19時に運用される。

「A滑走路到着ルート」は1時間当たり13回、「C滑走路到着ルート」は1時間当たり31回飛ぶこととされている(次図)。

f:id:flats:20160906151431p:plain
「同上」P25

 

両ルートの直下および周辺の騒音レベルは、たとえば、目黒駅の上空450mを大型機が通過(A滑走路到着ルート)する際に、地上での騒音レベルは約76dB。広尾駅の上空600mを大型機が通過(C滑走路到着ルート)する際に、地上での騒音レベルは約72dB(次図)。

f:id:flats:20160906151610p:plain

詳しくは、「「新飛行ルート問題」飛行ルート周辺の騒音マップを描いてみた」ご参照。

 

新飛行ルートのフライト・シミュレーション(動画)

首都上空を飛行した場合のシミュレーション動画を見ると、過密都市の上空を旅客機が飛んでいることに、一抹の不安を抱くのは筆者だけではないだろう。

 

↓ A滑走路到着ルート


南風時の新到着経路(和光市⇒羽田)フライトシミュレーション

 

↓ C滑走路到着ルート


南風時の新到着経路(浦安⇒戸田⇒羽田)フライトシミュレーション

各到着ルートの主な主な通過地点の静止画は次をご参照。

 

15年度に開催された国交省主催の説明会は十分か?

「新飛行ルート問題」について、国交省はこれまで「羽田空港の機能強化」として15年度、飛行ルート直下の複数の会場で説明会を開催している。

説明方式が、日本で主流の「教室型」ではなく、「オープンハウス型」(下記写真参照)であるため、「新宿駅西口広場」や「渋谷ヒカリエ」にふらっと来た人も「来場者」としてカウントされている。

しかも累計来場者数は、たったの1万1千名。

これでは、十分に伝わったとはいえないだろう。

※詳しくは「「新飛行ルート問題」は区民に十分伝わっているか?」をご参照。

f:id:flats:20160907090253p:plain
「資料1 羽田空港機能強化に係る第3回協議会以降の取組 P4」より

 

国交省は新飛行ルートに係る情報を広く発信ために、「羽田空港のこれから」というサイトを運用しているが、これを見て理解しろというのは無理があると思う(少なくとも年寄りには分からない)。

 

不動産価値への影響は?

国交省は新飛行ルートによる不動産価値への影響は、「直接的な因果関係を⾒出すことは難しい」との見解を示している。

※詳しくは「羽田空港の機能強化 新飛行ルートによる不動産価値への影響は?」をご参照。

f:id:flats:20160907090418p:plain

国交省としては、そのように回答せざるを得ないのだろう。

ただ、新飛行ルートの直下になる大田区や品川区、港区のマンションを避けたいと考える人は出てくるだろうから、不動産への価格への影響は避けられないのではないのか。

 

今後は「環境影響評価」が粛々と進められる

今後は、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて新飛行経路の運航が可能となるよう、環境影響評価(環境アセスメント)の手続きが進められることになる(次図)。

f:id:flats:20160907090621p:plain
「資料1 羽田空港機能強化に係る第3回協議会以降の取組 P2」より

 

環境影響評価(環境アセスメント)の詳細手順は次図のとおり。

f:id:flats:20160907091852p:plain
「資料3 成田空港機能強化に係る第3回協議会以降の取組」

PDF834KB)P2より

 

手順は5つに分かれていて、事業開始前に必要な手続きは概ね3~5年をかけて実施するとされている。

ただ、主務大臣(石井啓一国土交通大臣)も、主務大臣に具申する立場の環境大臣(山本公一69歳、愛媛4区当選8回)も、羽田空港の機能強化を推進している官邸に抗う可能性はないだろうから、環境影響評価の手続きが粛々と進められ、地元やマスメディアが騒ぎ立てない限り、2020年までに計画通り実現することになるであろう。

 

あわせて読みたい

(本日、マンション広告なし)

[PR] SUUMO タワーマンションを探す!販売前の資料請求が成功の秘訣人気の新築マンション

2017年6月1日、このブログ開設から13周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.